日本大使賞の授与式では、横井大使が潘呈さんに賞状を授与したほか、主催者を代表して日中交流研究所の段躍中所長(日本僑報社編集長)が副賞「日本1週間招待」の目録を贈呈した。
次に、上位入賞の1等賞(5人)、2等賞(15人)、3等賞(60人)受賞者がそれぞれ発表され、この日のために中国各地から駆けつけた受賞者たちに賞状と賞品が授与された。メディアパートナーの朝日新聞社からは、2等賞以上の受賞者に対し「これで日本語の学習に一層励んでほしい」と朝日新聞が半年から1年間、無料で閲覧できる「朝日新聞デジタルID」がプレゼントされた。
続いて、2015年に創設された「優秀指導教師賞」の受賞者が発表された。
「優秀指導教師賞」は、コンクール3等賞以上の受賞者を育てた教師に対して、その日ごろの努力と成果をたたえるもの。受賞教師にそれぞれ同賞が授与された。
この後、受賞者を代表して日本語によるスピーチが行われ、日本大使賞受賞の潘呈さんをはじめ、1等賞受賞の龔緯延(きょう・いえん)さん(西安電子科技大学)、朱琴剣(しゅ・きんけん)さん(西北大学)、韓若氷(かん・じゃくひょう)さん(大連外国語大学)、呂天賜(ろ・てんし)さん(河北工業大学)、趙文会(ちょう・ぶんかい)さん(青島農業大学)の6人全員が登壇。
このコンクールには4回目の参加にして、今回ついに念願の日本大使賞に輝いた潘呈さんが、東京五輪を機に自分の力を生かして正しい翻訳を提供したいと訴えたほか、難しい日本の敬語に慣れるため「敬語をしゃべるドラえもんのアニメを制作してほしい」とユニークな提言をした?緯延さん、日本アニメの聖地巡礼で韓国人と友だちになり、国境を超えるアニメの魅力を再認識したという呂天賜さんなど、それぞれが受賞作を堂々とした日本語で発表。その上で、一人ひとりが受賞の喜びや感謝の気持ちを伝えるなど、日ごろの学習の成果を十二分に披露した。
「優秀指導教師賞」の代表スピーチとしては、1等賞以上の受賞者を育てた教師のうち、上海理工大学の張文碧先生、西安電子科技大学の盧磊先生、西北大学の薛紅玲先生、大連外国語大学の川内浩一先生、河北工業大学の丁寧先生、青島農業大学の李錦淑先生の6人が登壇。
受賞に対して感謝の意が表されたほか、今回の指導報告として作文を書く上で大事なのは「(1)観察眼
(2)生き生きとした文体 (3)過去の入賞作の分析 (4)正確な文法 (5)生の声を伝えること」だとした張文碧先生、「かっこいい作文を書こうとせず、自分の気持ちに誠実に書いてください」とした川内先生、「作文と本気で向き合い、本当に書きたい内容を書き、読者を引きつける作品であること」とした丁寧先生など、それぞれの指導教師から重要な指摘と励ましの言葉があった
。
来賓の挨拶に続いて、主催者を代表して日中交流研究所の段躍中所長が本コンクールの開催について、壇上のスクリーンに図表などを映し出しながら報告。
コンクールは、この15年間で中国全土の300を超える大学や大学院、専門学校などからのべ4万5849人の応募があり、うち佳作賞以上の受賞者はのべ2425人を数える。こうした実績により、コンクールはいまや中国で日本語を学ぶ中国人学生にとって「参加すること自体が大きな目標になる」ほどの知名度と権威性の高い大会へと成長を遂げてきた。
さらに、コンクールの入選作品をまとめた「受賞作品集」をこれまでに15巻刊行(いずれも日本僑報社刊)。合わせて993本に上る上位入賞作品を掲載し、日中両国のメディアに数多く報道されているほか、「中国の若者の声」として各界から注目されていることなどが紹介された。
段躍中所長は15年にわたる各界からの支援に感謝の意を述べるとともに、「日本語学習を通じて日本への理解を深めた学生たちを、これからも応援していただきたい」と、コンクールへの一層の理解と支援を呼びかけた。
続いて、来年の第16回コンクールのテーマが発表された。次回より、毎回テーマに1つのコンセプト(全体を貫く基本概念)を設け、それに沿ったテーマを3つ提示するという新方針が紹介された上で、次回のコンセプトは「観光」であること、テーマは(1)こうだといいな!日本観光――中国の若者が気づいたこと
(2)「観光公害」を防ぐために、私にできることは? (3)先生が教えてくれた、日本のおもしろローカル観光――の3つであることが伝えられた。
応募期間は、来年2020年の5月中となる予定。
段所長からは「引き続き、多くの学生の皆さんに応募していただきたい。今から準備してください!」などと熱い呼びかけがあった。
受賞者たちは、晴れ晴れとした笑顔を見せるとともに「受賞が大きな励ましになった。将来は日本に留学したい」「来年はもっと上位を目指してがんばります」などと語り、この日の華やかな表彰式を機として、いっそうの日本語学習意欲を示していた。