東京大学東洋文化研究所教授 田中明彦先生による「推薦の言葉」 ---------------------------------------------------------------- 現代の日中関係について、インターネットに現れる対日世論が重要だと言われる。最 も先鋭な対日批判がインターネットで繰り広げられているとも言われる。しかし、そ の実態を冷静に分析するとどうなるのか。中国の公式見解とどこが同じでどこが違う のか。中国のインターネット対日世論の構図を初めて体系的に分析したのが本書であ る。現代の日中関係を理解したい者にとって必読書であろう。 (東京大学東洋文化 研究所教授 田中明彦) ---------------------------------------------------------------- 書名 『中国のインターネットにおける対日言論分析―理論と実証との模索』 著者 祁景えい(東大博士課程) 判型 A5版204頁 定価 2500円+税 ISBN 4-931490-78-6 ---------------------------------------------------------------- −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 目 次 第T部
序章 第1節 問題提起 1.問題の所在 2.本書のオリジナリティ 第2節 研究対象 1.研究対象の正当性 2.事例とする「強国論壇」 3.参照とする人民日報 第3節 研究の枠組 1.アプローチ 2.研究方法 3.本書の構成 第U部 ネット対日言論体系の構築 第1章 体系への接近 第1節 一般的考察 1.構造 2.サイバースペースの自己葛藤 3.体系図の用語解説 第2節 中国民衆の中心的視角 1.ネット対日言論のリアリティーの礎 2.民衆視野の「強国論壇」 第3節 中国政府の従属的視角 1.総合的考慮 2.「想像の共同体」を求めようとする政府の意図 3.国内外世論のジレンマに挟まれる中国政府 第4節 おわりに――「強国論壇」のジレンマ(1) 第V部 実証篇 第2章 強国物語 第1節 「強国論壇」の誕生 1.成立の経緯 2.日本への関心 3.運営上の特色 第2節「強国論壇」における内容規制 1.三重の「門」 2.対日言論に関する審査 第3節 おわりに――「強国論壇」のジレンマ(2) 第3章 靖国神社参拝に関する言論の考察――「強国論壇」と人民日報とを比較する視点から 第1節 靖国参拝による中日間の波乱 第2節 人民日報の靖国参拝批判 1.公的批判言説の構造 2.抗議行動報道の意図 3.評論の観点構成 4.靖国批判の射程 5.小括 第3節 「強国論壇」のインフォーマルな主張 1.直接靖国参拝の批判 2.靖国参拝から教えられること 3.越境する情報源 4.小括 第4節 反発の比較 1.政府の外交的反発 2.民衆の「非理性的な英雄」の反発 第5節 おわりに――歴史記憶の実態(1)多層化 第4章 「強国論壇」における対日言論の一考察――「軍旗スタイル事件」を手がかりに 第1節 事例概要 1.事例として抽出される理由 2.事件の経緯 3.事件の波紋 4.議論の射程 第2節 アプローチ 1.3種類の意見 2.2つの論理 第3節 事件の焦点及び議論の展開 1.軍旗モデル服を着ているタレントへの評価 2.陳謝に対する反応 3.襲撃者及び処罰に関する態度 4.事件に関する反省 第4節 メディア・愛国・記憶――事件から見えてくる中国社会 1.事件におけるメディアの位相 2.「日本たたき」による慣性的愛国教育 3.呼び起こされ生きた歴史的葛藤 第5節 政府と外交的反応 1.中国政府の考慮 2.日本側の反応 第6節 おわりに――歴史記憶の実態(2)分化 第W部 総括
第5章 まとめと展望 第1節 結びにかえて 1.事例の整理――民衆の視座から 2.体系への回帰――政府の視座から 第2節 今後の課題 1.書き込み者に対する深層分析 2.ネット対米言論及び日米の対中言論 参考文献一覧 付録資料 「強国論壇」の関連年表 人民網による2002年の中日関係10大ニュース 人民網による2003年の中日関係10大ニュース あとがき ---------------------------------------------------------------- |