進化する漢字文化ーー新中国「文字改革」半世紀の歩みーー 元朝日新聞記者 前田 晃著 2002年07月発行 ページ68 サイズA5ソフトカバー 1,050円(1,000円+税) ISBN 978-4-931490-33-8 【内容紹介】 「漢字」は世界で最も古く、使用人口が最も多い文字です。グローバリゼーションに伴う英語の「世界共通語化」への潮流の中で、二十一世紀、漢字はどうなるでしょうか……。 本書は、この疑問に答える「道しるべ」、「手引き書」を目指し著述を展開しています。先覚の文献に加え、日本・中国の新聞、雑誌を参照、インターネットの最新情報も検索し、幅広いデータを駆使して「漢字の未来」を展望しています。 古代中国の殷・周時代に甲骨文字として生まれた漢字の変遷を「三千五百歳の寿老人」になぞらえ、新中国の「三大文字改革」を「漢字の易姓革命」と見立て「温故知新」、「約定俗成、穏歩前進」、「継往開来」、「前事不忘、後事之師」などの四字成句や東アジアの近現代史を織り交ぜて、わかりやすく多角的に解説しています。 例えば、漢字「受難の時代」は、魯迅の「亡国廃止論」を引用して、「封建支配の権化」、近代化を阻む「悪玉、スケープゴート」にされ、四角い漢字の字形を切除手術して、新しい「臓器=ローマ字表記」を移植しなければ「肉体=中国」が危ういとまで論じられた背景や、「毛沢東テーゼ」に始まる「文字改革」の具体的展開を、「整形手術」のインフォームド・コンセントするような大衆化路線での「簡略化」で、また「漢語憧音ローマ字表記」とコンピューターによる機械化処理は漢字の国際化への「ペースメーカー」……というように、漢字が「二十世紀の中国語」に変身、識字率の向上など文化建設への貢献ぶりを噛み砕いて記述しています。 漢字の優点が見直され、漢字を廃止した朝鮮半島、ベトナムなどでも復権・再生・再評価され、東アジアの共用文字から「世界の共通文字として使える世界で唯一の文字」(石井勲・日本漢字振興協議会会長)との新見解と合わせて進化するなかでも、なお残されている漢字の問題点、課題も多岐にわたって紹介し、二十一世紀早々の時点での「世界の漢字事情」のデータを網羅しています。 |