『《阿Q正伝》の作品研究』

ウェブサイト「ちきゅう座」が書評論文を掲載

 

 

 

 

【日本僑報社発】日本僑報社の新刊『「阿Q正伝」の作品研究』(冉秀著)の書評論文がこのほど、ネット論壇のウェブサイト「ちきゅう座」(3月23日付)に大きく掲載された。評者は、内田弘(うちだ・ひろし)専修大学名誉教授。

 

「『阿Q正伝』の総合的にして独創的な研究― 冉秀(ぜん・しゅう)『《阿Q正伝》の作品研究』(日本僑報社、2019)を読む―」と題し、本書について詳細に論じている。

 

それによると、冉秀氏(重慶交通大学外国語学専任講師)の新著である本書について、「研究対象である『阿Q正伝』の中国および日本の現在までの研究史を十分にふまえ、著者自身の独自な見解を提示した、本格的な魯迅『阿Q正伝』の研究書である。本書を通読すれば、これまでの『阿Q正伝』研究の全貌も基本的に把握できる。そのような総合性と系統性を本書はもっている」と高く評価。

 

「いま、なぜ『阿Q正伝』か」「革命誤解を活写する『阿Q正伝』」「辛亥革命と近代日本略史」「影ある中国、影なき日本」「忘却される魯迅」「阿Qの精神勝利法」「日本人の精神勝利法」「精神勝利法の研究」……など多角的な視点で本書を詳しく分析している。

 

さらに『阿Q正伝』の最終章「第9章 大団円」について、〔阿Qの銃殺刑で終わる『阿Q正伝』の結末は悲劇である〕〔とはいえ、阿Qの悲劇的な死は、中国人を精神的に呪縛してきた「精神勝利法」の消滅を象徴する。その消滅によって、中国が自己を再生するならば、その未来の可能性を含んでいる限りで、阿Qの死は、逆説的に「大団円」でありうる。このように魯迅は、『阿Q正伝』の最終章の命名でも、底深い意味を含ませている〕と論じた上で、〔「精神勝利法」の終焉の後のことについて、魯迅はまったく語らない。阿Qの絶望の果てに、希望があるのか無いか。それを語らないのが、いや、語れないのが、魯迅の姿勢である。冉秀氏のこの著作は、本稿筆者にここまで考えさせる。得がたい読書経験であった〕と、本書を通じた“貴重な読書経験”が丁寧に述べられている。

 

※ ウェブサイト「ちきゅう座」3月23日付

〔『阿Q正伝』の総合的にして独創的な研究― 冉秀(ぜん・しゅう)『《阿Q正伝》の作品研究』(日本僑報社、2019)を読む―〕

http://chikyuza.net/archives/102178

 

■『「阿Q正伝」の作品研究』

冉秀著、日本僑報社刊

【推薦の言葉】本書は『阿Q正伝』研究に新しい知見を付け加えるのに成功しており、その学問的意義は明確であるといえる。――村上林造 放送大学客員教授・博士

http://duan.jp/item/281.html