第十八回コンクール 開催報告と謝辞

日本僑報社・日中交流研究所 所長 段 躍中

 

 

主催 日本僑報社・日中交流研究所

協賛 株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、公益財団法人東芝国際交流財団

メディアパートナー 朝日新聞社

奨学金支援 公益財団法人安田奨学財団

後援 在中国日本国大使館、(公社)日本中国友好協会、日本国際貿易促進協会、(一財)日本中国文化交流協会、日中友好議員連盟、(一財)日中経済協会、(一社)日中協会、(公財)日中友好会館、日本日中関係学会、(一社)アジア調査会、中国日本商会、北京日本倶楽部(順不同)

協力 長沙中日文化交流会館、(公財)日中国際教育交流協会

 

 

開催報告

 

日本僑報社・日中交流研究所が主催する「中国人の日本語作文コンクール」は、日本と中国の文化交流と相互理解の促進をめざして二〇〇五年にスタートし、今年二〇二二年で第十八回を迎えました。

中国の学校で日本語を学ぶ中国人学生を対象として、この十八年で中国全土の四百校を超える大学や大学院、専門学校、高校などから、累計五万五千八百四十九名が応募。中国国内で規模が最も大きく、知名度の高い日本語作文コンクールへと成長を遂げています。日本語を勉強する中国の若者にその成果を発表する舞台を提供し、中国における日本語の普及と日本文化への理解を深めることにより、日中両国の親善友好に貢献することを目指しています。

第一回から刊行し続けてきた受賞作品集シリーズは、中国の若者たちが直接日本語で綴ったリアルな「生の声」であり、その時々の日中関係や歴史的な出来事を反映し、貴重な世論として両国の関心を集めています。今年は『日中「次の50年」』をシリーズの第十八巻として刊行いたしました。

 

応募状況

中国の大学や大学院、専門学校、高校など二百五校から三千三百六十二本もの作品が寄せられたことがわかりました。

地域(行政区)別では、中国のほぼ全土にわたる二十

八省市自治区から応募がありました。最多は遼寧省の五百十三本、次いで広東省の三百七十四本、浙江省の三百六十七本と、日本語学習者が多いとされる中国東北部と沿海部からの応募が上位を占めました。

 

今回のテーマのコンセプトは、日中国交正常化五十周年を記念し、日中関係の明るい未来に寄与できることを願って「日中国交正常化50周年を思う」とし、それに沿ってテーマを(一)日中両国民の親近感を高めるために私が出来ること、(二)街中にあふれる誤訳を減らそう――私の解決策、(三)日本語を教えてくれた先生への「感謝状」、そして新型コロナウイルス感染拡大を受けて追加した(四)コロナ禍で暮らす――共に闘う3年目の記録――の四つとしました。テーマ別では、(一)千四百

五十六本、(二)二百八十五本、(三)七百三十七本、(四)八百八十四本と、(一)が最多となりました。

 

審査の経過

第一次審査員(五十音順・敬称略)

岩楯嘉之、古田島宏一、佐藤則次、白井純、瀬野清水、高橋文行、高柳義美、田中敏裕、寺沢重法、中山孝蔵、菱田雅晴、松嶋忠信、丸山由生奈、若林一弘

 

第二次審査員(五十音順・敬称略)

赤岡直人 (公財)日本中国国際教育交流協会 業務執行理事

岩楯嘉之 日中青年交流会理事

佐藤則次 元日本語教師

高橋文行 日本経済大学教授

塚越 誠 書家、日中文化交流の会日本代表

西村大輔 朝日新聞GLOBE編集長(前中国総局長)

菱田雅晴 法政大学名誉教授         

和田 宏 前NHKグローバルメディアサービス専門委員、神奈川県日中友好協会会員

 

第一次審査は、あらかじめ募集要項の規定文字数に満たない、あるいは超過している作品を審査対象外とした上で、各規定をクリアした作品について採点しました。なお、審査の公平性確保のため、在中国の現任教師は除いています。

第二次審査は、公正を期するために応募者の氏名と大学名、受付番号を伏せた対象作文を各審査員に採点していただく形で実施しました。

第三次審査は、二次審査による合計得点の高かった学生に対し、スマートフォンの音声通話アプリでそれぞれ直接通話をし、口述審査を行いました(審査員・佐藤則次氏、段躍中、記録担当事務員一名)。その上で、新たに日本語による短い感想文を即日提出してもらい、審査基準に加えました。

最終審査は、二次審査と三次審査の合計点により選出した一等賞以上の候補者計六名の作品を北京の日本大使館あてに送付し、垂秀夫大使ご自身による審査で最優秀賞となる「日本大使賞」を決定していただきました。

各審査員による厳正な審査の結果、最優秀賞・日本大使賞一名、一等賞五名、二等賞十五名、三等賞四十名、佳作賞三百三十六名となりました。

また、園丁賞は二十五校、優秀指導教師賞七十六名となりました。各賞の詳細は本書の一四八〜一五〇ページをご参照ください。

受賞者の皆様、誠におめでとうございます。

 

作品集について

本書『日中「次の50年」』は、たくさんの応募作品の中から優秀作品を収めた受賞作品集シリーズの最新刊です。

日中国交正常化五十周年となる今年の四つのテーマに沿って、中国の若者たちによる日中両国民の親近感を高めるための提言や様々な努力、街中の誤訳についての考察と解決策、日本語を教えてくれた先生への感謝の思い、コロナ禍における奮闘などが生き生きと語られています。

読者の皆様には、本書を通じて中国の若者たちの「生の声」に耳を傾け、よりよい日中関係のあり方や日中交流に思いを致していただければ幸いです。

本シリーズは大変ご好評をいただき、朝日新聞をはじめとして、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞、NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、フジテレビ、共同通信、時事通信、産経新聞、東京新聞、西日本新聞、中国新聞、北海道新聞、沖縄タイムス、公明新聞、聖教新聞、しんぶん赤旗、週刊朝日、サンデー毎日、日経ビジネス、週刊東洋経済、旅行読売、日中友好新聞、日中文化交流、日本と中国、国際貿易、観光経済新聞、季刊中国、新文化、日中新聞、アジア時報、週刊読書人、トーハン週報、リベラルタイム、ジャパンジャーナル、レコードチャイナなどの日本メディア、在中国日本国大使館HP、また、公益社団法人日本中国友好協会、公益財団法人日本中国国際教育交流協会などの団体の機関紙(誌)や会報、新華社、人民日報、中国新聞社、人民網、チャイナネット、人民中国などの中国メディアで多数紹介されました。

日本各地の大学や自治体の図書館、研究機関などに収蔵されており、中国でも各地の大学や研究機関などに収蔵されております。

 

 

謝 辞

 

日中国交正常化五十周年の節目となる今年二〇二二年も「中国人の日本語作文コンクール」を無事開催することができました。ご支援、ご協力いただいた全ての皆様に心より感謝申し上げます。

在中国日本大使館には第一回からご後援をいただいております。第四回からは最優秀賞に当たる「日本大使賞」を設け、歴代大使の宮本雄二、丹羽宇一郎、木寺昌人、横井裕、および現任大使の垂秀夫の各氏にはご多忙の中、直々に大使賞の審査をしていただきました。ここで改めて、歴代大使をはじめ大使館関係者の皆様に、心より御礼を申し上げます。

ご協賛をいただいている株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスのご支援に深く御礼申し上げます。創業会長兼最高顧問、公益財団法人安田奨学財団理事長の安田隆夫氏には、外国人留学生向けの奨学金制度を通して、本コンクールで三等賞以上を受賞した学生に奨学生の選考の機会を与えていただくなど、多大なご支援を賜りました。これは中国で日本語を学ぶ学生たちにとって大きな励みと目標になるものです。ここに心より感謝を申し上げます。

公益財団法人東芝国際交流財団からは、本活動にご理解とご協賛をいただき、深く御礼を申し上げます。

朝日新聞社には、第七回からご協賛をいただき、第十回からはメディアパートナーとしてご協力いただいております。中村史郎社長や、坂尻信義氏、古谷浩一氏、西村大輔氏、林望氏ら歴代の中国総局長をはじめ記者の皆さんが毎年、表彰式や受賞者について熱心かつ丁寧に取材され、その模様を大きく日本に伝えてくださっています。それは日中関係がぎくしゃくした時期であっても、日本人が中国に対してより客観的に向き合うことのできる一助になったことでしょう。同社のご支援とご協力に心より感謝の意を表します。

第二回から第六回までご支援いただきました日本財団の笹川陽平会長、尾形武寿理事長の本コンクールへのご理解と変わらぬご厚誼にも深く感謝を申し上げます。

谷野作太郎元中国大使、作家の石川好氏、国際交流研究所の大森和夫・弘子ご夫妻、さらにこれまで多大なご協力をいただきながら、ここにお名前を挙げることができなかった各団体、支援者の皆様にも感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。

また、マスコミ各社の皆様には、それぞれのメディアを通じて本コンクールの模様や作品集の内容を丁寧にご紹介いただきました。そして日中民間交流の重要性や、日中関係の改善と発展のためにも意義深い中国の若者の声を、広く伝えていただきました。改めて御礼を申し上げます。

各審査員の皆様にも深く感謝を申し上げます。皆様には多大なるご支援とご協力を賜り、改めて厚く御礼申し上げます。

中国各地で日本語教育に従事されている先生方に対しましても、その温かなご支援とご協力に感謝を申し上げます。

今年も依然として新型コロナウイルス感染拡大という困難な状況下で、中国では上海などの都市のロックダウンといった様々な困難がありながらも、昨年の三千百

九十八本を上回る三千三百六十二本もの多数の素晴らしい作品を応募いただきました。応募くださった皆さまにも改めて御礼を申し上げます。本コンクールはこの十八年間、先輩から後輩へ脈々と受け継がれてきたおかげで、いまや中国の日本語学習者の間で大きな影響力を持つまでに至りました。歴代の応募者、受賞者ら多くの参加者が現在、日中両国の各分野で活躍されています。皆さんが学生時代に本コンクールに参加して「日本語を勉強してよかった」と思えること、また日本への関心をいっそう深め、日本語専攻・日本語学習への誇りを高めていること――こうした事例を耳にして、主催者として非常にうれしく思っています。

一方、皆さんのように日本語をしっかり身につけ、日本をよく理解する若者が中国に存在していることは、日本側にとっても大きな財産であるといえるでしょう。皆さんがやがて両国のウィンウィンの関係に大きく寄与するであろうことを期待してやみません。

中国人の日本語作文コンクールは、微力ながら、日本と中国の文化交流と相互理解の促進、ウィンウィン関係の構築に貢献することを願い、日中国交正常化五十周年から次の五十年に向けて、今後もこの歩みをしっかりと進めてまいります。

引き続き、ご支援、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

二〇二二年十一月吉日