横井大使による 第14回「日本語作文コンクール」表彰式での 挨拶全文 横井裕大使by段躍中 12月19日に配信された日本僑報電子週刊第1355号は、先日北京で開催された第14回中国人の日本語作文コンクール表彰式での横井裕大使の挨拶全文を掲載した。 第14回日本語作文コン 横井裕
在中国日本国特命全権大使のご挨拶(全文) 皆さん、こんにちは。日本大使の横井裕です。 本日「第14回中国人の日本語作文コンクール」の表彰式が開催されることに対し、心よりお慶びを申し上げます。そして、日本大使賞を受賞された復旦大学の黄安hさん、そのほかの入賞された皆さん、本当におめでとうございます。 今年で14周年を迎えた本コンクールは、今や日本語を学ぶ中国人学生にとって、参加すること自体が大きな目標となるほどの大会に発展し、今年は、中国各地の大学・専門学校等235校から、4,288本もの応募があったと伺っています。日中関係がいかなる状況であっても本コンクールを開催し続けてこられた段躍中さん、そして、その活動を一貫して支援してこられた関係者の皆様に、心からの敬意と感謝の意を表したいと思います。 大使賞の決定に当たっては、私も候補作品を全て読み、選ばせていただきました。日本大使賞を受賞された黄安hさんの作品は、2008年、北京オリンピック・パラリンピック開催の年におばあさんが交通事故により足の自由を失った場面から始まります。その後、黄さんが京都を訪問した際、車椅子の高齢者をバスの乗客が笑顔で迎えた様子などが描かれています。そして、最後は2020年の東京大会をおばあさんと一緒に見に行きたいという希望で結ばれています。 黄さんの作品では、オリンピック・パラリンピックというタイムリーな題材が取り上げられています。それに加えて、お年寄り、親族、そして障害を持った人々を思いやる優しさが、黄さん自身の日中両国での経験を踏まえて大変丁寧に表現されています。このことが最終的に黄さんの作品を大使賞に選んだ理由です。 そのほかの作品も素晴らしいものばかりでした。これらを読んでいますと、若い皆さんが、日中両国の隣国としての付き合い方について非常に鋭い視点を提供していると感じます。皆さんが作品の中で主張された全ての考え方に、私は深く賛同いたします。 また、入賞された皆さんは、限られた日数の旅行や研修でも、自分の足で色々な場所を回り、そこで出会った人々と積極的に交流されました。それにとどまらず、短期間の交流の中で、皆さんの日本に対する見方が大きく変わり、また、深まったことがどの作品にも良く表れています。その好奇心、行動力、感受性の高さに大いに敬服します。 日本政府としては、より多くの中国の人たちに、皆さんと同じように日本を訪れ、ありのままの日本の姿を知ってもらいたいと思っています。このため、日本政府は来年1月1日から、中国の大学生や訪日リピーターの方に対する一層のビザ緩和を実施する予定です。この新たな措置によって日中両国の国民交流が更に拡大することを期待しております。 皆さんも御存じのとおり、本年は日中平和友好条約締結40周年という節目の年でした。5月の李克強総理の訪日、10月の安倍総理の訪中を通じて、日中関係は大きく改善しました。来年には習近平主席の訪日も予定されています。日中関係は協調を基調とする新たな段階に入りつつあり、私たちの目の前には無限の可能性が広がっています。 皆さんにおかれては、引き続き日本語を始めとする各分野で研鑽を積み、そうした未来の日中関係の担い手、両国の間の架け橋となっていただけるものと、私は確信しています。 本日は、本コンクールに向けて受賞者を熱心に指導されてきた日本語教師の皆様への表彰も予定されています。この場を借りて、皆様の、日本語教育の普及に対する御尽力に対して、心からの感謝を申し上げます。 最後になりましたが、本日の表彰式及び受賞者代表によるスピーチの成功を心から祈念し、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。 (了) 第14回表彰式特集表紙 |