【内容紹介】 この作品は二部構成で書かれていて、作品は両方とも筆者の故郷である北海道を主な舞台としている。「蒼天のかなたへ」は、筆者の大学時代の学部と学年は違うが、知り合いの二人の後輩をモデルとした実在の物語である。 -------------------------------------------- 越坂部圭吾(仮名)氏と大路弥真一(仮名)氏は、共に大学在学時代からけれん味のない好漢である。越坂部氏は東京の銀行マンであり、大路弥氏は現在でもフリー・ジャーナリストとして活躍している。 -------------------------------------------- 二人は親友の間柄で、この作品中にも明らかなように、越坂部氏の苦恋の良き相談相手である。 -------------------------------------------- 二人の妻は共に病気を患って来ていて、筆者の境遇とも相通じるところがある。 -------------------------------------------- この作品が完成したのは、筆者が昨年夏に妻と北海道に滞在してから、東京に戻って来て間もないまだ残暑が厳しい頃であった。 -------------------------------------------- もう一つの作品「ふるさとの風」は筆者の私小説であり、自伝でもある。両方ともに〇四年秋から筆をおこしたものである。この作品では、筆者の変化に富む少年時代と激動の社会の日々が生々しく示されている。 ------------------------------------------- 以前から筆者はふるさと小樽への思い入れが強かった。 -------------------------------------------- 大学卒業後、貿易の分野で十年間働き、その後教職の資格を取得したあと高校教員を二十七年間勤めたのであるが、後半の二十七年と退職後現在までの七年間に、ふるさと北海道へ良く足を運んでいる。 -------------------------------------------- 〇〇年に筆者が処女作品「永遠に続く祈り」(文芸社刊)を出版した後の〇一年夏に北海道新聞社のインタビューを受けた折に、ふるさとへの思い入れについて語ったことがある。昨年八月妻と帰京した直後に同社報道部から、連載コラム「お元気ですか」に寄稿を依頼されて、ふるさと小樽賛歌を書き掲載していただいた。そんな訳で以前から筆者の自伝を書き綴って見たいと思っていたのである。 -------------------------------------------- この二つの作品は内容的には特に繋がりはないのだけれど、今回は出版社側と相談の上で、一つにして刊行することにした。あらかじめ読者諸氏におことわりを申しあげておく次第である。 -------------------------------------------- なお、私的なことではあるが、この作品の完成後三週間ほどして、筆者の妻が緊急入院して、五十九日間のガンとの凄絶な闘いに倒れ、永眠する悲運に遭遇することとなった。「蒼天のかなたへ」の主人公越坂部氏の妻であった里和さんは植物人間状態で六年も眠ったままで逝ったのであったが、筆者の妻は十八年間骨髄のガンを患っていたが、本人に病名を告知せず奇跡的に延命を続け、この間仕事を普通にこなしていたのである。医師の言った四〜五年の命という十八年前の診断にもかかわらずである。筆者はこのたびの拙著の出版について迷い続けたが、悲しみを乗り越え出版を敢えて決意した次第である。出版に力をお貸し下さった僑報社に感謝しつつ。 ------------------------------------------- 〇六年五月 筆者記す ------------------------------------------- 著者紹介 北岡信夫(きたおかしのぶ)本名森川忍。1937年北海道小樽市に生まれる。1956年道立小樽潮陵高校卒業。1957年早稲田大学第一政治経済学部入学。1961年同卒業。同年貿易業界に従事。1972年東京の私立高校に勤務。1999年同退職。2000年文芸社より長編小説『永遠に続く祈り』を刊行。2001年中国人民文学出版社より中国文の同書を出版。2003年文芸社より長編小説『癒された虜囚の魂』を刊行。2004年9月中国人民文学出版社より中国文の同書を出版。2004年長編小説『バルカンの嘆き』を文芸社より出版。 -------------------------------------------- 北岡信夫著 日本僑報社6月28日発売予定 ISBN4-86185-036-3 |