開催報告と謝辞
日本僑報社・日中交流研究所 所長 段 躍中

■審査の経過■
【一次審査】
  一次審査は、日中交流研究所の母体である日本僑報社編集部内で行いました。
 審査開始前に、応募要項の規定文字数に満たない、あるいは超過している作品を審査対象外とし、審査対象作品を査読員とボランティアの方で読んで採点しました。
 今回、査読員として左記の方々がご参加くださいました。
 斎藤文男氏、志々目彰氏、三津木俊幸氏、小林治平氏、坂本正次氏、伊藤政彦氏、松本洋子氏、浦野紘一氏、中山孝蔵氏、中村洋一氏。
 ご協力ありがとうございました。
 
【二次審査】
 二次審査は、公正を期するため応募者の氏名と大学名は伏せ、受付番号のみがついた対象作文を審査員の方々にお読みいただく形式で実施しました。
今年は十八名の方が二次審査にご参加くださいました。(敬称略・五十音順)
    赤岡直人   日本中国国際教育交流協会業務執行理事
    五十嵐貞一  中国留学生交流支援立志会 理事長
    伊藤俊行   読売新聞編集委員
    岩楯嘉之   NPO法人日中交流支援機構 事務局長
    折原利男   元埼玉県立高校教員、日中友好8・15の会会員
    加藤青延   ジャーナリスト
    金子 肇   宮本アジア研究所 代表特別助理
    小林治平   日中交流研究所 研究員
    五味洋治   東京新聞編集委員
    神野智久   前湖南大学日本語教師
    杉山直隆   ジャーナリスト
    関史 江   東京大学大学院工学系研究科 技術アドバイザー
    瀬野清水   前重慶総領事
    田頭明子   前浙江大学寧波理工学院日本語教師
    谷川栄子   株式会社Will National First Academy 代表取締役
    塚越 誠   書家、日中文化交流の会 日本代表
    山田典史   在中国日本人企業家
    和田 宏   NHKグローバルメディアサービス 神奈川県日中友好協会会員
 ご協力ありがとうございました。
【三次審査】
 三次審査は、二次審査で得点の高かった学生に国際電話し、口述審査を行いました。
 
【最終審査】
 最終審査は、二次審査と三次審査の合計点により選出した最優秀賞候補者と一等賞候補者計六名の作品を北京の日本大使館に送り、大使ご自身による審査で日本大使賞受賞者を決定していただきました。

■各賞について■
 審査に基づき、応募者の中から一五六名に賞を授与いたしました。内訳は、最優秀賞・日本大使賞1名、一等賞5名、二等賞15名、三等賞40名、佳作賞95名です。
 
■園丁賞について■
 学生たちの日本語力向上は、指導教官なくしてはありえません。そのため、日中国交正常化35周年にあたる第3回コンクールから、学生の作文指導に実績のある日本語教師を表彰する「園丁賞(第三回の園丁奨より改称)」を創設しました。
 対象は、応募校の中から50作以上の団体応募をいただいた学校とし、賞状を授与しました。また、各校で日本語書籍が不足しているという実情を耳にし、その一助になればという思いから、もっとも応募作の多かった学校には25万円分相当、百作以上の応募があった学校には十万円分相当、50作以上の応募があった学校には五万円分相当の書籍をお送りしました。
 日本語を学ぶ学生たちに活用していただければ幸いです。
 
今年の園丁賞受賞校と応募数は次の通りです。受賞校の皆さん、おめでとうございます。
 淮陰師範学院(192)、浙江万里学院(191)、湖州師範学院(173)、大連工業大学(149)、吉林華橋外国語学院(136)、嶺南師範学院外国語学院(127)、運城学院(116)、山東交通学院(99)、北京第二外国語大学(95)、大連大学日本言語文化学院(94)、甘泉外国語中学(93)、西南交通大学(90)、大連東軟情報学院(90)、広東外語外貿大学(89)、中南財経政法大学(82)、浙江農林大学(82)、浙江工業大学之江学院(80)、湘潭大学(78)、東華大学(76)、長春理工大学(75)、長春工業大学外国語学院(74)、上海師範大学天華学院(71)、寧波工程学院(66)、華僑大学(65)、合肥学院(62)、中南大学(61)、江西財経大学(59)、嘉興学院(59)、青島農業大学(57)、青島大学(56)、五邑大学(55)、山西大学(53)、山東大学(威海)翻訳学院(52)、東北育才外国語学校(52)、曲阜師範大学(52)、天津財経大学(51)、惠州学院(51)、浙江大学寧波理工学院(50)。
 
■本書の刊行経過■
 日本僑報社では第1回から入賞作文集を刊行しており、本書で十冊目となります。第一回からのタイトルは順に、『日中友好への提言』、『壁を取り除きたい』、『国という枠を越えて』、『私の知っている日本人』、『中国への日本人の貢献』、『メイドインジャパンと中国人の生活』、『甦る日本! 今こそ示す日本の底力』、『中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?』、『中国人の心を動かした「日本力」』で、これら九冊の作文集は多くの方々からご好評を賜り、多くの図書館にも収蔵いただいております。
 なお、本書に掲載している作文は最低限の校正しか行わず、日本語として不自然な部分が多少あっても、学生の努力の跡が見えるものと考え、そのまま掲載しております。ご了承ください。
 今回のテーマは「ACG(アニメ・コミック・ゲーム)と私」、「公共マナーと中国人」の二つにしました。
 「ACG」のテーマには、日本のアニメで育った世代を自負する皆さんから、自分の好きな作品への思い入れを熱く綴ったものから、日本のアニメがなぜ中国をはじめとする世界で歓迎されているかを鋭く分析したものまで様々な内容が見られ、日本の皆さんにも、日本のサブカルチャーが持つパワーを再認識いただけることと思います。また、本書のタイトル『「御宅」と呼ばれても』は一等賞に選ばれた張?さんの作文から引用しました。この御宅≠ニいう言葉は、中国の若者の間で日本のオタク≠ニまったく同じ意味で使われている日本から輸入された単語ですが、他の応募作にも数多く登場し、今回のコンクールのキーワードのひとつでもあったため、タイトルとして採用しました。
 一方、「公共マナー」のテーマには、国際化が進み世界基準で見た現在の中国の公共マナーを改善する必要があるという考えを綴ったものが多かったものの、「中国国内のマナーまで無理に国際基準化する必要なはい」という意見もあるなど、若者たちが色々な意見をもっていることが伺い知れました。
 両方のテーマで共通して感じられたことは、彼らは皆前向きで柔軟性に富んだ考え方をもっているということです。
 また、日本の読者の皆さんには、この本を通して彼らの生の声≠ノ触れることで、日本と中国の関係を考えたり、日本の素晴らしさを再認識するきっかけにしていただければ幸いです。
 また、掲載順は受付番号を基本としていますが、同じテーマの作文が連続しないよう調整を加えました。
 
■謝辞■
 日本僑報社・日中交流研究所は、2005年から日中作文コンクールを主催しており、今年は第10回目の節目の年を迎えることができました。この10年、皆様のご支援、ご指導の下で色々な難関を乗り越えられ、今や本コンクールは中国の日本語学習者の間で一つの目標としてもらえるまでに成長し、今年も両国関係の冷え込みが続く中にも関わらず、史上最多の196校(大学、専門学校、高校、中学校)から4133作もの応募をいただきました。
 振り返ると、本コンクールは国際交流研究所の大森和夫・弘子ご夫妻が日中友好のため個人的に2004年まで12回実施されていた「中国の大学生、院生『日本語作文コンクール』」を継承したものですが(2006年5月30日付の朝日新聞記事参照 本書特別掲載)、2005年に再スタートした際に、大森先生ご夫妻からご指導、ご助言いただいたおかげでなんとか運営できるようになり、第10回まで続けてくることができました。
 大森先生ご夫妻、本当にありがとうございました。

 在中国日本大使館には第一回から後援していただいておりますが、第四回からはさらに日本大使賞を設け、歴代大使の宮本雄二氏と丹羽宇一郎氏および現職の木寺昌人大使には、ご多忙を極めておられる中、自ら大使賞の審査をしていただきました。ここで改めて、宮本氏と丹羽氏、木寺大使をはじめ、大使館関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
 また、第2回から第6回までご支援いただきました日本財団笹川陽平会長と尾形武寿理事長の本活動へのご理解と変わらぬご支持にも御礼申し上げます。
 そして、第7回より協賛いただくことになった株式会社ドンキホーテホールディングス代表取締役会長兼CEO、財団法人安田奨学財団理事長安田隆夫氏には、奨学金制度の設立など多大なご支援を賜り、中国の学生たちの日本語学習の励みとなることと、心より感謝申し上げます。
 第9回からは、東芝国際交流財団にも協賛をいただいております。改めて御礼申し上げます。
 朝日新聞には、坂尻信義前中国総局長のお陰で第七7回から協賛をいただいております。現任の古谷浩一総局長が遠方の受賞者を取材し、その記事を日本に伝えてくださったことは、厳しい日中関係が続く中で日本国民が中国を冷静に見る一助になったと思います。ここで両氏に敬意と感謝を表します。
 また、谷野作太郎元中国大使、作家の石川好氏をはじめ、これまで多大なご協力をいただきながらも、ここでお名前を挙げることができませんでした各団体、審査委員、支援者、並びにボランティアの皆様にも感謝いたします。 誠にありがとうございました。
 受賞式に参加あるいは作文集を読んだマスコミ関係者の方が、各メディアを通して、本コンクールおよび作文集が、日本国民に日本の良さの再認識や両国関係の相互促進、win―winの関係を築くためにも有用な中国の若者の生の声≠ノ触れられることを広く伝えてくださったことにも感謝と敬意を表します。
 また、中国で日本語教育に従事している教員の皆様にも感謝申し上げます。 
 これまでに中国全土の300以上の学校から応募がありましたが、このように広く展開できた上、第十回の応募数が第一回の倍以上となるなど、本コンクールが日本語学習者の間でこれほど高い知名度を得られたのは皆様のご尽力のおかげです。
 最後になりますが、応募者の皆さんにも大変感謝しています。まず、皆さんの作文は本当に素晴らしく、主催者はこれまで出版した作文集を何度も読み返してきました。そして、皆さんの若者ならではの活発な考えに刺激されることで、日中関係に対して前向きで明るく、楽観的な努力をしていく力を沸き上がらせることができました。
 またこの10年、本コンクールが先輩から後輩へ受け継がれたおかげで、今では中国の日本語学習者の間で、大きな影響力を持つようになりました。現在、過去の応募者の多くが日中交流の第一線で活躍しています。
 そして、皆さんが学生時代に本コンクールに参加することが、「日本語を勉強してよかった」と思ったり、日本への関心、特に日本語を専攻する誇りを高めることに役立っていると聞き、私は主催者として大変励まされました。 
 日本語を身につけ、日本を理解している若者が中国に存在するということは、日本にとっても大きな財産であり、必ず両国の共存共栄の大きな力になります。
 できることには限りがあり、いろいろな困難に直面していますが、10回という一区切りを越えた現在、日本語学習者のため、日中両国の明日のために、新たな十年をスタートすることを決心しました。
 皆様、引続きご支援、ご指導くださいますようよろしくお願いいたします。

2014年11月吉日


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