【内容紹介】 本書は『氷点週刊』停刊の契機になった論文『近代化と中国の歴史教科書問題』の執筆者である袁偉時・中山大学教授の関連論文集である。 冒頭の「『氷点』事件の記録と反省」は、袁教授が本書のため書き下ろした労作であり、一読に値する。 事件発生後、同僚と旧友たちだけでなく、未知の人々――多くは一介の市民――も含めた支援の輪の広がりが生き生きと描かれているし、かつての受難の時代をともに耐えてきた肉親の情愛は切々と胸を打つ。 他の論文で、義和団と文化大革命期の紅衛兵の愚行が通底しているとの喝破、日中両国でほぼ同時期に起きた明治維新と洋務運動が異なる結果を生んだ原因の解明、昨年の「反日デモ」で噴き出した偏狭なナショナリズムの危険性の指摘など、われわれにも関心の深い問題点を、歴史家の視点で縦横に論じていることも注目される。 ――本書「訳者あとがき」より -------------------------------------------- 袁偉時著、武吉次朗訳 ■著者略歴 袁 偉時(えん いじ) 1932年生まれ。、広東省興寧県出身。中山大学哲学学部教授。主な著書:『中国現代哲学史稿』『晩清大変局中的思潮与人物』『路標与霊魂的拷問』『告別中世紀――五四文献選粋与解読』『近代中国論衡』など。 ■訳者略歴 武吉 次朗(たけよし じろう) 1932年生まれ。1958年、中国から帰国。日本国際貿易促進協会事務局勤務。1980年、同協会常務理事。1990年、摂南大学国際言語文化学部教授。2003年退職。主な著書:『現代中国30章』(共著、大修館書店、2004)など。主な訳書:『大破産 中国の国有企業改革』(東方書店)、『新中国に貢献した日本人たち』(日本僑報社、2003)、『続 新中国に貢献した日本人たち』(日本僑報社、2005)、『「氷点」は読者とともに』(日本僑報社、2006)など。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ※氷点シリーズは全部4冊あります。 |