漢字を介してみる日本と中国の文化
ケ小平訪日で通訳を務めたベテラン外交官の新著 ビジネスで、旅行で、宴会で、中国人もあっと言わせる 漢字文化の知識を集中講義!
日本図書館協会選定図書
【内容紹介】 ベテラン外交官が語る奥深い漢字の世界 著者は外務省で長年中国外交に携わり、北京・広州・大連・重慶など各地での勤務経験も豊かなベテラン外交官。1978年10月のケ小平訪日では通訳を務め、面識を得た中国各界の要人も少なくない。中国との関わりの中で得た体験や情報をもとに、日本と中国をつなぐ漢字文化の奥深い世界を軽妙に明かす。
中国の漢字と文化は日本に生きている 二十四節気や十二支、春節(旧正月)や端午の節句、七夕、中秋など、日本と中国には漢字文化を介して日常生活の中で共有している風習や行事も少なくない。一方で、親族の呼称や姓・氏の考え方など、日本とは異なるものも多い。「日中の漢字の文化的な背景の共通点と相違点を知ることが重要」と著者は記す。
日本と中国で出現した新しい漢字文化
1970年代以降、中国では社会主義の政治経済体制、日本では高度経済成長のもとで多くの新語が生まれ、互いに影響しあってきた。今日の生きた漢字文化の具体例を紹介しながら、現代中国の政治、経済、社会を知る助けとなり、ビジネスや中国の人々との交流で必ず役立つ知識を余すところなく伝える。
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【目次より】
第1章 日本と中国の漢字表記とその文化的背景 (1)中国と日本の国名について (2)二十四節気 (3)十干十二支 (4)仏教文化と大仏、観音像 (5)季節の行事と伝統文化
第2章 中国文化の真髄 (1)酒の文化 (2)中華民族を象徴する龍と鳳凰 (3)八仙人と七福神 (4)三十年河東、三十年河西 (5)親族関係の呼称 (6)日本と中国の姓と氏 (7)中国文化の真髄たる古典文学と現代口語との落差 [コラム1]「死ぬ」を意味する日本語と中国語
第3章 民族、国情、語法による表現の特色 (1)「冨」の字と孔子の家 (2)日本と中国で意義や用法に大きな違いのあることば (3)日本の「仕事の鬼」と中国の〈酒鬼〉 (4)中国で忌み嫌われる「亀」と賞賛される「牛」 (5)〈花花公子〉は貴公子か (6)30歳の〈老婆〉と〈老師〉 (7)〈愛人〉と〈情婦〉 (8)中国語の表現に対する日本人の感覚 (9)〈賓至如帰〉のもてなしの心 (10)花と魚の名称 (11)円と元 (12)固有名詞の表記と発音 (13)多額の財に対する世間の目にどう対処するか (14)新しい概念を表現するために創られた日本と中国の外来語 [コラム2] 日本人が間違いやすい語句
第4章 社会主義中国と高度経済成長下の日本における特徴あることば (1)社会主義中国特有の事物 (2)国花と国鳥の制定 (3)外国事情とそれに関する中国語表現との整合性 (4)中国の地方行政制度の変遷 (5)〈南水北調〉と〈北水南調〉はどう違う (6)〈家具、家居、家私〉 (7)主客転倒 [コラム3]「倍返し」と「W」
第5章 中国の急速な経済発展に伴う新しい現象と表現(1)政治、経済 (1)改革開放によって実感された中国の変革 (2)自白を強要したのは「警察」か「検察」か (3)鉄道建設の汚職発覚で逃げ切れなかった〈裸官〉 (4)対価を払って記事を書かせる「有償ニュース」 (5)違法な盗作製品が横行する社会を美化する〈山寨文化〉 (6)一億総中流社会の日本と格差社会の中国 (7)〈零八憲章〉と政治改革を求める運動 (8)歴史と共に価値観が激変した〈貴族〉 (9)対外関係にみる漢字文化 (10)楽天の「中国ネットモール」と重慶商社グループの話題 [コラム4] 箱根八里と函谷関
第6章 中国の急速な経済発展に伴う新しい現象と表現(2)文化 (1)〈小姐〉(お嬢さん) (2)かつて中国の歌番組で一世を風靡した 〈超級女声〉(スーパー女性歌手) (3)中国語になった日本語「人気ランキング」、「量販カラオケ」 (4)新たに提起された中国の文字表記の問題 (5)安室奈美恵ブランドのファッション衣料 (6)人の容姿を表現することば (7)生活の中での文字表記に対する感覚と認識の違い (8)〈菜鳥〉とはどんな鳥 (9)結婚と離婚をめぐる厳しい環境 (10)中国復帰前の香港住民の新語 [コラム5] 日本語と中国語の一人称
第7章 中国と日本の新語にみる新しい時代 (1)中国で1年に「バレンタインデー」が3回あった年 (2)「今年の漢字」の発表 (3)ゴールデンウイークと〈黄金週〉 (4)中国で愛好される日本の歌謡 (5)日本のアニメに関連する話題 (6)中国映画〈非誠勿擾〉の影響 (7)日本式に修正された漢字熟語 (8)ネット依存症などの困った生活習慣 (9)リニアモーターカーとモノレール (10)タクシー運転手〈的哥、的姐〉 (11)自然災害に関する表現
------------------------------------------------------- 【著者紹介】 冨田昌宏(とみたまさひろ) 1947年10月生まれ。1970年神戸市外国語大学中国学科卒、外務省入省。外務省本省において、アジア局中国課、国際情報局分析二課での勤務を歴任。北京・広州・大連・マレイシア・ペナン・米国ニューオーリンズでの勤務を歴任。2004年〜09年、在重慶総領事。2009年〜11年、外務省外交史料館長。2011年3月退官。中国関係著書に『お金が語る現代中国の歴史』(三省堂、1997年7月出版)。 ------------------------------------------------------- 日本の「仕事の鬼」と中国の<酒鬼> 著者 冨田昌宏 出版 日本僑報社 判型 四六判192頁 定価 本体1800円+税 発行日 2014年5月28日 ISBN 978-4-86185-165-0 C0036 注文先 http://duan.jp/item/165.html |