第12回のテーマについて
【趣旨説明】
 
1 訪日中国人、「爆買い」以外にできること
 
 2020年の東京オリンピックを契機に「観光立国」を目指す日本を訪れる、外国人観光客が急増しています。円安や政府による査証(ビザ)の発給要件緩和などが追い風となったもので、2015年は早くも「2020年までに年間2000万人」としている政府目標に迫る勢いを見せました。
そのうち中国人客は前年(2014年、約241万人)を大きく上回り、年間を通しても伸び率、人数ともにトップクラスに躍り出ました。急増した中国人客が大量に買い物をするさまは「爆買い」と呼ばれ、今や日本で社会現象の1つと化したばかりか、日本の商工観光にも大きく寄与しているといわれています。2015年末には、この言葉が日本の「流行語大賞」に選ばれたほどです。
 最近の日本のメディアは、中国人客が日本製の電気炊飯器や温水洗浄便座といった家電製品をはじめ、化粧品や紙おむつといった日用品をいくつも購入していく姿を、日本人の驚嘆の声とともに伝えています。
 しかし中国人客のお目当ては、本当に「爆買い」だけなのでしょうか? 「爆買い」以外にも確かな目的はあるでしょうし、日本でできることはたくさんあるはずです。日本旅行で満喫したこと、旅行をしたら楽しみたいこと、旅先の日本人との交流など、経験でも希望でも何でも結構です。「私なら日本旅行でこれをしたい」「僕なら日本であれができる」など、これからの日中関係発展の一助にもなりそうな、日本観光についての具体的な体験談や提言をまとめてください。

2  私を変えた、日本語教師の教え
 
 日本語作文コンクールには毎年、多くの力作、秀作、労作が寄せられますが、これは日ごろから日本語を学ぶ中国人学生を熱心に指導されている日本語教師のご尽力の賜物だと思われます。
 中国における日本語学習者は現在100万人を超え、「世界一」という調査結果があります。その100万人を指導する日本語教師の数は、約1万7000人(うち日本人教師が2000人超)にも上るそうです。
 今回は、前回のテーマ「わたしの先生はすごい」に続くものとして「私を変えた、日本語教師の教え」をテーマの1つにしました。
 学生の皆さんが、日ごろ指導を受けている日本語の先生から学んだこと、とくに自分の生活や学習態度、考え方などを大きく変えた先生の教えを、具体的にまとめてください。それをもって学生側から日本語教師に感謝の気持ちを示すとともに、先生方にはその作文を今後の指導の参考にしていただければと考えています。
 これまでに寄せられた作文には、単身中国へわたり異郷で奮闘している日本人の先生や、自らの学習経験や留学体験を生かして丁寧に指導している中国人の先生など、多くの優れた日本語教師の姿が描かれていました。
 ぜひ皆さんも、それまでの自分を変えるに至った日本語の先生のユニークな教え、立派な教え、学ぶべき教えなどを作文にまとめてください。教室で学んだことだけでなく、その先生の姿勢や生き方から学んだ点もあるでしょう。
 そしてその教えによって、自分がどう変わったのか、どう成長したのかを振り返ってみてください。作文に表すことで、あなたの先生の真の教えと、先生への感謝の念が一層ハッキリすることでしょう。

3  あの受賞者は今――先輩に学び、そして超えるには?
 
  この日本語作文コンクールは2005年にスタートし、今年で第12回を迎えました。これまでに中国各地の300校を超える大学・専門学校などからのべ約2万8000人が応募し、佳作賞までの各賞受賞者はのべ1200人を超えています。
 受賞者たちの中には現在、日中両国の経済、文化、科学技術など各分野の最前線で活躍している人も数多くいます。
 もしかすると学生の皆さんの周りにも、大学の先輩などに受賞経験者がいるのではないでしょうか?
 そうした先輩たちが今、大学や社会において、どんな分野で活躍しているか。まずは彼らの現在の活動やその活躍ぶりに注目いただき、それをご紹介ください。その上で、先輩から学んだこと、そして先輩を超えるにはどうしたらいいか、などを独自の視点・観点でまとめてください。先輩の受賞作に改めて目を留めたり、先輩に直接話を聞いたりするのもいいでしょう。また「先輩」とは、受賞者であれば抽象的な概念としての「先輩」でもかまいません。
  「先輩に学び、そして超えるには?」の作文を書くことは、日ごろの日本語学習のモチベーションを高めるだけでなく、その作品は中国全土で日本語を学ぶ学生たちのよい参考になることでしょう。
 なお作文コンクール事務局は2015年末より、過去の受賞者を対象にした作文「私と日本語作文コンクール」を募集しています。受賞者たちの作文コンクールとのかかわりから、これまでの成長過程、近況までがわかる内容を求めたものです。この作文は随時、日本僑報社HPに掲載していく予定ですので、こちらもどうぞご参照ください。



 
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