開催報告と謝辞
日本僑報社・日中交流研究所 所長 段 躍中



■概要■
主催:
日本僑報社・日中交流研究所
協賛:
株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、公益財団法人東芝国際交流財団
メディアパートナー:朝日新聞社
後援:
在中国日本国大使館、(公社)日本中国友好協会、日本国際貿易促進協会、(一財)日本中国文化交流協会、日中友好議員連盟、(一財)日中経済協会、(一社)日中協会、(公財)日中友好会館、日本日中関係学会、(一社)アジア調査会、中国日本商会、北京日本倶楽部  (順不同)
協力:
日中文化交流センター、(公財)日中国際教育交流協会
   
*第十五回中国人の日本語作文コンクールは、外務省により、二〇一九年の「日中青少年交流推進年」行事として認定されました。

 

■応募状況■
   第十五回日本語作文コンクールは従来通り、日本での半年以上の留学経験のない中国人学生を対象として、今年は五月十五日から三十一日までの約二週間にわたり作品を募集しました。
集計の結果、中国のほぼ全土にわたる二十六省市自治区の二百八校の大学、大学院、専門学校、高校などから、計四千三百五十九本もの作品が寄せられたことがわかりました。これは前年の四千二百八十八本を上回り、近年でも上位に並ぶ作品数の多さとなりました。
 日中関係は、二〇一七年の国交正常化四十五周年、二〇一八年の平和友好条約締結四十周年という節目の年を経て、両国首脳の相互往来が重ねられるなど改善の流れが加速しています。また今年は青少年交流を進めるため、両国政府が定めた「日中青少年交流推進年」と位置づけられています。
 こうした積極的な日中関係の背景をとらえ、中国で日本語を学ぶ中国の若者たちの日本語学習熱が今なお高まりを見せていることが示された形となりました。
 詳しい集計結果を見ると、応募総数四千三百五十九本のうち、男女別では男性七百八十六本、女性三千五百七十三本。女性が男性の約四・五倍に上り、圧倒的多数でした。
今回のテーマは(一)東京二〇二〇大会に、かなえたい私の夢! (二)日中新時代を考える――中国の若者からの提言  (三)今こそ伝えよう! 先生、家族、友だちのこと――の三つあり、テーマ別では(一)九百八十一本、(二)千三百三十六本、(三)二千四十二本と、(三)が最多となりました。

※作文コンクール公式サイト「テーマ趣旨説明」  http://duan.jp/jp/20192.htm
 地域(行政区)別では、寧夏回族自治区、新疆ウイグル自治区、チベット自治区などを除く中国のほぼ全土にわたる二十六省市自治区から応募がありました。最多は遼寧省の六百四十二本、次いで山東省の六百三十九本、浙江省の五百四十二本、広東省の三百二十五本、江蘇省の三百十九本と、日本語学習者が多いとされる中国東北部と沿海部からの応募が上位を占めました。

 
■審査の経過■
【第一次審査】
  第一次審査は、日本僑報社・日中交流研究所の「中国人の日本語作文コンクール」事務局を中心に、さらに本活動にご協力いただける一次審査員を一般公募した上で、個別に依頼し進めました(審査の公平性を確保するため、在中国の現任教師は審査員として依頼しませんでした)。審査の前に、募集要項の規定文字数に満たない、ある
いは超過している作品を審査対象外とした上で、各規定をクリアした作品について採点しました。今回の一次審査の審査員として、主に左記の方々がご協力くださいました。
岩楯嘉之、大上忠幸、岡田貴子、小林さゆり、佐藤則次、高橋文行、高柳義美、田中敏裕、中山孝蔵の各氏です(五十音順)。
 
【第二次審査】
  第二次審査は、公正を期するために応募者の氏名と大学名を伏せ、受付番号のみがついた対象作文(上位21作品)を審査員に採点していただく形で実施しました。今回は、下記の審査員11名が二次審査にご協力くださいました(五十音順・敬称略)。

 
赤岡直人
岩楯嘉之 
折原利男 
関 史江 
瀬野清水
高橋文行
塚越 誠
林 千野
二井康雄
古谷浩一
和田 宏
(公財)日中国際教育交流協会 業務執行理事
前NPO法人日中交流支援機構 事務局長
看護専門学校講師、日中友好8・15の会会員
技術アドバイザー
元重慶総領事
日本経済大学大学院教授
書家、日中文化交流の会 日本代表
日中関係学会副会長、双日株式会社海外業務部中国デスクリーダー
映画ジャーナリスト、書き文字作家
朝日新聞論説委員
前NHKグローバルメディアサービス専門委員、神奈川県日中友好協会会員
【第三次審査】
 第三次審査は、二次審査による合計得点の高かった学生に対し、スマートフォンの音声アプリ(ウィーチャット)でそれぞれ直接通話をし、口述審査を行いました(審査員・佐藤則次氏、段躍中)。その上で、新たに日本語による短い感想文を即日提出してもらい、審査基準に加えました。
 
【最終審査】
  最終審査は、二次審査と三次審査の合計点により選出した一等賞以上の候補者計6名の作品を北京の日本大使館あてに送付し、現任の横井裕大使ご自身による審査で最優秀賞となる「日本大使賞」を決定していただきました。
 
 
■各賞と結果報告■
  各審査員による厳正な審査の結果、今回の応募総数4359本から、計310本の作者に対して各賞を授与しました。内訳は、最優秀・日本大使賞1名、一等賞5名、二等賞15名、三等賞60名、佳作賞229名です。
第15回コンクールにおいても従来と同様に、三等賞までの上位入賞作(81本)は「受賞作品集」として書籍(本書)にまとめ、日本僑報社から出版しました。
 表彰式は2109年12月12日(木)に北京の日本大使館で開催。最優秀賞受賞者は、副賞として翌2020年上半期に日本に一週間招待される予定です。
 
■園丁賞について■
  学生の日本語能力向上に貢献された功績をたたえるため、日中国交正常化35周年にあたる2007年の第3回コンクールから、学生の作文指導に実績のある学校及び日本語教師を表彰する「園丁賞」(第3回の「園丁奨」より改称)を創設しました。「園丁」とは中国語で教師のことを意味しています。
対象となるのは、応募校一校につき団体応募数が五50本を超えた学校です。当該校には賞状を授与しました。
また、より多くの学生に学びの幅を広げてもらうよう、最も応募作の多かった学校に15万円相当、50本以上の応募があった学校に5万円相当の書籍をそれぞれ寄贈いたしました。
日本語を学ぶ学生たちに十分に活用していただきたいと思います。日本語教師の皆様には記念書籍を通じて、日本文化と日本語の普及、日本語教育の推進に役立てていただければ幸いです。
 
  今回の園丁賞受賞校は、計35校となりました。受賞校と応募数(算用数字)は次の通り。受賞校の皆様、誠におめでとうございます。
吉林外国語大学(169)、湖州師範学院(156)、大連工業大学(119)、陽光学院(116)、大連外国語大学ソフトウェ
ア学院(113)、武漢理工大学(112)、大連芸術学院(108)、大連民族大学(103)、天津科技大学(102)、魯東大学(84)、安陽師範学院(82)、嶺南師範学院(82)、三峡大学(76)、山東工商学院(76)、恵州学院(75)、常熟理工学院(74)、山西大学(72)、湖北文理学院(65)、大連交通大学(64)、曲阜師範大学(62)、寧波工程学院(57)、ハルビン理工大学栄成学院(56)、貴州大学(56)、棗荘学院(55)、江西農業大学外国語学院(54)、鹽城工学院(53)、蘭州大学(51)、浙江大学寧波理工学院(50)、嘉興学院(50)、湖南大学(50)、韶関学院( 50 )、浙江万里学院(50)、江西農業大学南昌商学院(50)、上海海事大学(50)、中南林業科技大学(50)。
 
■優秀指導教師賞について■
  2015年の第11回コンクールより、前述の「園丁賞」のほか優れた指導教師個人をたたえる「優秀指導教師賞」と「指導教師努力賞」をそれぞれ創設、2016年の第12回コンクールより「優秀指導教師賞」の授与を継続実施しています。これは中国で日本語を学ぶ学生たちに、日本語や日本の文化を熱心に教えておられる中国人教師、ならびに日本人教師の日ごろの努力とその成果をたたえるものです。
 対象となるのは、3等賞以上の受賞者を育てた日本語教師で、受賞者には賞状と記念品が授与されます。
 
  今回の優秀指導教師賞の受賞者と学校名は次の通り(発表順、敬称略、複数受賞者は2回目から省略)。教師の皆様、誠におめでとうございます。
張文碧、福井祐介(上海理工大学)、盧磊、加藤保之(西安電子科技大学)、薛紅玲(西北大学)、川内浩一(大連外国語大学)、丁寧(河北工業大学)、李錦淑、佐藤敦信(青島農業大学)、魏海燕、奥野昂人(西安翻訳学院)、毛賀力(上海海事大学)、汪瑋嘉、齋藤和美(合肥学院)、島田友絵(華東師範大学)、孫斐、小田孟(東北大学秦皇島分校)、川口智久(北京理工大学附属中学)、柳井貴士(蘭州大学)、神田英敬(武漢理工大学)、李紅、仙翔太(南京農業大学)、小椋学(南京郵電大学)、宍倉正也(恵州学院)、汪南(西華大学)、桐田知樹(北京第二外国語学院)、大工原勇人(中国人民大学)、古田島和美(常州大学)、邱春泉、佐藤力哉(湖南大学)、井田正道(華僑大学)、大橋あゆみ(中南大学)、伏見博美、厳文紅(広東東軟学院)、大竹昌平、丹波秀夫(蘭州理工大学)、金花(煙台大学)、許霄翔(ハルビン理工大学栄成学院)、池田健太郎(電子科技大学)、南由希子(東北育才外国語学校)、劉峰(上海師範大学)、森本卓也(江西農業大学南昌商学院)、田鴻儒、水野洋子(浙江外国語学院)、堀川英嗣、清原健(山西大学)、張鵬、高橋智子(西北大学)、王彦、藤波喜代美(東華理工大学長江学院)、洪優、南和見(杭州師範大学)、大熊博(華南農業大学)、木村あずさ(広東外語外貿大学南国商学院)、陳馥郁(大連芸術学院)、田畑博子、邵艶平、潮田央(曲阜師範大学)、張麗珺(上海師範大学天華学院)、田中哲治(大連海事大学)、岩山泰三(山東大学外国語学院)、露木震一(武漢外国語学校)、盛文淵(浙江外国語学院)、梁長歳(北方工業大学)、高良和麻(河北工業大学)、濱田亮輔、金稀玉(浙江師範大学)、永田隼也、マジャロペス明香里(大連外国語大学)、邢雅怡(東北大学秦皇島分校)、冨田絵美(湖州師範学院)、大滝成一、金蕾(安徽師範大学)、芮真慧(遼寧大学外国語学院)、岩佐和美(東華大学)、太文慧(東北師範大学)、黒岡佳柾(福州大学)、斉娜(西安翻訳学院)、郭麗(上海理工大学)、孟会君(天津理工大学)、飯田美穂子(大連理工大学)、鄧圓、李秋萍(桂林理工大学)、王金博(西安電子科技大学)、馬聡麗(西安財経大学)、陳新妍(浙江外国語学院)、張成(華中師範大学)、山口聡(上海外国語大学附属外国語学校)。
 
■作品集と講評について■
  日中交流研究所の母体である日本僑報社は、第1回の作文コンクールから受賞作品集を刊行しており、本書で15作目となります。
これまでのタイトルは順に、
第1回『日中友好への提言二〇〇五』
第2回『壁を取り除きたい』
第3回『国という枠を越えて』
第4回『私の知っている日本人』
第5回『中国への日本人の貢献』
第6回『メイドインジャパンと中国人の生活』
第7回『蘇る日本! 今こそ示す日本の底力』
第8回『中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?』
第9回『中国人の心を動かした「日本力」』
第10回『「御オ宅タク」と呼ばれても』
第11回『 なんでそうなるの? 中国の若者は日本のココが理解できない』
第12回『訪日中国人 「爆買い」以外にできること』
第13回『日本人に伝えたい中国の新しい魅力』
第14回『 中国の若者が見つけた日本の新しい魅力―見た・聞いた・感じた・書いた、新鮮ニッポン!』
 これら14作の作品集は大変ご好評をいただき、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、NHKなど大手メディアで多数紹介されたほか、全国各地の図書館、研究室などに収蔵されております。

 今回のテーマは前述の通り、(一)東京2020大会に、かなえたい私の夢!  (二)日中新時代を考える――中国の若者からの提言 (三)今こそ伝えよう! 先生、家族、友だちのこと――の三つとしました。
 今回は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)を翌年にひかえることからこれをテーマの一つとし、日中関係のさらなる深化・発展の一助になり得るような意見や提言のある作文を募集しました。
 (一)の「東京2020大会に、かなえたい私の夢!」は、今回の作文コンクールのメインテーマといえるものであり、本書のタイトルとしても使用しました。東京2020大会は、分野的・時間的・地域的に広がりを持った、これまで以上に世界に開かれ、世界とつながる熱い大会になることが期待されています。そこで、中国で日本語を学ぶ若い皆さんに「東京2020大会に、かなえたい夢」について自由に書き綴ってもらいました。
大会への関わりは直接的でも間接的でも、あるいは全く関係がなくても、2020年のその年に照準を合わせたものであれば、スポーツに限らずどのような内容でも構わないこととしました。若者らしい柔軟な発想、フレッシュな感性、多様な視点で、2020年への大いなる夢を述べてもらいました。
 (二)の「日中新時代を考える――中国の若者からの提言」は、日中関係の新しい時代について考えてもらいました。日中関係は、2017年の国交正常化四十五周年、2018年の平和友好条約締結四十周年という節目の年を経て、両国首脳の相互往来が重ねられるなど改善の流れがいっそう加速しています。
 こうした情勢のもと、今後の日中関係はどうあるべきか? これからの両国関係に求められること、両国がともに目指すべきことは?
 未来の両国関係にとって重要なこととは何か? 日本と中国にとっての新しい時代――「日中新時代」について、また「日中新時代」のあるべき姿、理想像などについて、若者ならではの自由な発想で考えをまとめてもらいました。
 (三)の「今こそ伝えよう! 先生、家族、友だちのこと」は、日本語作文コンクールの第十一回(二〇一五年)より、毎年掲げるテーマの一つ「日本語教師の教え」の流れを汲むものです。今回は先生のみならず、家族や友だち、先輩など、テーマとなる対象を幅広く考えました。
 学生の皆さんの周りには、個性的な魅力あふれる自慢の先生や家族、友だち、先輩などが少なからずおられるのではないでしょうか?   そのような、どうしてもほかの人に伝えたい魅力的な人物について紹介してもらいました。それをもって学生側から周囲の人たちに対して感謝の気持ちを表すとともに、先生方にはその作文を今後の指導の参考にしていただければと考えました。

 総評としては、今回の作品はこれまで同様、またはそれ以上に優劣つけがたい優れた作品が多く、各審査員を悩ませました。
 ある審査員は、今回の印象として「作者たちは日本語の専攻をしているとはいえ、大変綺麗な日本語を書き、表現力も見事なので、感心するばかりである。日本人の大学生で、これだけ立派な日本語を書ける人が一体どれだけいるだろうか?」と、中国の学生たちの日本語レベルの高さにすっかり感心しておられました。
 また、上位の審査にかかわったある審査員は「文法も、内容も、いずれも十分に推敲された作文で、すべて素晴らしく、評価にとても迷いました。全てを読み終わった後に、心に残る内容の作文に、高い点を付けました」と採点の難しさと高評価となった作文のポイントについて明かされました。
 総じて言えば(一)日本語の正しい文法、適切な表現を使っていること  (二)強いメッセージ性やきちんとした主張があること (三)実際の体験談や事例を挙げる場合に、説得力があること  (四)総花的(要点をしぼらずに全ての事柄をならべること)、こじつけ的、観念的ではないこと  (五)読者の心に残るような感動を与えること、またはこれからの日中関係にプラスになるような具体的提言があること――などが高評価のポイントになったようです。
 入賞作品は最終的にこのような結果となりましたが、順位はあくまでも一つの目安でしかありません。最優秀賞から佳作賞まで入賞した作品は、どの作品が上位に選ばれてもおかしくない優秀なできばえであったことを申し添えたいと思います。
 いずれの作品にも、普段なかなか知り得ない中国の若者たちの「本音」がギッシリと詰まっていました。中には、日本人にはおよそ考えもつかないような斬新な視点やユニークな提言もありました。そうした彼ら彼女らの素直な「心の声」、まっすぐで強いメッセージは、一般の日本人読者にもきっと届くであろうと思います。日本の読者の皆様には、本書を通じて中国の若者たちの「心の声」に耳を傾け、それによってこれからの日本と中国の関係を考えていただくほか、日本人と中国人の「本音」の交流のあり方についても思いを致していただければ幸いです。
 このほか今回のコンクールにおいても、在中国の日本語教師の皆様からそれぞれ貴重な体験談をお寄せいただき、本書に併せて掲載しました。これら教育現場の第一線におられる先生方の体験談は、その日々の教育へのご尽力を伝えるのみならず、学生たちが作文コンクールで優秀な成績を収めるための「アドバイス」でもあるといえます。
 この作文コンクールに初トライしたい学生の皆さん、今回は残念な結果に終わったものの、次回以降またチャ
 レンジしたい学生の皆さん、現場の先生方、そして本書シリーズの愛読者の皆様にはぜひ、この『東京2020大会にかなえたい、私の夢!』に収められた優秀作、そして日本語教師の方々の体験談を参考にしていただけたら幸いです。

*書籍化にあたり、今回より受賞作は筆者ご自身に版下データの校正をしていただきました。ご協力ありがとうございました。その上で、本書掲載の作文はいずれも文法や表記、表現(修辞法など)について、明らかな誤りや不統一が見られた箇所について、編集部が若干の修正を加えさせていただきました。
*本書の掲載順は、一等賞と二等賞が総合得点の順、三等賞と佳作賞が登録番号順となっております。併せてご了承いただけましたら幸いです。

■謝辞■
  おかげさまで、今年も「中国人の日本語作文コンクール」を滞りなく開催することができました。この場をお借りして、ご支援、ご協力いただいた全ての皆様に厚く御礼を申し上げます。
 在中国日本大使館には第一回からご後援をいただいております。第四回からは最優秀賞に当たる「日本大使賞」を設け、歴代大使の宮本雄二、丹羽宇一郎、木寺昌人、および現任大使の横井裕の各氏にはご多忙の中、直々に大使賞の審査をしていただきました。ここで改めて、歴代大使と横井大使をはじめ大使館関係者の皆様に、心より御礼を申し上げます。
 第二回から第六回までご支援いただきました日本財団の笹川陽平会長、尾形武寿理事長の本コンクールへのご理解と変わらぬご厚誼にも深く感謝を申し上げます。
 そして第七回より協賛をいただいている株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(旧株式会社ドンキホーテホールディングス)の創業者で取締役、公益財団法人安田奨学財団理事長の安田隆夫氏からは日本留学生向けの奨学金制度設立などの面でも多大なご支援を賜りました。これは中国で日本語を学ぶ学生たちにとって大きな励みと目標になるものです。ここに心より感謝を申し上げます。
 第9回からは、公益財団法人東芝国際交流財団にもご協賛をいただいております。改めて御礼を申し上げます。朝日新聞社には、第七回からご協賛をいただき、第10回からはメディアパートナーとしてご協力いただいております。中村史郎氏、坂尻信義氏、古谷浩一氏、西村大輔氏ら歴代の中国総局長をはじめ記者の皆さんが毎年、表彰式や受賞者について熱心に取材され、その模様を大きく日本に伝えてくださっています。それは先年の日中関係が冷え込んだ時期であっても、日本人が中国に対してより親近感を持ち、客観的にとらえることのできる一助になったことでしょう。同社のご支援とご協力に心より感謝の意を表します。
 最優秀賞受賞者の「日本一週間招待」に際し、多大なご支援、ご協力をいただいた皆様にも心より御礼を申し上げます(受賞者の訪日記録をご参照ください)。
 谷野作太郎元中国大使、作家の石川好氏、国際交流研究所の大森和夫・弘子ご夫妻、さらにこれまで多大なご協力をいただきながら、ここにお名前を挙げることができなかった各団体、支援者の皆様にも感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。
 また、マスコミ各社の皆様には、それぞれのメディアを通じて本コンクールの模様や作品集の内容を丁寧にご紹介いただきました。そして日中〝草の根交流〟の重要性や、日中関係の改善と発展のためにも意義深い中国の若者の声を、広く伝えていただきました。改めて御礼を申し上げます。
 中国各地で日本語教育に従事されている先生方に対しましても、その温かなご支援とご協力に感謝を申し上げます。
 これまでに中国各地の三百校を超える学校から応募がありましたが、このように全国展開できた上、今回の応募数が第1回(1890本)の2倍超となる4359本に上るなど、本コンクールがこれほど高い知名度と信頼を得られたのは、教師の皆様のご尽力のおかげです。
 各審査員の皆様にも深く感謝を申し上げます。一次審査では今回の4000本を超える作品全てに目を通し、内容の深さやおもしろさ、独自性、文法の正確さなどにより採点し選考していただきました。これは本コンクール審査の根幹となるもので、最も時間と労力を要する重要な段階です。
 二次審査では外部有識者にご協力いただき、厳正な審査の上でそれぞれ的確な講評もいただきました。口述審査となる三次審査では、上位入賞候補者に対し直接日本語でやりとりし、その日本語のレベルをはかるというお骨折りをいただきました。
 最終審査は、現任の横井大使ご自身による審査で「日本大使賞」を決定していただきました。大使には公務で大変お忙しい中、快く審査をお引き受けいただき、本当にありがとうございました。
 各審査員の皆様には多大なるご支援とご協力を賜り、改めて厚く御礼申し上げます。
 最後になりますが、応募者の皆さんにも改めて御礼を申し上げます。まず、応募作は今年も秀作、力作ぞろいでした。主催者はこれまで出版した作文集をたびたび読み返し、その都度、皆さんの作文からさまざまな刺激を受けて、民間の立場から日中関係をより良いものにしていこうという勇気と希望を抱くことができました。
さらにこの十15年間、本コンクールは先輩から後輩へと受け継がれてきたおかげで、いまや中国の日本語学者の間で大きな影響力を持つまでに至りました。歴代の応募者、受賞者ら多くの関係者が今、日中両国の各分野
で活躍されています。
 皆さんが学生時代に本コンクールに参加して「日本語を勉強してよかった」と思えること、より日本への関心を深め、日本語専攻・日本語学習への誇りを高めていると耳にして、主催者として非常にうれしく思っています。
 また、皆さんのように日本語を身につけ、日本をよく理解する若者が中国に存在していることは、日本にとっても大きな財産であるといえるでしょう。皆さんがやがて両国のウインウインの関係に大きく寄与するであろうことを期待してやみません。
 中国人の日本語作文コンクールは、微力ではありますが、日本と中国の相互理解の促進、ウインウイン関係の構築、アジアひいては世界の安定と発展に寄与するため、今後もこの歩みを着実に進めてまいります。引き続き、ご支援、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
2019年11月吉日

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