1617回「日本語作文コンクール」表彰式を参加して

 

白 宇(第12回日本大使賞受賞者)

 

20211210

 

 

五年前の訪日特集

 

 

本日は第1617回の「中国人の日本語作文コンクール」表彰式に参加して、先日の第4回「日中ユースフォーラム」に参加し終わった時の感想が蘇り、さらに新しい気づきがあって大変良い刺激を受けました。私にとって、このイベントは過去の自分と向き合う、そして自分より若い世代から栄養を摂取する、中日交流に取り組んでいる「大先輩」から助言を受ける良い機会です。以下は私の感想です。

 

交流から理解へ、さらに友好まで。受賞者の作文においても、垂秀夫大使を代表としたご来賓の方々のお話においても、この三つのキーワードに関する内容が出てきました。交流の方法は対面での交流とは限りません。新型コロナウイルスが拡大している中で、オンラインでの交流、手紙やハガキなどでの交流も対面交流に代わって、空間を超えて、人と人を繋ぎました。どんな方法であれ、交流してから相手への理解が深まり、友好に至る可能性が生じるのです。

 

私は2020年に大学院を卒業して以来、コロナの影響もあって、人との交流はずいぶん少なくなってきたような感じがします。日本に留学していた時、チャンスがあると、アルバイト、ボランティア活動、様々な交流イベントに参加しました。日本への理解が一層深まったのはその時でした。帰国して、オンラインでの交流方式も試したのですが、長く続けられませんでした。二回のイベントを機に、深く反省しました。以前中日交流のために自分のできることをやりたいと言っていたのに、交流を続けない限り、友好に至ることは当然ありません。ですから、これからは「継続」を念頭において、方法にこだわらずに交流を行っていきたいと思います。受賞者の皆さんの発言を聞いて、同感する部分が多く、是非彼らと「切磋琢磨」しながら、共に中日友好という大きな目標に向かって頑張ってまいりたいです。

 

また、本日の表彰式で、ある指導教師のお話は私に強い印象を残しました。作文はかっこいいものではなく、本音を言うものが人を感動させるのです。受賞者のスピーチを聞いて、心を打たれて感動するのもその本音の部分に感動したからではないでしょうか。しかし、本音を表現することは極めて難しいです。それにはたくさんの交流の積み重ねが必要となるでしょう。

 

実は私も第17回の作文コンクールに参加した一人の学生の作文を指導しました。その学生は「佳作賞」に入賞しました。入賞したことを知った時、まるで自分が賞を取ったように大喜びしたのです。すぐに作文を探し出して、また何度も読んだものです。日本語教師の道ではまったく初心者ですが、できるのは学生と真摯に向き合い、普段は自分から本音を伝えて、たくさん交流していくことです。この大事なことを教えてくれたのはやはり私の恩師である丹波秀夫先生と丹波江里佳です。(秀夫先生、江里佳先生、お久しぶりです。お元気ですか。時間があったら、お電話しましょうか。)

 

最後になりますが、長年にわたり日本語作文コンクールに尽力されている段先生をはじめ、関係者の皆様に過去の受賞者として心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。来年の表彰式も楽しみにしております。

 

 

※白宇さんのプロフィル

創業者 白宇 南京大学と関西学院大学大学院卒業。学生時代の専門は日本語翻訳と日本語教育である。2016年に第12回中国人の日本語作文コンクールで最優秀賞・日本大使賞を、2017年に第6回「宮本賞」論文コンクールで優秀賞を受賞した。日本留学中に、ボランティア活動や交流イベントなどに数多く参加し、日本語への理解が深まる中で、交流の重要さも再認識できた。帰国後、南京で日本語教師の仕事をしながら、南京にいる日本人教師と留学生を招いて日本語交流会も企画し、行っている。今後は日本語教育、公益事業に取り組んでいきたい。