日中「箸の文化」座談会

首都大学東京の秋葉原キャンパスで開催

 

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【日本僑報社発】日本と中国の「箸の文化」をテーマとした座談会が8月3日、東京・千代田区の「首都大学東京」秋葉原サテライトキャンパスで開催され、日本僑報社から段躍中編集長が出席しました。

 

以下は、その座談会について同大学大学院(社会人類学研究室)の鄭遇ヨさんから寄せられたレポートの全文です。

 

2017年8月3日、日中「箸の文化」座談会が、首都大学東京の秋葉原キャンパスで開催された。

 

首都大学東京社会人類学の何彬教授が主催。出席したのは、何彬ゼミのメンバーをはじめ、北京聯合大学北京研究所所長・張宝秀教授、上海箸文化促進会会長・徐華龍さん、副会長の劉永明さん、同促進会のメンバー、そしてNPO法人日本箸道協会副理事長・事務局長の牟田実さん、(株)箸勝本店専務の宮本敏治さん、国立研究開発法人科学技術振興機構の周少丹さん、日本僑報社編集長の段躍中さんなど。

 

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まず、徐華龍さんが上海箸文化促進会の概況を紹介した。同促進会は、中国政府より認可された民間団体で、2012年2月6日に設立された。

 

促進会のメンバー構成は、主に中国の文化研究者、上海の学者、箸コレクター、さらに箸に関心を持つ一般市民。促進会は箸の文化研究会を開催したり、文章を募集したり、箸の展覧会も開催している。また、上海の区の文化遺産として箸文化の申請が承認されたことも紹介された。

 

NPO法人日本箸道協会副理事長・事務局長の牟田実さんは、同協会設立の目的などについてこう説明した(通訳担当は、首都大学東京の社会人類学研究室・修士課程の郝雅楠さん)。

 

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「日本人で、正確にお箸が使える人はわずか3割しかいない。日本人は毎日お箸を使っているが、箸文化に無関心な人が多い。そのため2008年、日本の箸食文化の素晴らしさを世界へ、そして次世代に伝えることを目的として本協会を設立した。また“箸”の発音に近い8月4日をお箸の日に定めた。お箸を日中文化交流の懸け橋にしたい」

 

箸勝本店の専務、宮本敏治さんは、日本の割り箸について詳しく紹介した(通訳担当は、鄭遇ヨさん)。

 

「日本人は他人が使ったものを嫌がる傾向がある。そのため割り箸が誕生した。割り箸は当初『衛生箸』と言われていた。現在の箸勝本店では、一般用から結婚式、お祝い、宗教儀式などの専用箸まで、100種類以上の箸を扱っている」

 

この後、上海箸文化促進会の副会長、劉永明さんが中国の塗り箸について紹介したのに続いて、日本僑報社編集長の段躍中さん、北京聯合大学の張宝秀教授、国立研究開発法人科学技術振興機構の周少丹さんがそれぞれ祝辞を述べた。

 

座談会に出席した日中双方は、箸文化交流の記念として日本の割り箸と中国で刊行された箸文化関係の書籍、書道作品、中国の塗り箸をそれぞれ贈呈し合い、交流会は和やかな雰囲気の中、終了した。

 

日本で、大学が主催して開催した大規模な箸の文化研究、交流の会は、今回が初めて。

 

今後は、さらに箸文化への研究を深め、人々に箸への関心を寄せてもらい、箸に関する日中交流を拡大していこうというのが、参加者全員の共通の願いであることが確認された(原文・鄭遇ヨ)。