【『中国研究月報』10月号

武吉次朗氏による『李徳全』書評を掲載

 

 

 

【日本僑報社発】一般社団法人中国研究所の月報『中国研究月報』10月号は、「新刊紹介」ページで、話題の新刊『李徳全――日中国交正常化の「黄金のクサビ」を打ち込んだ中国人女性』(日本僑報社刊)の書評を掲載した。

 評者は同研究所顧問で、日本僑報社・日中翻訳学院の人気講師でもある武吉次朗氏。

 

 武吉氏はその中でまず、本書について「(戦後初の中国代表団を率いて訪日した)その中国紅十字総会代表団の団長を務めた李徳全女史の人柄と訪日の模様を振り返った好著である」と評価する。

同代表団が今から63年前、まだ国交正常化前であった195410月に来日するにいたった経緯など、歴史的背景を詳しく解説した上で「熱狂的ともいえる歓迎の渦を巻き起こした」という当時の日本での歓迎ぶりや、代表団における李徳全女史の功績などについて、本書の内容を交えて詳しく紹介。

「同団が携えてきた最大の贈りものは、日本人戦犯1086名の名簿と40人の戦犯死亡者名簿だった」

「『親しみやすいおばちゃん』という風貌で、聖母を思わせる穏やかな所作の李徳全女史と、江戸っ子顔負けの日本語で当意即妙に受け答えする廖承志。この絶妙のコンビが正副団長だったからこそ、『中共』に対する日本人のイメージを一新させ、熱狂的な歓迎を巻き起こしたと言えよう」などと解説する。

 

さらに同代表団訪日の実現により、日中両国の民間における相互訪問の拡大にはずみがつき、「せせらぎがしだいに奔流に成長して強大な世論を形成し、政府に国交正常化を迫る力になっていった」とした上で、今年の「国交正常化45周年という節目の年にあたり、その嚆矢ともなった中国紅十字総会訪日団の足跡を思い起こし、団長を務めた李徳全女史の遺徳を偲ぶことは、有意義であろう」などと今年、本書が世に出されたことの意義を評価している。

 

※『中国研究月報』10月号「新刊紹介」書評

http://jp.duan.jp/whatsnew/2017.10-kenkyu.jpg 

 

■『李徳全――日中国交正常化の「黄金のクサビ」を打ち込んだ中国人女性』

石川好監修、程麻、林振江著、林光江、古市雅子訳、日本僑報社刊

http://duan.jp/item/242.html