在庫2冊(2008年5月31日現在) 【内容紹介】 本書の目的は、二〇〇六年に人民日報に掲載された様々な評論や報道記事から選び抜いた六〇編を通して中国の今を理解しようというものです。それぞれ何らかの形で中国と接点を持つ方々、特に中国ビジネスに従事する方々は、幅広い分野にわたり具体的事例を踏まえた最新情報を満載しているこれらの文章を読むことで、めまぐるしく変わる中国を理解するベースができ、等身大のそしてバランスの取れた中国観を身につけることができるはずです。 人民日報は中国共産党の機関紙で、党や政府のプロパガンダとしての役割を担うがゆえにその内容には大きな制約があり、一般庶民と距離があることは周知の事実です。 その一方で、そうであるがゆえに、党や政府の政策や方針を理解するにはこれに勝る情報源はありません。したがってこれまでも「現代中国研究者や中国ビジネスに携わる人は必読」とされていました。その一方で、最近の人民日報に、思想的・文化的にきわめて質の高い文章や、党や政府の不正を摘発し社会の不公正を糾そうとする"正気"溢れる文章、記者たちのジャーナリストとしての自覚と誇りがいかんなく発揮されている文章が増えつつあることはあまり知られていません。過去の印象が強烈すぎたのかもしれませんが、日本でもほとんど紹介されておらず、これは大変もったいないことだと思います。 実は我々はこれらの文章を通して、中国が今抱えている問題やそれに対する取り組み方をかなり正確に把握することができます。また、中国と日本の異文化ゆえの価値観の違いや、中国ならではの特殊事情をも理解することができます。更に、今中国人が何を考えているのかが実に良くわかります。ご覧になった方は、人民日報も腐敗や不正をかくも厳しく糾弾する記事を載せているのだ、とびっくりされるでしょうし、その取材や分析の質が年々向上していることも事実です。 もちろん、人民日報には俗に言う提灯記事(この本では選別対象外)が沢山ありますし、収録した文章も党や政府の厳しい検閲を受けたものであり、多くの場合その掲載になんらかの意思が反映されていることは当然です。しかしそこからも、党や政府の姿勢の変化やもはや抗うことのできない社会の変化を読者は敏感に読み取ることができるのです。 親中の人も嫌中の人も、そういったレッテルとは無縁の人も、みんなが自分の目でこの本を読むことが大事だと思います。相手にレッテルを貼るだけで個々の内容に是々非々で望めないのは日本人の島国根性の悪い癖ですが、良いものは良い・悪いものは悪い、と評価する科学的・客観的な見方を育てることがこれからの日中関係には不可欠でしょう。 この本を通して日本における中国観に健全かつ公平な批判的精神が醸成されることを期待します。 (本書「まえがき」より) --------------------------------------------- ●翻訳者:而立会(稲葉洋子・大場悦子・岡田英久・小沢千代子・小野崎正顕・金子伸一・清本美智子・石文媛・張進旺・徳永憲昭・名久井綾・野澤靖之・野村和子・広瀬由美子・福田夏花・柳川俊之・李原翔) ●監訳者 三潴正道麗澤大学教授 --------------------------------------------- 目次 まえがき 第一章【隣国日本を語る】の巻 第一話 中日関係改善へ希望の窓開く 第二話 西暦七三四年を偲ぶ 第三話 シネマ市場に一筋の清流 第四話 ライバルからパートナーに 第二章【愛国心を育む】の巻 第五話 愛国心、三つの性質 第六話 「孟母堂」、上海に出現 第七話 成都に「詩歌の殿堂」 第八話 我らに「魯迅年」を 第三章【伝統をどう受け継ぐか】の巻 第九話 清明節は本来の姿で 第一〇話 『紅楼夢』、なぜ今人気に? 第一一話 ミッキーマウスと孫悟空 第一二話 「風水師」にチャンス到来? 第四章【建設&発展】の巻 第一三話 中国の幹線道路はここから始まる 第一四話 いかに「土地経済」から抜け出すか 第一五話 「デジタル市政」が「地下迷宮」をあばく 第一六話 一部の都市で依然続く公衆トイレ難 第五章【制度再チェック】の巻 第一七話 下部組織まで厳正な会計監査を 第一八話 湖北省の裁判官、四年で一〇〇〇余人減少 第一九話 職階評定外国語試験は廃止すべきか 第二〇話 「公開逮捕大会」は徐々に廃止を 第六章【官尊民卑】の巻 第二一話 独占業界、その給料は? 第二二話 民間航空会社奮戦記 第二三話 水道会社がへそを曲げると 第二四話 葬儀改革は何処へ 第七章【腐敗問題あれこれ】の巻 第二五話 「テスト点水増し」と「売位売官」 第二六話 「私たちを贈賄のプロにしないで」 第二七話 エスカレートする学術腐敗 第二八話 刑務所見学、内助の功? 第八章【知財権と商業モラル】の巻 第二九話 中央企業の主要製品、半数に特許なし 第三〇話 金庸の小説、あちこちで無断の商標登録 第三一話 自社開発特許製品に模倣被害 第三二話 一度の「違約」が起こした衝撃 第九章【社会モラルを育む】の巻 第三三話 「親不孝ペナルティー」 第三四話 「帰国後教育」の困惑 第三五話 「ブログ訴訟第一号」南京で開廷 第三六話 ハンス氏の泣き笑い 第一〇章【自然破壊に取り組む】の巻 第三七話 羊と草の会話 第三八話 風土は人が育む 第三九話 カレーズ、更に一〇〇年命拾い 第四〇話 天空の「蛇口」を有効利用 第一一章【農村・農民・労働者】の巻 第四一話 「雪中に炭を送る」が先? 第四二話 もし惣菜店が開業していたら 第四三話 出稼ぎ父ちゃんに宛てた手紙 第四四話 方城出稼ぎ顛末記 第一二章【教育界をめぐる話題】の巻 第四五話 子の出世を望むも、意なるなかれ固なるなかれ 第四六話 「母親同盟」活躍中 第四七話 「命の教育」を教室へ 第四八話 給食―なぜ生徒に喜ばれないのか 第十三章【医療と健康をめぐる話題】の巻 第四九話 「天使」はなぜ「逃げ去って」しまったか 第五〇話 エイズは私たちの身の周りに 第五一話 介護の難題、在宅介護が解決 第五二話 どうやって漢方医学を救うのか 第一四章【庶民の思い】の巻 第五三話 爆竹の思い出 第五四話 母が縫ってくれた刺繍入り中敷 第五五話 耿村の『千一夜物語』 第五六話 お日さまを植える 第一五章【気になる話題】の巻 第五七話 試される危機管理システム 第五八話 金持ちの一人っ子政策違反を許すな 第五九話 旧正月の観光は「南北大移動」 第六〇話 百家姓から民族の源流を探る |