一 箇 所 の 進 歩 も 輝 き

 

――私の作文指導法と短期大学生の作文力の突破

 

四川西南航空職業学院 劉 述東

 

 

 

私は高等職業教育機関(短期大学)で日本語の教師として勤めている。本校は技能を持つ人材の育成を目指しており、学生の多くは将来、空港で航空関連のサービス職に就くことになる。学生たちは実践力があるが、学習基礎が比較的に弱く、特に外国語の学習に対して自信を持っていない傾向がある。さらに、日本語の授業は必修科目ではなく、週に2コマだけの選択科目であるため、指導時間が非常に限られている。そのような環境の中で、日本語作文コンクールに出場できる学生を見つけることは、まさに「大海から針を探す」ような作業だった。

 

今回のコンクールでは、4名の客室乗務員学科の学生を指導することにした。彼女たちの日本語力は全学生の中でもトップレベルであり、強い学習意欲と表現意欲を持っているため、コンクールへの準備として非常に良い基盤ができていた。

 

指導はテーマ選びから始めた。彼女たちのテーマは自身の経験に基づき、それぞれの思いが込められていた。1人目の学生は多くの言語を習得し、中国無形文化遺産の魅力を世界に伝えたいというテーマ、2人目の学生は日本のアニメやアイドルの影響を受けて、日本語学習の道を開いたというテーマ、3人目の学生は日本語学習の過程に焦点を当て、困難に直面した時に日本のアニメが与えてくれた励ましと力について述べたテーマ、4人目の学生は自分を助けてくれた日本の友人への感謝の気持ちを表したいテーマを選んだ。

 

実際の指導では、多くの困難に直面した。まず、文法や語彙の誤りが目立った。助詞の「は」と「が」の混同、動詞の活用の誤り、句読点のミスなど、基本的な間違いが多かった。また、内容の深みと説得力が不足しており、例えば「私は日本語が好きなので、学びたい」といったように、内容や結論が単に繰り返されているだけであった。「どのような点から日本語が好きになったのかと」といった具体的な記述が欠けていた。振り返ってみると、私自身も学生時代には同じような間違いをよくしていた。そして、学生たちは正式な作文コンクールに出場した経験が一度もなかったため、なぜこのような間違いが起こるのか、よく理解できた。

 

これらの課題に対し、私が細かい添削指導を心がけた。まず文章の構成から見直し、学生と一緒に「一番目、二番目、三番目に述べたいこと」の優先順位を明確にし、キーワードを順番に並べてリストを作成した。今回コンクールで優勝賞を獲得した学生の作品を例に挙げると、『アニメがくれた翼:ゼロからの日本語独学記』では、一番目に表現したい内容は日本のアニメやアイドルが自身の日本語独学を続ける上での力となったこと(テーマを最も体現できるポイント)、二番目はアニメやアイドルが日本語の独学を始めるきっかけとなったこと(テーマを支える補足的な内容)、三番目はその力ときっかけから得られた成果や感じたこと(まとめと展望)とした。

 

次に、一語一語を丁寧に修正した。修正したのは文章の誤りだけでなく、より適切な表現を探し出し、同時に文法や句読点のミスもチェックし、文章の正確さと読みやすさを確保した。学生は漢字表記のある単語を平仮名や片仮名で直接書くことが多かったため(例:「おなじツール→同じツール」「つばさ→翼」など)、間違えやすい漢字単語の対照表を渡し、作文の中で全仮名で書かれた単語を一つ一つ漢字に置き換えさせた。また、学生は「です・ます体」と「だ体」を混在させやすいため(例えば、前文で「〜します」と書いたのに、後文で「〜だと考える」となる)、文体を統一させるために、まず使用する文体を確定させた後、学生自身に全文を確認させ、異なる文体を修正させた。

 

さらに、学生たちは母語(中国語)の習慣でコンマ「,」を使うため、日本語の作文の中でコンマ「,」と「、」が混在しやすいという状況がよくあった。規範化するため、学生には作文の中の中国語のコンマ「,」をすべて見つけて日本語の「、」に置き換えるよう指導し、同時に抜けている句読点を補い、余分な句読点を削除するようにした。中国には「細部が成否を決める(中国語訳:细节决定成)」という言葉がある。句読点の誤りは小さく見えても、文の流れや意味の正確さに影響する。小さな間違いが多いと、文章全体の質が低下してしまう。単に小さな問題を直すだけでなく、学生が真面目な習慣を身につけることも目的とした。こうした細部をしっかり押さえることで、作文は合格から優れた作品に変わると考えている。

 

最後に、修正が終わった後はすぐに学生を励まし、何度も直すことでやる気や自信を失われないように配慮した。「単語、文体、句読点の誤りをすぐに直せたね。進歩がすごい!」、「何回直したかは気にしなくていいよ。一箇所でも正しく直せればそれは進歩だから」、「とても素晴らしい作文だよ。不安になる必要はない。この調子でいけば、成功できるよ!」。これらの言葉で、私は学生たちのやる気を支え続けた。

 

この指導経験を通して、作文指導とは単なる言語の添削ではなく、学生の心の中にある「伝えたい」という気持ちを引き出し、形にしていく作業であると実感した。学生の学習動機と個人的な体験、専門性を結びつけることで、学習意欲と創造性を大きく引き出せることが重要である。これからも、学生一人ひとりの可能性を信じ、支援していきたいと考えている。