知られざる秘話に学ぶ

「日中国交45周年 李徳全氏勉強会」盛大に

 

 

『李徳全』日本語版表紙

 

 

 

李徳全氏のお孫さん羅悠真さん

 

 

【日本僑報社発】今年の日中国交正常化45周年を記念して、戦後初の中国代表団を率いて訪日し、戦犯とされた多くの残留日本人を無事帰国させた中国人女性、李徳全氏の功績に改めて学ぼうとする勉強会「日中国交正常化45周年勉強会―李徳全氏と戦後初の中国代表団の訪日を巡って」が7月18日午後、東京都内の衆議院第一議員会館・大会議室で、全国各地から関係者ら160人余りが出席して開催された。

主催・『李徳全』日本語版刊行実行委員会、協力・日本僑報社。

 

戦後初の中国代表団を率いて訪日し、戦犯とされた日本人を無事帰国させた日中国交正常化18年も前の知られざる秘話を明かした『李徳全――日中国交正常化の「黄金のクサビ」を打ち込んだ中国人女性』(程麻、林振江著、日本僑報社、日本語版)の初刊行を記念するものでもあった。

 

勉強会には来賓として、内閣官房副長官の萩生田光一氏をはじめ、本書の著者の一人である林振江氏(明治大学学長特任補佐)、監修の石川好氏(作家、前「新日中友好21世紀委員会」日本側委員)、翻訳を担当した林光江氏(東京大学医科学研究所特任教授)、古市雅子氏(北京大学外国語学院副教授)、また李徳全氏のお孫さんである羅悠真氏、李徳全氏訪日の際に面会した川嶋みどりさん(日本赤十字看護大学名誉教授)らが出席した。

急な公務により出席がかなわなかった衆議院議員の伊藤忠彦氏からは、書面による祝辞が送られ披露された。

 

開催にあたり、萩生田官房副長官があいさつし「李徳全先生は、中華人民共和国の成立とともに国務院衛生部長(大臣)に任ぜられ、また日本赤十字のカウンターパートである中国紅十字会会長を兼任して、残留日本人3万人の帰国事業に尽力された。日中国交正常化45周年という節目を迎えた今年、『李徳全』日本語版が刊行されることはまさに時宜を得たものであり、心からお慶びを申し上げる」と祝賀の意を表した。

 

また「日中政府間でも先日のG20において、安倍総理と中国の習近平国家主席との間で、今年の45周年、そして来年の日中平和友好条約締結40周年の機会をとらえ、ともに日中関係のさらなる改善に努力していくことを確認したところだ。こうした両首脳同士の共通認識のもと、日中両政府においてもさまざまな分野での日中交流を推進することにより、国民レベルでの相互理解と相互信頼の熟成に努めていく考えだ」と改善に向けて進みつつある日中関係の現状を紹介。

李徳全氏については「日中友好のきっかけを作り、井戸を掘った大変な恩人であると承知した」とした上で、「この李徳全先生の偉業を両国でしっかり確認し、その思いを現在に生きる我々がしっかり継承したい。そして日中の新しい時代を作っていくための努力を、政治の場でもしっかりやっていきたい」と李徳全氏の偉業に学ぶ、日中関係発展への決意を明らかにした。

 

さらに今年の45周年、来年の40周年を機に、日中両国で映画の合作協定を結ぶ準備をしていることを表明。

「昨年は11本の日本映画を中国で公開できた。(とりわけアニメの)『君の名は。』は大ヒットした。今年の45周年を記念して作っている映画が『空海』で、来年にはクランクアップし上映される予定。その後、この『李徳全』を(映画で)ぜひやってみたいと思っている。そのためにも(本書をもって)『李徳全』の偉業をさらに国内に知らしめ、理解者を増やしていただきたい」と、本書や映画化を通じたさらなる日中相互理解への期待を述べた。

 

続いて第2部として、日本の李徳全研究会の堀邊義一総裁、五十嵐義隆副総裁らが同研究会の概要や活動などについて紹介。

 

国交正常化45周年を機に、李徳全氏の崇高な精神に改めて学び、その偉業をさらに多くの人たちに知ってもらうよう努力しようと呼びかけた。

 

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著者林振江(中)氏と訳者林光江氏(右)と古市雅子氏