表彰式・日本語スピーチ大会、北京の日本大使館で開催
「『日本語の日』に花を咲かせよう」――最優秀賞の宋妍さんら学習の成果を発揮
 
 【日本僑報社発】日本僑報社・日中交流研究所主催の「第13回中国人の日本語作文コンクール」の表彰式と日本語スピーチ大会が12月12日(火)午後、北京の在中国日本大使館で、横井裕大使をはじめ上位入賞者ら関係者約150人が出席して開かれた。
 日中国交正常化45周年の節目の年である今年(2017年)、本コンクールはその認定事業の一環として開催された。

 (表彰式共催:日本大使館、コンクール協賛:株式会社ドンキホーテホールディングス、公益財団法人東芝国際交流財団、メディアパートナー:株式会社朝日新聞社)

 来賓として、横井大使をはじめ日本大使館の川上文博公使参事官・広報文化部長、ドンキホーテホールディングスの橋光夫専務取締役兼CFO、東芝の須毛原勲中国総代表、東芝国際交流財団の大森圭介専務理事、朝日新聞社の古谷浩一中国総局長、伊藤忠商事の常務執行役員東アジア総代表で中国日本商会の上田明裕会長などが出席した。

 中国人の日本語作文コンクールは、日本と中国の相互理解と文化交流の促進をめざして、2005年にスタート。中国で日本語を学ぶ、日本に留学経験のない学生を対象として、今年で第13回を迎えた。今回は中国各地の大学や専門学校など189校から、計4031本もの多くの作品が寄せられた。
 
 日中関係は今年、国交正常化45周年の節目の年を迎え、この重要な機会を生かして一層の関係改善を図ろうとする期待が高まった。こうした前向きな両国関係の背景をとらえ、中国で日本語を学ぶ若者たちの日本語学習熱が一定して高いことが示された形となった。
 
 今回のテーマは(1)日本人に伝えたい中国の新しい魅力 (2)中国の「日本語の日」に私ができること (3)忘れられない日本語教師の教え――の3つ。

 数次にわたる厳正な審査の結果、最優秀賞の「日本大使賞」から佳作賞まで計292本(人)が入選を果たし、河北工業大学日本語学部4年(作文執筆時は同3年)の宋妍(そう・けん)さんによる「『日本語の日』に花を咲かせよう」がみごと日本大使賞の栄冠に輝いた。

 「『日本語の日』に花を咲かせよう」は、東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く」のビデオ制作活動を知り、周囲の人たちを誘って実際に歌った経験を交えて「日本語の日」こそこの歌を届けたいと、復興を目指してがんばる日本人への温かな励ましの気持ちを綴った作品。

 表彰式で挨拶した横井大使は、この作品を自ら大使賞に選んだ理由について「宋さんの経験は、私が、外交官として中国の方々と交流し、協力し合いながら、日本と中国の交流促進のために力を尽くしてきた経験と重なるものでした。こうした共感も宋さんの作品を大使賞とした理由の一つです」と語り、作文に「共感」を得たことが大使賞選出の大きなキッカケとなったことを明らかにした。
 今後の日中関係を発展させるためには「中国の多くの若い方々にも、皆さんのように日本語を学ぶとともに、日本人と一緒に学び、仕事をすることで、日本のことを深く理解していただくことが何よりも大切であると考えております」などと相互理解の大切さについて強調。
 さらに、日本語を学ぶ中国の学生たちに向けて「日本の同世代の若者と様々な交流を積み重ねられ、将来にわたって、日中友好の担い手として活躍されることを期待しています」と力強いエールを送った。横井裕大使のご挨拶(全文)はこちら

 
  日本大使賞の授与式では、横井大使から宋妍さんに賞状が贈られたほか、日中交流研究所の段躍中所長(日本僑報社編集長)から副賞の「日本1週間招待」の目録が手渡された。
 会場には、宋さんのふるさと河北省邯鄲市から駆けつけた両親の姿もあり、宋さんの受賞とともに出席者たちから大きな拍手を受けていた 。
 続いて上位入賞の1等賞(5人)、2等賞(15人)、3等賞(60人)受賞者がそれぞれ発表され、この日のために中国各地から駆けつけた受賞者たちに賞状と賞品が授与された。メディアパートナーの朝日新聞社からは、2等賞以上の受賞者に対し「これで日本語の学習に一層励んでほしい」と朝日新聞が半年から1年間、無料で閲覧できる「朝日新聞デジタルID」がプレゼントされた。

 受賞者代表のスピーチでは、日本大使賞受賞の宋妍さんをはじめ、1等賞受賞の邱吉さん(浙江工商大学、現在は関西大学大学院に留学中)、張君恵さん(中南財経政法大学大学院)、黄鏡清さん(上海理工大学)、林雪婷さん(東北大学秦皇島分校)の5人が登壇。
 「日本語や日本に触れたい一人でも多くの人と共に、日本語を学びながら『花は咲く』という歌を歌えば(被災した)日本人の心を癒すことができるはずだ」と訴えた宋妍さんのほか、「中国文化のソフトパワー、漢方医学の素晴らしさを日本人に伝えたい」と漢方医であった祖父の思い出を交えて語った邱吉さん、指導教師の励ましにより作文コンクールに再チャレンジした過程を生き生きと描き、昨年に続いて1等賞を連続2回受賞した初めての学生となった張君恵さんなど、それぞれが受賞作を堂々とした日本語で発表。さらに、一人ひとりが受賞の喜びと感謝の気持ちを自由にスピーチするなど、日ごろの学習の成果を存分に発揮した。


 

 来賓の挨拶に続いて、日中交流研究所の段躍中所長が本コンクールの開催について、壇上のスクリーンに図表などを映し出しながら報告。
  コンクールはこの13年間で300を超える大学からのべ3万7202人の応募があり、うち受賞者(佳作賞以上)はのべ1813人を数える。こうした実績により、コンクールはいまや中国で日本語を学ぶ中国人学生にとって「参加すること自体が大きな目標になる」ほどの知名度と権威性の高い大会へと成長を遂げてきた。

 さらに、コンクールの入選作品をまとめた「受賞作品集」をこれまでに13巻刊行(いずれも日本僑報社刊)。合わせて831本に上る上位入賞作品を掲載し、日中両国のメディアに多数報道されているほか、「中国の若者の声」として各界から注目されていることなどが紹介された。
 段躍中所長は13年にわたる各界からの支援に感謝の意を述べるとともに、「日本語学習を通じて日本への理解を深めた学生たちを、これからも応援していただきたい」と、コンクールへの一層の理解と支援を呼びかけた。

 続いて、来年の第14回コンクールのテーマが発表された。日中平和友好条約締結40周年の節目の年となる2018年は、これを記念するものとして(1)中国の若者が見つけた日本の新しい魅力 (2)日本の「中国語の日」に私ができること (3)心に残る、先生のあの言葉――の3つのテーマが挙げられた。
応募期間は2018年5月8日(火)から5月31日(木)。段所長から「引き続き、多くの皆さんに応募していただきたい。2回、3回と連続受賞を目指してください」などと熱心な呼びかけがあった。


 表彰式第1部の「学生の部」に続く第2部は「先生の部――日本語教師フォーラムin 中国」として、一昨年より創設された「優秀指導教師賞」の受賞者が発表された。
 「優秀指導教師賞」は、コンクール3等賞以上の受賞者を育てた教師に対して、その日ごろの努力と成果をたたえるもの。受賞者それぞれに同賞が授与された。

 続いて「優秀指導教師賞」受賞の指導教師を代表して、河北工業大学の高良和麻先生、浙江工商大学の賈臨宇先生、中南財経政法大学の中村紀子先生、上海理工大学の郭麗先生、東北大学秦皇島分校の濱田亮輔先生、運城学院(現・湖南大学)の瀬口誠先生の6人が登壇。
 作文を書く場合、まずは読者の存在を念頭に置き、その上で「力を入れすぎず、身の丈に合った言葉を用い、方向性を持って文章を書こう」(賈臨宇先生)などといった「作文の書き方指導」についての報告があった。


 この後、受賞者と来賓、主催者らが全員そろっての記念撮影が行われた。
 受賞者たちは、すがすがしい笑顔を見せるとともに「受賞してうれしい。これを励みに来年もチャレンジしたい」「上位入賞者の素晴らしいスピーチを聞き、感激した。私も負けずに頑張りたい」などと語り、さらなる日本語学習の向上に強い意欲を見せていた。


 



 メディア報道
 




朝日新聞 Digital 2017.12.12
NHK news web 2017.12.12
中国新聞網 2017.12.12
   
   
 

 
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