開催報告と謝辞
日本僑報社・日中交流研究所 所長 段 躍中



■概要■
主催:
日本僑報社・日中交流研究所
協賛:
株式会社ドンキホーテホールディングス、公益財団法人東芝国際交流財団
メディアパートナー:朝日新聞社
後援:
在中国日本国大使館、(公財)日中友好会館、(一財)日中文化交流協会、日中友好議員連盟、(公社)日中友好協会、
(一社)日中協会、日本国際貿易促進協会、(一財)日中経済協会、中国日本商会、北京日本倶楽部、日本日中関係学会、
(一社)アジア調査会
協力:
日中文化交流センター、(公財)日中国際教育交流協会
   
*第14回中国人の日本語作文コンクールは、外務省および日中交流促進実行委員会により、2018年日中平和友好条約締結40周年の「周年事業」として認定されました。

 

■応募状況■
  第14回日本語作文コンクールは従来通り、日本で半年以上の留学経験がない中国人学生を対象としました。
精査し集計した結果、中国のほぼ全土にわたる28省市自治区の235校の大学、大学院、専門学校、高校などから、計4288本もの作品が寄せられたことがわかりました。これは前年の4031本を大きく上回り、近年でも上位に並ぶ作品数の多さとなりました。
詳しい集計結果を見ると、応募総数4288本のうち、男女別では男性787本、女性3501本。女性が男性の約4・4倍を超えて、圧倒的多数でした。
今回のテーマは(1)中国の若者が見つけた日本の新しい魅力 (2)日本の「中国語の日」に私ができること  (3)心に残る、先生のあの言葉――の3つあり、テーマ別では(1)2045本  (2)540本 (3)1703本という結果で、(1)が最多となりました。

※作文コンクール公式サイト「テーマ趣旨説明」  http://duan.jp/jp/20182.htm
地域(行政区)別では、寧夏回族自治区、チベット自治区などを除く中国のほぼ全土にわたる28省市自治区から応募がありました。最多は浙江省の559本、次いで山東省の416本、広東省の408本、江蘇省の399本、遼寧省の383本と、日本語学習者が多いとされる中国東北部と沿海部からの応募が上位を占めました。

 
■審査の経過■
【第一次審査】
  第一次審査は、日本僑報社・日中交流研究所の「中国人の日本語作文コンクール」事務局を中心に、さらに本活動にご協力いただける一次審査員を一般公募した上で、個別に依頼し進めました(在中国の現任教師の場合、審査の公平性を確保するため、審査員の依頼対象から外させていただきました)。
審査の前に、募集要項の規定文字数に満たない、あるいは超過している作品を審査対象外とした上で、各規定をクリアした作品について採点しました。
今回の一次審査の審査員として、主に左記の方々がご協力くださいました。
岩楯嘉之、大上忠幸、太田美智代、越智優、小林さゆり、佐藤則次、高柳義美、田中敏裕、西谷丈成の各氏です(50音順)
 
【第二次審査】
  第二次審査は、公正を期するために応募者の氏名と大学名を伏せ、受付番号のみがついた対象作文(上位21作品)を審査員に採点していただく形で実施しました。
  今回は、左記の審査員13名が二次審査にご協力くださいました(50音順・敬称略)。
 
赤岡直人
伊藤政彦
岩楯嘉之
折原利男
関 史江
瀬野清水
高橋文行
谷川栄子
塚越 誠
藤村幸義
二井康雄
古谷浩一
和田 宏
(公財)日中国際教育交流協会 業務執行理事
元朝日新聞記者
前NPO法人日中交流支援機構 事務局長
元埼玉県立高校教員、日中友好8・15の会会員
技術アドバイザー
元重慶総領事
日本経済大学大学院教授
(株)ウィルナショナルファーストアカデミー 代表取締役 代表
書家、日中文化交流の会 日本代表
拓殖大学名誉教授、元日本経済新聞北京支局長、日本日中関係学会副会長
映画ジャーナリスト、書き文字作家
朝日新聞社 論説委員
NHKグローバルメディアサービス専門委員、神奈川県日中友好協会会員
【第三次審査】
 第三次審査は、二次審査で得点の高かった学生に対し、スマートフォンの音声アプリ(ウィーチャット)でそれぞれ直接通話をし、口述審査を行いました(審査員・佐藤則次氏、段躍中)。その上で、新たに日本語による短い感想文を即日提出してもらい、審査基準に加えました。
 
【最終審査】
  最終審査は、二次審査と三次審査の合計点により選出した一等賞以上の候補者計6名の作品を北京の日本大使館あてに送付し、現任の横井裕大使ご自身による審査で最優秀賞となる「日本大使賞」を決定していただきました。
 
 
■各賞と結果報告■
  各審査員による厳正な審査の結果、今回の応募総数4288本の中から、計302本の作者に対して各賞を授与しました。内訳は、最優秀・日本大使賞1名、一等賞5名、二等賞15名、三等賞60名、佳作賞221名です。
第14回コンクールにおいても従来と同様に、第3位までの上位入賞作(81本)は「受賞作品集」として書籍(本書)にまとめ、日本僑報社から出版しました。
表彰式は2018年12月12日(水)、北京の日本大使館で開催。最優秀賞受賞者は、副賞として翌2019年上半期、日本に1週間招待される予定です。
 
■園丁賞について■
  学生の日本語能力向上に貢献された功績をたたえることを目的とし、日中国交正常化35周年にあたる2007年の第3回コンクールから、学生の作文指導に実績のある学校及び日本語教師を表彰する「園丁賞」(第3回の「園丁奨」より改称)を創設しました。「園丁」とは中国語で教師のことを意味しています。
対象となるのは、応募校1校につき団体応募数が50本を超えた学校です。当該校には賞状を授与しました。また、より多くの学生が日本語書籍を手に取って学びの幅を広げていただけるよう、最も応募作の多かった学校に15万円相当、50本以上の応募があった学校に5万円相当の書籍をそれぞれ寄贈いたしました。
日本語を学ぶ学生たちに十分に活用していただきたいと思います。また、日本語教師の皆様には記念書籍を通じて、日本文化と日本語の普及、日本語教育の推進に役立てていただければ幸いです。
 
  今回の園丁賞受賞校は、計40校となりました。受賞校と応募数は次の通り。受賞校の皆様、誠におめでとうございます。
湖州師範学院(152)、大連海洋大学(119)、中南財経政法大学(104)、大連理工大学城市学院(103)、浙江万里学院(98)、武漢理工大学(96)、西南交通大学(95)、淮陰師範学院(85)、吉林華橋外国語学院(84)、天津工業大学(79)、東華大学(79)、浙江師範大学(72)、青島農業大学(71)、湖南大学(70)、大連工業大学(68)、魯東大学(66)、華僑大学(64)、青島大学(64)、天津科技大学(63)、華東政法大学(62)、山西大学(62)、江西外語外貿職業学院(60)、嘉興学院(58)、揚州大学(57)、大連東軟情報学院(56)、大連外国語大学(55)、東華理工大学(54)、海南師範大学(53)、中国海洋大学(51)、寧波工程学院(51)、嶺南師範学院(51)、塩城工学院(50)、菏澤学院(50)、恵州学院(50)、福建師範大学(50)、泰山学院(50)。
 
■優秀指導教師賞について■
  2015年の第11回コンクールでは、前述の「園丁賞」のほかに優れた指導教師個人をたたえる「優秀指導教師賞」と「指導教師努力賞」をそれぞれ創設、2016年の第12回コンクールより「優秀指導教師賞」の授与を継続実施しています。
これは中国で日本語を学ぶ学生たちに、日本語や日本の文化を熱心に教えている中国人教師、ならびに日本人教師の日ごろの努力とその成果をたたえるものです。対象となるのは、三等賞以上の受賞者を育てた日本語教師で、受賞者には賞状と記念品が授与されます。
 
  今回の優秀指導教師賞の受賞者と学校名は次の通り(学生受賞順、敬称略、複数回受賞者は二回目から省略)。教師の皆様、誠におめでとうございます
 丹波江里佳、丹波秀夫(復旦大学)、張科蕾、小川郁夫(青島大学)、中村紀子、周新平(中南財経政法大学)、日下部龍太(清華大学)、島田友絵(華東師範大学)、木村あずさ(広東外語外貿大学南国商学院)、岩佐和美(東華大学)、佐々木正治、徐蕊(江蘇師範大学)、柳井貴士(蘭州大学)、柴田公子(山東政法学院)、郭麗、福井祐介(上海理工大学)、朱琳(北京科技大学)、大工原勇人(中国人民大学)、章静波(浙江万里学院)、松下正行、許春艶(湖州師範学院)、纐纈健司、王鵬(黒龍江外国語学院)、呉麗麗、藤波喜代美(東華理工大学長江学院)、洪優、南和見(杭州師範大学)、李海榕(福建師範大学)、古田島和美(常州大学)、南都万規子(南陽理工学院)、賈臨宇、岡田重美(浙江工商大学)、半場憲二(武昌理工学院)、薛紅玲(西北大学)、張文碧(上海理工大学)、江慧浩(湖州師範学院)、楊本明(上海理工大学)、宇野雄二(華東師範大学)、郭鴻(天津工業大学)、鈴木穂高(東北育才外国語学校)、宋爽(天津財経大学珠江学院)、邱愛傑、佐藤寿(天津科技大学)、桐田知樹(大連外国語大学)、馬聡麗(西安財経大学)、後藤裕人(雲南民族大学)、北村美津穂(青島理工大学)、髙山宗一郎(北京林業大学)、向坂卓也(北京第二外国語学院)、宮山昌治(同済大学)、下堂薗朋美(暨南大学)、宋琦(湖州師範学院)、大滝成一(青海民族大学)、郭朝暾、木下教江(天津工業大学)、陳慧華(広東財経大学)、奥野昂人(西安交通大学)、石原美和(南京農業大学)、原田拓郎(広東海洋大学)、駒﨑達也(華東政法大学)、森本卓也(江西農業大学南昌商学院)、若林一弘(斉斉哈爾大学)、田中信子(渤海大学)、田中弘美(菏澤学院)、安部智子、張成(華中師範大学)、楊麗英、中野英夫(凱里学院)、森下朱理(大連海事大学)、瀬口誠(湖南大学)、王金博、亀貝果林(西安電子科技大学)、孕石泰得、方明姫(吉林経大学)、野口美紗(吉林華橋外国語学院)。
 
■作品集と講評について■
  日中交流研究所の母体である日本僑報社は、第1回の作文コンクールから受賞作品集を刊行しており、本書で14作目となります。
これまでのタイトルは順に、
第1回 『日中友好への提言2005』
第2回 『壁を取り除きたい』
第3回 『国という枠を越えて』
第4回 『私の知っている日本人』
第5回 『中国への日本人の貢献』
第6回 『メイドインジャパンと中国人の生活』
第7回 『蘇る日本! 今こそ示す日本の底力』
第8回 『中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?』
第9回 『中国人の心を動かした「日本力」』
第10回 『「御宅(オ タク)」と呼ばれても』
第11回 『なんでそうなるの? 中国の若者は日本のココが理解できない』
第12回 『訪日中国人 「爆買い」以外にできること』
第13回 『日本人に伝えたい中国の新しい魅力』
 これら13作の作品集は多くの方々からご好評を賜り、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、NHKなど大手メディアで紹介されたほか、全国各地の図書館、研究室などに収蔵されております。

 今回のテーマは(1)「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」 (2)「日本の『中国語の日』に私ができること」 (3)「心に残る、先生のあの言葉」の3つとしました。
 (1)の「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」は、今回の作文コンクールのメインテーマといえるものであり、本書のメインタイトルとしても使用しました。これは前回2017年の第13回作文コンクールのテーマの1つ「日本人に伝えたい中国の新しい魅力」の対(つい)になるテーマとなります。
 2020年東京五輪・パラリンピックを間近に控え、日本政府は同年に訪日客を4千万人に増やす目標を掲げています。こうした中、年々増加を続ける訪日中国人客は2017年に過去最高の735万人超を記録し、依然としてトップの座を維持しています。近年は「爆買い」ブームも一段落し、豊かになった中国の人々は日本の新しい魅力や価値、より大きな可能性を求めているころではないでしょうか?

 そこで今回は、2018年の日中平和友好条約締結40周年を記念して、中国の若い世代ならではのフレッシュな視点で、これまであまり知られていない日本のおもしろみやセールスポイントなどについて自由に書き綴ってもらいました。そうした若者たちの〝新発見〟は、中国ひいては外国の人々のみならず、日本の人々にとっても新鮮な気づきであり、意外性のある日本〝再発見〟となるに違いありません。それをもって平和友好条約40周年を大きく盛り上げ、訪日中国人客の一層の増加につながる一助になればと期待しました。

 (1)をテーマとした応募作の中で多く見られたのは、他人に「冷たい」といわれる日本人の本来の優しさ、温かさに触れたこと、細やかな「おもてなし」精神や「職人気質」、高齢化社会にあってなお元気で活躍するお年寄りの姿、人気ゲームを通して知った日本の歴史文化の魅力、平昌五輪のフィギュアスケート男子で連覇を達成した羽生結弦選手の活躍、自分の将来設計にも役立つ独特な「手帳文化」などです。
 とくに今回特徴的だったのは、観光や短期留学で実際に日本を訪れ、自らが発見した「新しい魅力」を具体的にまとめてくれた学生たちが多くいたことです。これは経済的に豊かになった中国の人々にとって、訪日旅行がより身近になっていることを示すものです。
 中でも上位に選ばれた作品を見ると、自分なりのユニークな視点で「日本の魅力」を見つけていること、ステレオタイプ的な理解や紹介に終わることなく、自らの体験を交えたリアリティーのあるエピソードを生き生きと綴ったことが高く評価されたようです。

 (2)の「日本の『中国語の日』に私ができること」は、主催者の日本僑報社・日中交流研究所が提唱する、日本における「中国語の日」(毎年8月8日を想定)に対し、「この日、自分なら何ができるか」を具体的に提言してもらおうという前向きな試みでした。
  前回のテーマの1つが「中国の『日本語の日』(毎年12月12日を想定)に私ができること」であり、今回はここでも対になるものとしてこのテーマを掲げました。
  この日は1日、日本(あるいは中国)で、日本の人々に中国語を広める活動をしてもらい、中国語をパイプ役として日本人と中国人の直接交流を深めてもらいたい。また日本人にとっては、中国・中国人・中国語の理解をより深めるチャンスにしたい。そのための具体的かつオリジナリティー豊かな取り組みを積極的に述べてもらいたいとリクエストしたものです。
  このテーマでは、昨年と同じように興味深い提言が数多く集まりました。例えば「中国語と日本語の同形異義語から生まれる誤解をなくすため辞典を作りたい」「中国の流行語を紹介するサイトを作り、日本人に〝生きた中国〟に興味をもってもらう」「中国料理を一緒に作り、味わいながら、言葉や文化などを学ぶ」「共通の文化である書道を通じて、中国語や中国書道の真髄を学ぶ」などです。
  その豊かな創造性からは、若い世代ならではのみずみずしい感性と熱い思いがうかがえました。そして、その多くが実現可能ですぐにでも取り組めそうな提言であったことも、中国の若者たちに頼もしさを覚えました。

 (3)の「心に残る、先生のあの言葉」は、第11回のテーマ「わたしの先生はすごい」、第12回テーマ「私を変えた、日本語教師の教え」、第13回テーマ「忘れられない日本語教師の教え」に続くものです。
 中国における日本語学習者は現在100万人を超えており、その100万人を指導する日本語教師の数は、約1万7千人(うち日本人教師が約2千人)に上るそうです。この教育現場で日々奮闘されている先生方の地道なご努力やご苦労はいかばかりかとお察しする次第です。
 そこで今回も、学生たちが日ごろ指導を受けている日本語教師から学んだこと、とくに自分の生活や学習態度、考え方などを大きく変えた先生の「言葉」を具体的に書き綴ってもらいました。それをもって学生側から日本語教師に感謝の気持ちを示すとともに、先生方にはその作文を今後の指導の参考にしていただければと考えました。

 応募作の中でいくつか見られ、しかも印象的だったのは、大学での専攻が本来の志望ではない日本語に振り分けられてしまい、仕方なく学んでいたが、ある日の教師の叱咤激励で自らを反省し、以来猛勉強して成績が伸びた――という内容です。もちろん具体的な経験も表現もそれぞれに異なりますが、こうした作品に接すると、学生たちの人知れぬ苦悩や努力、先生方のご苦労と教育への真摯な姿が浮かび上がり、胸打たれる思いになります。おそらく同じような境遇の学生たちも各地におられることでしょう。
 そればかりではなく「心に残る、先生のあの言葉」には、先生方の豊かな教育経験、人生経験に裏付けられた厳しくも温かな励まし、教え、知恵の言葉がそれぞれ紹介されています。それは日本語専攻のみならず、きっと多くの学生たちにとっても生きた手引き、人生の指針となることでしょう。

 総じていえば今回の応募作品は、これまで以上に大差のない優秀な作品が多く、各審査員の頭を悩ませました。
 審査を終えたある審査員は「日本語の文法も内容もともに高いレベルの作文ばかりで、採点に苦しみました。日本に短期滞在した方々の作文は、経験の裏付けがあり、内容に深みがあると感じました。実際の見聞から生まれる異文化への理解が、大切だと思いました」と、「経験の裏付け」に説得力を感じておられました。
 また、ある審査員は「さすがに約4300人の中から選ばれただけあって、日本人が嫉妬しそうになるほど素晴らしい作品ばかりでした。これに点数をつけるのは至難の業です。誰が1位になっても不思議ではありません。回を重ねて14回にもなるとレベルの高さと内容の深さがこんなにも進化するものかと感動することしきりです」と傑作、秀作の数々に感嘆しておられました。都合上、審査員の講評を全てご紹介することはできませんが、いずれも高い評価であったことをここに記させていただきます。

 このほか今回のコンクールにおいても、在中国の日本語教師の皆様からそれぞれ貴重な「日本語作文指導法」をお寄せいただき、本書に併せて掲載しました。これら教育現場の第一線におられる先生方の指導法は、現場を知りつくしたベテラン教師による真の「体験談」であり、作文コンクールで優秀な成績を収めるための「アドバイス」であり、さらにはより優れた日本語作文を書くための秘訣を満載した「作文ガイド」であるともいえます。
 この作文コンクールに初トライしたい学生の皆さん、今回は残念な結果に終わったものの、次回以降またチャレンジしたい学生の皆さん、現場の先生方、そして本書シリーズの愛読者の皆様にはぜひ、これら先生方の指導法を参考にしていただけたら幸いです。

 入賞作品は最終的にこのような結果となりましたが、順位はあくまでも一つの目安でしかありません。最優秀賞から佳作賞まで入賞した作品は、どの作品が上位に選ばれてもおかしくない優秀なできばえであったことを申し添えたいと思います。
 いずれの作品にも、普段なかなか知り得ない中国の若者たちの「本音」がギッシリと詰まっていました。中には、日本人にはおよそ考えもつかないような斬新な視点やユニークな提言もありました。そうした彼ら彼女らの素直な「心の声」、まっすぐで強いメッセージは、一般の日本人読者にもきっと届くであろうと思います。
 日本の読者の皆様には、本書を通じて中国の若者たちの「心の声」に耳を傾け、それによってこれからの日本と中国の関係を考えていただくほか、日本人と中国人の「本音」の交流のあり方についても思いを致していただければ幸いです。

*なお、本書掲載の作文はいずれも文法や表記、表現(修辞法など)について、明らかな誤りや不統一が見られた箇所について、編集部が若干の修正を加えさせていただきました。
 また、本書の掲載順は、一等賞から三等賞までが総合得点の順、佳作賞が登録番号順となっております。併せてご了承いただけましたら幸いです。

■謝辞■
  おかげさまで、今年も「中国人の日本語作文コンクール」を滞りなく開催することができました。この場をお借りして、ご支援、ご協力いただいた全ての皆様に厚く御礼を申し上げます。
在中国日本大使館には第1回からご後援をいただいております。第4回からは最優秀賞に当たる「日本大使賞」を設け、歴代大使の宮本雄二、丹羽宇一郎、木寺昌人、および現任大使の横井裕の各氏にはご多忙の中、直々に大使賞の審査をしていただきました。ここで改めて、歴代大使と横井大使をはじめ大使館関係者の皆様に、心より御礼を申し上げます。

 第2回から第6回までご支援いただきました日本財団の笹川陽平会長、尾形武寿理事長の本コンクールへのご理解と変わらぬご厚誼にも深く感謝を申し上げます。
そして第7回より協賛をいただいている株式会社ドンキホーテホールディングスの創業会長兼最高顧問、公益財団法人安田奨学財団理事長の安田隆夫氏からは日本留学生向けの奨学金制度設立などの面でも多大なご支援を賜りました。これは中国で日本語を学ぶ学生たちにとって大きな励みと目標になるものです。ここに心より感謝を申し上げます。

 第9回からは、公益財団法人東芝国際交流財団にもご協賛をいただいております。改めて御礼を申し上げます。
朝日新聞社には、第7回から協賛をいただき、第10回からはメディアパートナーとしてご協力いただいております。中村史郎氏、坂尻信義氏、古谷浩一氏、西村大輔氏ら歴代の中国総局長をはじめ記者の皆さんが毎年、表彰式や受賞者について熱心に取材され、その模様を大々的に日本に伝えてくださっています。それは先年の日中関係が冷え込んだ時期であっても、日本人がより中国を客観的にとらえ、中国に親近感を持つことのできる一助になったことでしょう。同社のご協力に心より敬意と感謝の意を表します。

 最優秀賞受賞者の「日本一週間招待」に際し、多大なご支援、ご協力をいただいた皆様にも心より御礼を申し上げます(受賞者の訪日記録をご参照ください)。
 谷野作太郎元中国大使、作家の石川好氏、国際交流研究所の大森和夫・弘子ご夫妻、さらにこれまで多大なご協力をいただきながら、ここにお名前を挙げることができなかった各団体、支援者の皆様にも感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。
 また、マスコミ各社の皆様には、それぞれのメディアを通じて本コンクールの模様や作品集の内容を丁寧にご紹介いただきました。そして日中〝草の根交流〟の重要性や、日中関係の改善と発展のためにも意義深い中国の若者の声を、広く伝えていただきました。改めて御礼を申し上げます。

 中国各地で日本語教育に従事されている先生方に対しましても、その温かなご支援とご協力に感謝を申し上げます。
 これまでに中国各地の300校を超える学校から応募がありましたが、このように全国展開できた上、今回の応募数が第1回(1890本)の2倍超となる4288本に上るなど、本コンクールがこれほど高い知名度と信頼を得られたのは、教師の皆様のご尽力のおかげです。

 各審査員の皆様にも深く感謝を申し上げます。一次審査では今回の4千本を超える作品全てに目を通し、内容の深さやおもしろさ、独自性、文法の正確さなどにより採点し選考していただきました。これは本コンクール審査の根幹となるもので、最も時間と労力を要する重要な段階です。
 二次審査では外部有識者にご協力いただき、厳正な審査の上でそれぞれ的確な講評もいただきました。口述審査となる三次審査では、上位入賞候補者に対し直接日本語でやりとりし、その日本語のレベルをはかるというご苦労をいただきました。
 最終審査は、現任の横井大使ご自身による審査で「日本大使賞」を決定していただきました。大使には公務で大変お忙しい中、快く審査をお引き受けいただき、本当にありがとうございました。
 各審査員の皆様には多大なるご支援とご協力を賜り、改めて厚く御礼申し上げます。

 最後になりますが、応募者の皆さんにも改めて御礼を申し上げます。まず、応募作は今年も力作、労作ぞろいでした。主催者はこれまで出版した作文集をたびたび読み返し、その都度、皆さんの作文からプラスエネルギーや刺激を受けて、民間の立場から日中関係をより良いものにしていこうという勇気と希望を抱くことができました。
 さらにこの14年間、本コンクールは先輩から後輩へと受け継がれてきたおかげで、いまや中国の日本語学習者の間で大きな影響力を持つまでになりました。歴代の応募者、受賞者ら多くの参加者が今、日中両国の各分野で活躍されています。
 皆さんが学生時代に本コンクールに参加して「日本語を勉強してよかった」と思えること、また日本への関心をより深め、日本語専攻・日本語学習への誇りをより高めていると耳にして、私は主催者として非常に心強く思っています。
 また、皆さんのように日本語を身につけ、日本をよく理解する若者が中国に存在していることは、日本にとっても大きな財産であるといえるでしょう。皆さんがやがて両国のウインウインの関係に大きく寄与するであろうことを期待してやみません。

 毎年、作文コンクールはさまざまな試練に立ち向かっています。それを乗り越え、本活動を通じて、日中両国の相互理解を促進し、ウインウインの関係を築き、アジアひいては世界の安定と発展に寄与する一助となることを願い、今後もこの歩みを着実に進めてまいります。
 引き続き、ご支援、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

2018年11月吉日

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