池袋発、中国メディア
エスニック・メディア
215万人(2007年末)を数える在日外国人にとって、在日外国人の生活にかかわる情報を伝えるエスニック・メディアは欠くべからざる存在。エスニック・メディアの果たすべき役割、その意義は大きい。
エスニック・メディア… 在日外国人のための情報媒体。日本で編集、編成されているものもあれば、広義では本国から直接来るメディアが含まれる場合もある。
在日中国人メディア
現在、50を超える。
在日中国人メディアの歴史
もっとも古く発行されたメディア…1898年に神戸で創刊された『東亜報』と横浜で創刊された『清議報』
第一期…20世紀初めから戦前まで
日本に亡命した孫文やその支持者たちの「政論新聞」。同時期に第一次留日(日本留学)ブームがあり、中国人 留学生による新聞や雑誌も多数発行。内容は政治が中心で100以上の新聞が刊行。
しかし、日中戦争のころにはほとんど廃刊となり、1972年に日中国交正常化したあとも、80年代半ばまでほとんど中国語メディアはなかった。
第二期…1980年代の第二次留日ブームから2007年まで
第二次留日ブームが契機。今までに200ほどのメディアが誕生し、多くは消えていった。活字媒体が中心。
1988年12月に創刊された留学生新聞が、第二段階の最初の新聞。草分け的存在。2008年12月に創刊20周年を迎える。
現在(第三期)
以前と同じく活字媒体が中心だが、近年CCTV大富など、新たな中国語メディアが誕生。
さらに注目すべきはインターネット。在日中国人メディアをはじめとして、多くの発信がなされている。
特徴
・14種類の中国語新聞・雑誌が刊行され、書店や出版社がいくつも存在。
・手作り、モノクロ、少ページ、生活情報誌から、現在はカラー、多ページ、総合紙に。 印刷媒体から放送、インターネットまで立体的に発展。
池袋発、在日中国人メディア
池袋の中国(語)メディア
・14種類の発行。中国系店舗で無料配布されることが多い。
(No 媒体タイトル 分類 言語 発行場所)
1 半月文摘 週刊紙 中 池袋
2 華人週報 週刊紙 中 西池袋
3 陽光導報 週刊紙 中 池袋
4 網博週報 週刊紙 中 南池袋
5 日本新華僑報 旬刊 中 池袋
6 知音報 半月紙 中 西池袋
7 カクカク 月刊雑誌 中日 東池袋
8 第一雑誌 雑誌 中 池袋
9 走進日本 隔月刊 中 東池袋
10 日本僑報(印刷版) 月刊紙 中日 西池袋
11 日本僑報電子週刊 週刊 日 西池袋
12 台湾新聞 月刊紙 中 西池袋
13 東方時報 週刊紙 中 南大塚
14 中華時報 半月紙 中 南大塚
・現在の発行場所は異なっていても、有力紙の創刊地は池袋が多い。
例)チャイニーズドラゴン紙、中文導報など。
・池袋を中心に、「中国語新聞・雑誌センター」の形成。
中国(語)メディア誕生の背景
・言論自由の日本で「魚が水を得た如し」
・日本の場合は、メディアを発行する前に、政府、又は主管部門に何も報告の必要はない。
例)中国人読者(42才・『留学生新聞』のアンケート)
「貴方は今一番楽しいことは何ですか?」という問いに対して
「数年の間に私が享受した自由は、中国国内にいた数十年間で得た自由の合計よりも多い」
例)『留学生新聞』趙編集長(日本語雑誌のインタビューより)
「今、留学生新聞を北京にいる母に毎月送っていますが、政府批判も載せているでしょう。だから、いつも電話すると叱られるのである。「お前の作る新聞は何を書いているの。これはだめではないか」と叱られる。そうすると、「ハイハイ」といって、パッと切ってしまう。もう籠の中にいないから、母はあきらめた」
(段躍中『現代中国人の日本留学』2003、明石書店より)
・池袋を中心に、「中国語新聞・雑誌センター」の形成。文化の発信。
⇒ただ中国人が集まっているというのではなく、日本人と中国人の交流の場となり、共生する街に。
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