東京大学名誉教授中兼和津次先生

『中国工業化の歴史』に推薦文を寄せる

 

峰毅氏。段躍中撮影

 

 

89日に配信された日本僑報社のメールマガジン日本僑報電子週刊は、峰毅著『中国工業化の歴史―化学の視点から』刊行決定のニュースを掲載しました。

 

東京大学名誉教授中兼和津次先生は、その本のために推薦文を寄せていただきました。

 

峰毅著『中国工業化の歴史―化学の視点から』を推薦いたします。氏の学位論文である『中国に継承された「満洲国」の産業』御茶の水書房,200911月は、中国における化学工業が満州国時代から新中国へどのように遺産として引き継がれていったのか、克明に分析した著作であり、中国の経済史、あるいは産業史の研究として高く評価されておりますが、このたび氏が長年書き溜めておいた「中国工業発展史」を上梓することになり、前著を発展させて過去から現在に至る百数十年の中国工業化の歴史を解き明かす研究書とになりました。

 

清末に「洋務運動」が起こり、そこから中国の近代工業化が始まりますが、中華民国から「満州国」の時代へ、さらに新中国から現代中国へと、大きな歴史的流れに沿って中国の近代工業、その中でも化学工業がどのように展開し、発展していったのか、この1冊で全て分かるようになっています。こうした研究書はこれまでほとんど出版されておらず、その意味できわめて貴重な成果ですが、そのうえこの書は専門書というよりも一般向けに書かれており、中国における近代工業の発展史を平易に理解できる内容になっております。

 

さらに、近代工業の発展を通じて中国の経済、さらには政治の動きも紹介されており、中国の近現代史も学べる構成になっており、中国の歴史に詳しくない人でも、あるいは中国近代の歴史に興味のある人にとっても、時代の流れを見通せる格好の参考書にもなっています。

 

※中兼和津次先生の略歴:東京大学教養学部卒。アジア経済研究所,一橋大学を経て東京大学教授(1990-2003年)。青山学院大学教授(2003-10年)。現在は東京大学名誉教授。

 

※『中国工業化の歴史―化学の視点から』の著者紹介、峰毅(みね・たけし)東京大学経済学部卒業。財閥系化学会社に就職し、調査企画部、肥料事業部、国際部を中心に主として海外業務に従事。この間、社命によりアメリカに留学し、ジョンズホプキンズ大学で経済学修士号取得。199499年は北京駐在。その後東京大学に戻り経済学博士号取得。東京大学社会科学研究所を拠点にした中国経済研究のほか、東京大学、防衛省、(中国)清華大学などで教育活動にも従事。