第3回「日中ユースフォーラム」での挨拶

大森 圭介

(公益財団法人東芝国際交流財団専務理事)

 

 

11.29ご挨拶の様子

 

 

本日ご参加のご来賓の皆様、日本語作文コンクール、及び忘れられない中国滞在エピソードの受賞者の皆様、そして、過去の受賞者をはじめ、現在、様々なお立場で、日中の交流に腐心して頂いている皆様、お目にかかれてうれしく思います。

 

当財団は、日中の心の懸け橋となる日本語作文コンクールの趣旨に賛同し、長年協賛させて頂いており、また、この日中ユースフォーラムも毎年応援させて頂いております。

 

「中国人の日本語作文コンクール」は、300を超える中国全土の大学から、累計の応募者数が4万9千名を超え、しかも過去16回一度も途絶えることなく続けて来られました。それだけでも快挙でありますが、段さんの取り組みの素晴らしさは、日本と中国の双方向の理解促進に全身全霊で取り組んでおられることにあります。

 

また、過去の受賞者の皆さんの多くが、一回だけのコンクール参加に留まらず、本日参加の白宇さんや張君恵さんなどのように、卒業後も、日中交流を促進する団体を設立したり、関連のお立場の仕事に携われていることも影響力の大きさを示しています。

 

今回の新型コロナの作品集を見て、ひとりひとりの乗り越えられたドラマが書かれており、大変感銘を受けました。大連外国語大学の川内先生が作品集に感想を書いておられましたが、それぞれの作者の「真心話(シンジンファ)」が伝わってまいりました。

 

私自身は、東芝で32年間国際関係の仕事に携わり、当財団でも4年間国際交流に携わっておりますが、「直接体験」を大切にしてきました。書物で知り、人から聞くだけでなく、実際に体感して、初めて真の理解を深めることが出来るというのが私の信条です。1990年の初の訪中以来、北は北京、天津から、南は上海、広州まで何度も足を運ぶ機会がありましたが、中国はその国土の広さだけでなく、その多様性、包容力の大きさというものを強く感じます。

 

私どもは、とかく、「中国人の国民性は○○」、「日本人の国民性は〇〇」、という先入観で世界観をつくって物事を判断してしまいがちです。そうした視点では、一人ひとりの輝く個性、人生の体験のドラマといったものは見えてまいりません。段さんの試みは、コンクールの規模のみならず、そうした個の視点も大切にされている点が素晴らしいと思います。

 

私のご挨拶を、「中国のことわざ」で締めくくりたいと思います。

「有縁千里来相会」。(うえん・せんり・らいそうえ)

「縁があれば千里離れていても会える」という意味ですが、今日も、日本各地から、そして中国全土からつながっている皆様は、まさに千里を超えてつながる縁をお持ちの方が集まっておられるのだと思います。

このコロナが終息したら、是非皆様と対面でお会いしたいと思っています。

 

謝謝。

 

中国人の日本語作文コンクール受賞者の表敬訪問の様子