開催報告と謝辞
日本僑報社・日中交流研究所 所長 段 躍中



■概要■
主催:
日本僑報社・日中交流研究所
協賛:
株式会社ドンキホーテホールディングス、東芝国際交流財団
メディアパートナー:  朝日新聞社
後援:
在中国日本国大使館、(財)日中友好会館、日中文化交流協会、日中友好議員連盟、(公社)日中友好協会、(社)日中協会、日本国際貿易促進協会、一般財団法人日中経済協会、中国中日関係史学会、中国日本友好協会、中国日本商会、北京日本人会、日本日中関係学会、(一社)アジア調査会
協力:
日中文化交流センター、NPO日中交流支援機構、(公財)日中国際教育交流協会

 
■審査の経過■
【一次審査】
  第一次審査は、日本僑報社・日中交流研究所の「中国人の日本語作文コンクール」事務局を中心に、ご協力いただける日本語教師(前任者を含む)などの関係者にもお願いして進めました(在中国の現任教師の場合、現任校からの応募作品はその審査から外しました)。 審査の前に、募集要項の規定文字数に満たない、あるいは超過している作品を審査対象外とした上で、各規定をクリアした作品について採点しました。
今回の一次審査の審査員として、下記の方々がご協力くださいました。 岩城拓、岩楯嘉之、石渊賢一、浦野紘一、大上忠幸、北島邦博、桑雅人、小林さゆり、斎藤文男、早乙女尚、坂本正次、佐藤則次、柴田修司、正田雄大、瀬口誠、高橋文行、高柳義美、武藤正美、中山啓子、中山孝蔵、西村祥和、萩野慶子、松嶋忠信、三上正裕、矢野研介の各氏です(50音順)。 ご支援とご協力を賜り、誠にありがとうございました。
 
【二次審査】
  第二次審査は、公正を期するために応募者の氏名と大学名を伏せ、受付番号のみがついた対象作文を審査員に採点していただく形で実施しました。
  今回は、下記の審査員14名が二次審査にご協力くださいました(50音順・敬称略)。この場をお借りして、深く感謝を申し上げます。
 
赤岡直人
岩楯嘉之
折原利男
金子 肇
関 史江
瀬野清水
高橋文行
谷川栄子
塚越 誠
藤村幸義
二井康雄
古谷浩一
吉田弘之
和田 宏
(公財)日中国際教育交流協会 業務執行理事
NPO法人日中交流支援機構 事務局長
元埼玉県立高校教員、日中友好8・15の会会員
宮本アジア研究所 代表特別助理
技術アドバイザー
元重慶総領事
日本経済大学教授
(株)Will National First Academy 代表
書家、日中文化交流の会 日本代表
日中関係学会副会長、拓殖大学名誉教授
映画ジャーナリスト、書き文字作家
朝日新聞中国総局長
アジア調査会事務局長
NHKグローバルメディアサービス、神奈川県日中友好協会会員
【三次審査】
 第三次審査は、二次審査で得点の高かった学生に対し、直接国際電話をかけて口述審査を行いました。その上で、今年は新たに日本語による短い感想文を即日提出していただき、審査基準に加えました。
 
【最終審査】
  最終審査は、二次審査と三次審査の合計点により選出した最優秀候補者と一等賞候補者計6名の作品を北京の日本大使館あて送付し、大使ご自身による審査で最優秀賞(日本大使賞)を決定していただきました。

 
■各賞について■
  審査員による厳正な審査の結果、過去最多を記録した今回の応募総数5190本の中から、計300本の作者に対して各賞を授与しました。内訳は、最優秀・日本大使賞1名、一等賞5名、二等賞15名、三等賞60名、佳作賞219名です。
 今回は、本コンクールの開催史上最多となる5000本を超える作品が寄せられたことから、主催者はこれを熟慮し、三等賞枠を前回の50名(本)から60名に、また佳作賞枠を同193名から219名にそれぞれ拡大しました。これにより佳作賞までの受賞者数は計300名となり、この面でも過去最多を数えた前回(計264名)を大きく上回り、最多記録を更新しました。
 
■園丁賞について■
  学生たちの日本語能力の向上は、担当教師の指導なくしてはありえません。そのため主催者は、日中国交正常化35周年にあたる2007年の第3回コンクールから、学生の作文指導に実績のある日本語教師を表彰する「園丁賞」(第3回の「園丁奨」より改称)を創設しました。
 対象となるのは、応募校の中から団体応募数が50本を超えた学校です。当該校には賞状を授与しました。また、各校で日本語書籍が不足しているという実情を聞き、その一助になればとの思いから、最も応募作の多かった学校に30万円相当、100本以上の応募があった学校に10万円相当、50本以上の応募があった学校に5万円相当の書籍をそれぞれ寄贈いたしました。
 日本語を学ぶ学生たちに十分に活用していただければ幸いです。
 
  今回の園丁賞受賞校は、過去最多の50校(前回は40校)となりました。受賞校と応募数は次の通り。受賞校の皆さん、誠におめでとうございます。
大連外国語大学(152)、華僑大学(135)、湖州師範学院(126)、大連理工大学城市学院(122)、大連工業大学(121)、武昌理工学院(112)、天津外国語大学(104)、山東科技大学(102)、中南財経政法大学(101)、淮陰師範学院(100)、青島大学(98)、大連民族大学(96)、南京郵電大学(93)、東華大学(89)、武漢理工大学(87)、浙江万里学院(85)、嘉興学院平湖校区(82)、青島農業大学(81)、嘉興学院(80)、西南交通大学(80)、黒龍江外国語学院(78)、吉林華橋外国語学院(73)、天津工業大学(73)、 広東外語外貿大学(70)、同済大学(69)、嶺南師範学院(69)、天津財経大学(66)、南京師範大学(65)、山西大学(60)、長春理工大学(60)、魯東大学(60)、貴州大学(57)、浙江農林大学(57)、大連東軟情報学院(56)、玉林師範学院(55)、北京科技大学(55)、広東省外国語芸術職業学院(54)、天津科技大学(54)、海南師範大学(53)、安陽師範学院(52)、東華理工大学(52)、菏澤学院(52)、山東師範大学(51)、揚州大学(51)、山東交通学院(50)、山東理工大学(50)、四川外国語大学成都学院(50)、常州大学(50)、天津商務職業学院(50)、寧波工程学院(50)。
 
■優秀指導教師賞について■
  従来のコンクールでは、学生を対象とした各賞の授与のほか、団体応募の作文本数が50本を超えた学校に対し、前述の「園丁賞」を授与してきました。前回はこれらの賞のほかに、優れた指導教師個人をたたえる「優秀指導教師賞」と「指導教師努力賞」をそれぞれ創設いたしました。
 これは中国で日本語を学ぶ学生たちに、日本語や日本の文化を熱心に教えている中国人教師、ならびに日本人教師の日ごろの努力とその成果をたたえるものです。
 本コンクールにおいては「優秀指導教師賞」の授与を継続実施いたしました。対象となるのは、三等賞以上の受賞者を育てた日本語教師で、受賞者には賞状と記念品を授与することとなりました。
 
  今回の優秀指導教師賞の受賞者は、のべ計107名です。受賞者と学校名は次の通り(順不同、敬称略)。教師の皆様、誠におめでとうございます。
丹波秀夫、丹波江里佳(蘭州理工大学)、大工原勇人(中国人民大学)、汪彩鳳、水野晴哉(合肥優享学外語培訓学校)、森田拓馬(中南財経政法大学)、石原美和(南京農業大学)。 後藤裕人(雲南民族大学)、桐田知樹(湖南文理学院)、中山一彦(長安大学)、駒澤千鶴(国際関係学院)平野満寿美(黒龍江外国語学院)、土肥誠(東莞理工学院)、松下和幸(北京科技大学)、坪井弘文、卲紅(青島職業技術学院)、水口友代(恵州学院)、喜田栄次郎、喜田恵子、関承(大連外国語大学)、藤田炎二(山東政法学院)、黄雪蓮(大連大学)、堀川英嗣(山西大学)。 久津間英次(大連外国語大大学)、岩佐和美(東華大学)、宮山昌治、李宇玲(同済大学)、佐藤敦信、朴京玉(青島農業大学)、石原美和(南京農業大学)、松下和幸(北京科技大学)、藤島優実(長江大学)、磯部香(大連外国語大学)、池嶋多津江、李宇玲(同済大学)、楊本明(上海理工大学)、林敏潔、三澤健一(南京師範大学)、鈴木穂高(浙江農林大学)、大滝成一(青海民族大学)、田中弘美(菏澤学院)、森本卓也(江西農業大学南昌商学院)、岩川司、鈴木昭吾(外交学院)、汪瑋嘉、渋谷征典(合肥学院)、西澤真奈未(吉林華橋外国語学院)、古田島和美(常州大学)、加藤浩介(楽山師範学院)、柴田公子(揚州大学)、瀬口誠(運城学院)、金花(煙台大学)、鈴木穂高、遠藤明生(浙江農林大学)、濱田亮輔、張璇(東北大学秦皇島分校)、中上徹也(南京理工大学)、暢宝仁、小林新(嘉興学院)、永嶋洋一、関承(大連外国語大学)、岩佐和美(東華大学)、柴田公子(揚州大学)、阿部誠(南京郵電大学)、禹永愛(瀋陽師範大学)、呉楠(遼寧師範大学海華学院)、趙俊槐、佐藤寿(天津科技大学)、林敏潔、三澤健一(南京師範大学)、許永蘭、吉田一将(瀋陽工業大学)、古田島和美(常州大学)、方敏、千葉雄一郎(東華理工大学)、坪井弘文、卲紅(青島職業技術学院)、崔文博、福田学(広東省外国語芸術職業学院)、村瀬隆之(四川外国語大学)、松本裕子(遼寧対外経貿学院)、新村奈津希(南京工業大学)、馬聡麗、奥野昂人(西安財経学院)、照屋慶子(嘉興学院)、方敏、千葉雄一郎(東華理工大学)、岩佐和美(東華大学)、池嶋多津江、李宇玲(同済大学)、芮真慧(遼寧大学外国語学院)、単麗(大連工業大学)、葉飛(五邑大学)、近藤千文(大連東軟情報学院)、張振会(安陽師範学院)、尾崎寛幸(山東科技大学)、王雪松、神田英敬(武漢理工大学)、不破明日香(寧波工程学院)、大田拓実、任麗(長春理工大学)。
■本書の刊行経過■
  日中交流研究所の母体である日本僑報社は、第1回の作文コンクールから受賞作品集を刊行しており、本書で12作目となります。第1回からのタイトルは順に、『日中友好への提言』『壁を取り除きたい』『国という枠を越えて』『私の知っている日本人』『中国への日本人の貢献』『メイドインジャパンと中国人の生活』『蘇る日本!今こそ示す日本の底力』『中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?』『中国人の心を動かした「日本力」』『「御宅」と呼ばれても』『なんでそうなるの?中国の若者は日本のココが理解できない』で、これら11作の作品集は多くの方々からご好評を賜り、各地の図書館、研究室などにも収蔵されております。
 なお、本書掲載の作文はいずれも文法や表記、修辞法などについて、明らかな誤りや不統一が見られた箇所について、編集部が最低限の修正を加えさせていただきました。その他は、日本語として一部誤りや不自然な箇所があったとしても「学生の努力の跡や成長の過程が見られるもの」と受け止め、そのまま掲載いたしました。どうか、ご了承いただけましたら幸いです。
 今回のテーマは(1)「訪日中国人、『爆買い』以外にできること」 (2)「私を変えた、日本語教師の教え」  (3)「あの受賞者は今――先輩に学び、そして超えるには?」の3つとしました。
 (1)の「訪日中国人、『爆買い』以外にできること」は、今回の作文コンクールのメインテーマともいえるものです。本書のメインタイトルとしても使用しました。
 このテーマでは、2015年の日本の「流行語大賞」にも選ばれた「爆買い」というユニークな言葉に注目した上で、これからの日中関係発展の一助にもなり得る、日本観光についての具体的な体験談や提言をまとめてもらいました。それはとりもなおさず「観光立国」を目指し、外国人観光客に「おもてなしの心」を伝えたい日本にとっても、貴重な提言になったことと思います。 上位に選ばれた作品には、「爆買い」だけでは得られない体験――日本人と心の交流をしたり、未知の日本を深く味わったりすることなど、若者ならではの新しい感性や、独創的なアイデアが多く綴られていたように思います。
 一方、「日本旅行をしたら楽しみたいこと」といった視点で書かれたものの中には、「茶道や華道をしたり、温泉や日本料理を楽しんだり、着物を着て歩きたい」といったように、内容が羅列的で盛りだくさんであるため、かえってメリハリのない作文になったものがありました。そうであると、どうしても似たような内容や結論になりがちとなり、結果的にこうした作文が上位に選ばれるのは難しくなったようです。やはり審査過程においては、その学生さんならではの視点や観点、主張のオリジナリティーの有無が重要視されたようです。
 (2)の「私を変えた、日本語教師の教え」は、前回のテーマ「わたしの先生はすごい」に続くものです。日ごろ指導を受けている日本語の先生から学んだこと、とくに自分の生活や学習態度、考え方などを大きく変えた先生の教えを、具体的に綴ってもらいました。
応募作品の中には、これまでに影響を受けた先生について多数列挙したものがありましたが、1500~1600字という短い作文の場合、かえってそのテーマ性やメッセージ性が伝わりにくくなるようです。もちろん何人もの先生の教えを大事にし蓄積している、そのこと自体を否定するものではありませんが、より主張の明らかなアピール性の強い作品にするためには、1人の先生に絞って、その先生の教えを具体的に綴ったほうが読み手にはわかりやすくなるようです。
 (3)のテーマは「あの受賞者は今――先輩に学び、そして超えるには?」。今年第12回を迎えた日本語作文コンクールの受賞経験者も中国各地に広がり、佳作賞までの各賞受賞者は前回(11回)までにのべ1200人を超えています。その受賞経験者である先輩から学んだこと、そして先輩を超えるにはどうしたらいいか、などを独自の視点・観点でまとめてもらいました。「先輩」とは、受賞者であれば抽象的な概念としての「先輩」でも構わないとしました。 これはテーマになり得る対象が限られたせいか、作文を書くのが難しかったと見えて、応募作品が思いのほか集まりませんでした。 それでも中には、「『好きなら絶対にできる』という(先輩の)言葉は私を何度も励ましてくれた」「語学を上達させるために秘訣というものはない。日々の練習と努力を重ねているうちに次第に上達するものだという先輩の言葉が一番印象に残った」など、あこがれの先輩の姿に学び、その上でこれから自分がどうしていくかをストレートに綴った作文がありました。そうした若者らしい積極性や素直な心情が丁寧に描かれたものが、最終的に上位に入賞したようです。
 総じていえば、今回の応募作品はこれまでにも増して甲乙つけがたい力作が多く、各審査員を大いに悩ませました。 審査を終えたある審査員からは「(いずれも)素晴らしい作文の中で、全てを読み終わった後に、すぐ思い出すことができる印象深い内容の作文に、高い点を付けました」「内容も、文法も、ともに素晴らしく高いレベルであることを大変うれしく思い、同時に応募者の皆さんの挑戦する気持ちを誇らしく思いました」という高い評価が寄せられました。
 また、第一次審査に多大なご協力をいただいた運城学院(中国山西省)の日本語教師、瀬口誠先生からは特別寄稿「審査員のあとがき」をまとめていただき、本書に併せて掲載しました(現任校の応募作品はその審査から外しました)。 瀬口先生は、この日本語作文コンクールと応募作品について「まさに、新時代の中国を担う若者たちの、中国、日本、そして世界に対する宣言でもある。他のメディアでも日中関係や自国の未来に対する啓蒙を説く言説はいくらでもあるが、しかし、これほど多くの中国人学生たちの生の声を拾い発信する機会は、この『中国人の日本語作文コンクール』以外にはないと断言できる」と強調されています。
 その上で「学生たちが次回以降の作文コンクールで更に良い作文を作るために」として問題点を三つ挙げられ、「その三つとは、日本語の問題、作文内容の問題、そしてルール・規定の問題である。今後、作文コンクールに応募する際にも重要となる点なので、ぜひ、現場の教師の方々も一緒に考えていただきたい」と問題点を詳しく分析、それぞれ克明に記されています。それは、現場をよく知るベテラン日本語教師による「審査講評」であると同時に、次回以降の作文コンクール応募に役立つ「アドバイス」であり、さらにはより良い日本語作文を書くためのヒントを惜しげもなく伝授した「作文指南」であるともいえるでしょう。
 次回以降の作文コンクールにぜひチャレンジしたいと思う学生の皆さん、現場の先生方、そして本書読者の皆様にはぜひ瀬口先生の「審査講評」を参考にしていただけたら幸いです。  入賞作品は最終的にこのような結果となりましたが、順位はあくまでも一つの目安でしかありません。最優秀賞から佳作賞まで入賞した作品は、どの作品が上位に選ばれてもおかしくない優秀なできばえであったことを申し添えたいと思います。
いずれの作品にも、普段なかなか知り得ない中国の若者たちの「本音」がギッシリと詰まっていました。中には、日本人がハッとさせられるような新鮮な視点やユニークな提言もありました。そうした彼ら彼女らの素直な「心の声」、まっすぐなメッセージは、一般の日本人読者にもきっと届くであろうと思います。 日本の読者の皆様には、本書を通じて中国の若者たちの「心の声」に耳を傾けることで、これからの日本と中国の関係を考えるほか、立場や視点を変えることで見えてくる日本の不思議さ、おかしさ、素晴らしさを再認識するキッカケにしていただければ幸いです。
 なお、本書の掲載順は、一等賞から三等賞までが総合得点の順、佳作賞が登録番号順となっております。何とぞご了承ください。
■謝辞■
  日本僑報社・日中交流研究所は、2005年から日中作文コンクールを主催しており、今年は第12回目を迎えました。この12年間、皆様のご指導とご協力のもと多くの難関を乗り越えることができ、本コンクールはいまや中国国内でも高い知名度と権威性のあるコンクールへと大きな成長を遂げています。
 コンクールは日本に半年以上の留学経験のない中国人学生を対象として、今年は5月9日から31日までの約3週間にわたり作品を募集しました。
 厳密な集計の結果、今年は中国の30省市自治区(前回は28)の189校(大学、大学院、専門学校。前回は180校)から、前回の総数4749本を大幅に上回り過去最多となる5190本もの作品が寄せられたことが明らかとなりました。
 またそれに伴い、主催者側はこれを熟慮し、受賞者枠を3等賞と佳作賞において拡大。佳作賞までの受賞者数を計300名(作品)とし、受賞者数も過去最多を更新しました。
 最近の日中関係が「改善の勢いがみられるものの、まだ弱い」といわれる依然難しい時期にある中、過去最多の応募総数を記録したことで、中国の若者たちの日本への関心がますます高まっていることがうかがえる結果となりました。
 在中国日本大使館には第1回からご後援をいただいております。第4回からはさらに最優秀賞に当たる「日本大使賞」を設け、歴代大使の宮本雄二、丹羽宇一郎、木寺昌人、および現任大使の横井裕の各氏には、ご多忙の中、直々に大使賞の審査をしていただきました。
 ここで改めて、歴代大使と横井大使をはじめ大使館関係者の皆様に、心より御礼を申し上げます。  また、第2回から第6回までご支援いただきました日本財団の笹川陽平会長、尾形武寿理事長の本コンクールへのご理解と変わらぬご厚誼にも深く感謝を申し上げます。
 そして第7回よりご協賛をいただいている株式会社ドンキホーテホールディングスの創業会長兼最高顧問、公益財団法人安田奨学財団理事長の安田隆夫氏からは日本留学生向けの奨学金制度設立などの面でも多大なご支援を賜りました。これは中国で日本語を学ぶ学生たちにとって大きな励みと目標になるものです。ここに心より感謝を申し上げます。  第9回からは、東芝国際交流財団にもご協賛をいただいております。改めて御礼を申し上げます。
 朝日新聞社には、坂尻信義氏(元中国総局長)のおかげで第7回からご協賛をいただき、第10回からはメディアパートナーとしてご協力いただいております。現任の古谷浩一総局長をはじめ記者の皆さんが毎年、表彰式や受賞者について積極的に取材され、その模様を生き生きと日本に伝えてくださいました。それは日中関係が難しい状況にある中でも、日本人が中国をより客観的にとらえ、中国により親近感を持つことのできる一助になったことでしょう。同社のご協力に心より敬意と感謝の意を表します。
 谷野作太郎元中国大使、作家の石川好氏、国際交流研究所の大森和夫・弘子ご夫妻、さらにこれまで多大なご協力をいただきながら、ここにお名前を挙げることができなかった各団体、支援者の皆様にも感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。
 また、マスコミ各社の皆様には、それぞれのメディアを通じて本コンクールの模様や作品集の内容を丁寧にご紹介いただきました。そして日中〝草の根交流〟の重要性や、日中関係の改善と発展のためにも意義深い中国の若者の声を、広く伝えていただきました。改めて御礼を申し上げます。
 中国各地で日本語教育に従事されている先生方に対しましても、その温かなご支援とご協力に感謝を申し上げます。
 これまでに中国各地の300以上の学校から応募がありましたが、このように全国展開できた上、今回の応募数が第1回(1890本)の2・7倍超に増加するなど、本コンクールがこれほどまでに知名度と信頼を得られたのは、教師の皆様のご尽力のおかげです。
 最後になりますが、応募者の皆さんにも改めて御礼を申し上げます。まず、皆さんの作文は力作ぞろいであり、主催者はこれまで出版した作文集をたびたび読み返してきました。そしてその都度、皆さんのような若者ならではのパワーとエネルギーに刺激を受けて、現在の日中関係を、民間人の立場からより良いものにしていくための勇気と希望を抱くことができました。
 さらにこの12年間、本コンクールは先輩から後輩へと受け継がれてきたおかげで、いまや中国の日本語学習者の間で、大きな影響力を持つまでになりました。現在、過去の応募者、受賞者の少なからぬ人たちが、日中両国の各分野の第一線で活躍しています。
 皆さんが学生時代に本コンクールに参加して「日本語を勉強してよかった」と思えること、また日本への関心をより深め、日本語専攻に対する誇りをより高めていると聞き及び、私は主催者として非常に励まされています。
 中国古代の兵法書『孫子の兵法』に、「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」とあります。日本語を身につけ、日本をよく理解する若者が中国に存在していることは、日本にとっても大きな財産であり、必ずや彼らは両国のウインウインの関係に寄与してくれるに違いありません。
 毎年、作文コンクールはさまざまな試練に立ち向かっています。それを乗り越え、本活動を通じて、日中両国の相互理解を促進し、ウインウインの関係を築き、アジアひいては世界の安定と発展に寄与する一助となることを願い、私どもは12年目の歩みを着実に進めてまいります。
 引き続き、ご支援、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

2016年11月18日

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