第二十一回 開催報告と謝辞

 

日本僑報社・日中交流研究所 所長 段 躍中

 

 

 

 

主催 日本僑報社・日中交流研究所

協賛 株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、公益財団法人東芝国際交流財団

メディアパートナー 朝日新聞社

奨学金支援 公益財団法人安田奨学財団

後援 在中国日本国大使館、(公社)日本中国友好協会、日本国際貿易促進協会、(一財)日本中国文化交流協会、日中友好議員連盟、(一財)日中経済協会、(一社)日中協会、(公財)日中友好会館、日中関係学会、中国日本商会、北京日本倶楽部(順不同)

協力 致遠教育塾、(公財)日中国際教育交流協

 

 

開 催 報 告

 

概 要

日本僑報社・日中交流研究所が主催する「中国人の日本語作文コンクール」は、日本と中国の文化交流と相互理解の促進をめざして二〇〇五年にスタートし、今年二〇二五年で第二十一回目を迎えました。

中国の学校で日本語を学ぶ中国人学生を対象として、この二十一年で中国全土の約五百校の大学や大学院、専門学校、高校、中学校などから、累計六万三千三百二名の応募がありました。中国国内で規模が最も大きく、知名度の高い日本語作文コンクールへと成長を遂げています。日本語を勉強する中国の若者にその成果を発表する舞台を提供し、中国における日本語の普及と日本文化への理解を深めることにより、日中両国の親善友好に貢献することを目指しています。

第一回から刊行し続けてきた受賞作品集シリーズは、中国の若者たちが直接日本語で綴ったリアルな「生の声」であり、その時々の日中関係や歴史的な出来事を反映し、貴重な世論として両国の関心を集めています。今年は『「推し活」で生まれた新しい日中交流』をシリーズの第二十一巻として刊行いたしました。

 

応募状況

今回の日本語作文コンクールは、中国の学校で日本語を学ぶ中国人学生を対象として、五月七日から三十一日までの間にわたり作品を募集しました。

集計の結果、中国の二十八省市自治区の大学や大学院、専門学校、高校など二百一校から、二千三百九十一本もの多くの作品が寄せられました。男女別では女性が千六百四十八本、男性が七百四十三本でした。

特筆すべき点としては、昨年に続き中学校、高校および専門学校が二十校を超えことに加え、今回初めて団体応募が一番多かったのが、江蘇省にある高校・南京田家炳高級中学(二百七本)だったことです。これはコンクール史上初めてのことです。

 

第二十一回のコンセプトは「『推し活』と日中交流」。これに沿ったテーマおよびテーマごとの応募数は以下の通りです。

㈠「推し活」で生まれた新しい日中交流(六百七十九本)

㈡日本語で伝えたい、「私の物語」(千百五十五本)

㈢先生との出会いが私の人生を変えた(五百五十三本)

 

審査の経過

 

第一次審査員(五十音順・敬称略)

五十嵐武、今村弘子、齋藤裕之、佐藤則次、白井純、高橋文行、高柳義美、寺沢重法、時實達枝、中山孝蔵、成田美友、藤原秀人、松嶋忠信、森英昌、森島律子、吉村有弘

 

第二次審査員(五十音順・敬称略)

赤岡直人 (公財)日本中国国際教育交流協会 業務執行理事

今村弘子 元大学教授

佐藤則次 中友会・「中国人の日本語作文コンクール」推進委員

白井 純 元(公財)東芝国際交流財団理事

高橋文行 日本経済大学教授

塚越 誠 書家、日中文化交流の会日本代表

林 千野 日中関係学会副会長

菱田雅晴 法政大学名誉教授

藤原秀人 ジャーナリスト、元朝日新聞中国総局長

和田 宏 前NHKグローバルメディアサービス専門委員、神奈川県日中友好協会会員

 

第一次審査は、あらかじめ募集要項の規定文字数に満たない、あるいは超過している作品を審査対象外とした上で、各規定をクリアした作品について採点しました。なお、審査の公平性確保のため、在中国の現任教師は除いています。

第二次審査は、公正を期するために応募者の氏名と大学名、受付番号を伏せた対象作文を各審査員に採点していただく形で実施しました。

第三次審査は、二次審査による合計得点の高かった学生に対し、スマートフォンの音声通話アプリでそれぞれ直接通話をし、口述審査を行いました(審査員・佐藤則次氏、段躍中、記録担当事務員一名)。その上で、新たに日本語による短い感想文を即日提出してもらい、審査基準に加えました。

最終審査は、二次審査と口述審査の合計点により選出した一等賞以上の候補者計六名の作品を北京の日本大使館あてに送付し、大使ご自身による審査で最優秀賞となる「日本大使賞」を決定していただきました。

各審査員による厳正な審査の結果、最優秀賞・日本大使賞一名、一等賞五名、二等賞十五名、三等賞四十名、佳作賞二百八十三名となりました。

また、園丁賞は十八校、優秀指導教師賞六十八名となりました。各賞の詳細は本書の一四五〜一四七ページをご参照ください。

受賞者の皆様、誠におめでとうございます。

 

作品集について

本書『「推し活」で生まれた新しい日中交流』は、たくさんの応募作品の中から優秀作品を収めた受賞作品集シリーズの最新刊です。

読者の皆様には、本書を通じて中国の若者たちの「生の声」に耳を傾け、よりよい日中関係のあり方や日中交流に思いを致していただければ幸いです。

 

本シリーズは大変ご好評をいただき、朝日新聞をはじめとして、NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、フジテレビ、共同通信、時事通信、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞、東京新聞、西日本新聞、中国新聞、北海道新聞、沖縄タイムス、公明新聞、聖教新聞、しんぶん赤旗、週刊朝日、サンデー毎日、日経ビジネス、週刊東洋経済、旅行読売、日中友好新聞、日中文化交流、日本と中国、国際貿易、観光経済新聞、季刊中国、新文化、日中新聞、アジア時報、週刊読書人、トーハン週報、リベラルタイム、ジャパンジャーナル、レコードチャイナなどの日本メディア、在中国日本国大使館HP、また、公益社団法人日本中国友好協会、公益財団法人日本中国国際教育交流協会などの団体の機関紙(誌)や会報、新華社、人民日報、中国新聞社、人民網、チャイナネット、人民中国などの中国メディアで多数紹介されました。

本シリーズは、日本各地の大学や自治体の図書館、研究機関などに収蔵されております。また、中国でも日本語学習者の間で大変人気があり、各地の大学や研究機関などに収蔵され、保存価値の高い書籍として広く読まれています。

 

 

謝 辞

 

第二十一回「中国人の日本語作文コンクール」を無事開催することができました。ご支援、ご協力いただいた全ての皆様に心より感謝申し上げます。

 

在中国日本国大使館には第一回からご後援をいただいております。第四回からは最優秀賞に当たる「日本大使賞」を設け、歴代大使の宮本雄二、丹羽宇一郎、木寺昌人、横井裕、垂秀夫、および現任大使の金杉憲治の各氏にはご多忙の中、直々に大使賞の審査をしていただきました。ここで改めて、歴代大使をはじめ大使館関係者の皆様に、心より御礼を申し上げます。

ご協賛をいただいている株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスのご支援に深く御礼申し上げます。創業会長兼最高顧問、公益財団法人安田奨学財団理事長の安田隆夫氏には、外国人留学生向けの奨学金制度を通して、本コンクールで三等賞以上を受賞した学生に奨学生の選考の機会を与えていただくなど、多大なご支援を賜りました。これは中国で日本語を学ぶ学生たちにとって大きな励みと目標になるものです。ここに心より感謝を申し上げます。

公益財団法人東芝国際交流財団からは、本活動にご理解とご協賛をいただき、深く御礼を申し上げます。

朝日新聞社には、第七回からご協賛をいただき、第十回からはメディアパートナーとしてご協力いただいております。中村史郎社長や、坂尻信義氏、古谷浩一氏、西村大輔氏、林望氏、斎藤徳彦氏ら歴代の中国総局長をはじめ記者の皆さんが毎年、表彰式や受賞者について熱心かつ丁寧に取材され、その模様を大きく日本に伝えてくださっています。それは日中関係がぎくしゃくした時期であっても、日本人が中国に対してより客観的に向き合うことのできる一助になったことでしょう。同社のご支援とご協力に心より感謝の意を表します。

長年にわたりご後援をいただいている日中友好団体、ならびに各後援・協力団体の皆さまに、深く感謝申し上げます。

第二回から第六回までご支援いただきました日本財団の笹川陽平会長(現名誉会長)、尾形武寿理事長(現会長)の本コンクールへのご理解と変わらぬご厚誼にも深く感謝を申し上げます。

国際交流研究所の大森和夫・弘子ご夫妻、さらにこれまで多大なご協力をいただきながら、ここにお名前を挙げることができなかった各団体、支援者の皆様にも感謝を申し上げます。

長年コンクールにご協力いただき、昨年末にご逝去された審査員の一人である岩楯嘉之氏に、この場をお借りして、哀悼の意と感謝の念を捧げます。誠にありがとうございました。

また、マスコミ各社の皆様には、それぞれのメディアを通じて本コンクールの模様や作品集の内容を丁寧にご紹介いただきました。そして日中民間交流の重要性や、日中関係の改善と発展のためにも意義深い中国の若者の声を、広く伝えていただきました。改めて御礼を申し上げます。

各審査員の皆様にも深く感謝を申し上げます。皆様には多大なるご支援とご協力を賜り、改めて厚く御礼申し上げます。

中国各地で日本語教育に従事されている先生方に対しましても、その温かなご支援とご協力に感謝を申し上げます。

 

 

結び

 

本コンクールは、二十年を超える歴史の中で多くの応募者・受賞者を輩出し、現在は日中両国の各分野で活躍する人材を育んでいます。彼らが日本語を誇りに思い、日本文化への理解を深めていることを、大変喜ばしく思います。

日中関係が困難な時期だからこそ、日本語を学び日本に関心を寄せる中国の若者の存在は、両国にとってかけがえのない財産です。

昨年二十周年を迎えた今、次の二十年に向けて歩みを進め、文化交流と相互理解の促進に引き続き尽力してまいります。今後ともご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

二〇二五年十月吉日

 

 

🌏 関連情報

     21回特集:http://duan.jp/jp/vol_21/index.html

     コンクール公式サイト:http://duan.jp/jp/index.htm