作家の石川好氏、

12回中国人の日本語作文コンクール受賞作文集に

推薦の言葉を寄せる

 

 

 

 11月25日、日本僑報社は作家の石川好氏(元新日中友好二十一世紀委員会委員、日本湖南省友の会共同代表)が書いた第12回中国人の日本語作文コンクール受賞作文集『訪日中国人、「爆買い」以外にできること』に寄せた「推薦の言葉」を掲載した。

 

 全文は下記の通りである。

 

 その年の世相を映した言葉を選ぶ「ユーキャン新語・流行語大賞」で、2015年は訪日外国人が家電製品や化粧品などを大量に買い込む「爆買い」という言葉が大賞に選ばれました。それから約1年、爆買いブームは落ち着いてきたとはいえ、いまだに新聞やテレビなどでよく話題にされています。

 

 この、日本で発生した爆買い現象を、中国人はどう見ているか? 爆買いを通じて、中国人の日本に対する印象は良くなったのか? 爆買いは今後もさらに続くのか? 爆買いをめぐる中国や中国人に関する問いは多くありますし、実際に私自身が質問を受けることも多数あります。爆買いは、人気商品のメーカーやホテル、旅行会社、デパートやドラッグストアなど、ブームに直接かかわりのある方のみならず、一般の日本人にとっても非常に関心の高い現象なのではないでしょうか。

 

 日本僑報社・日中交流研究所が主催し、中国で日本語を学ぶ学生を対象とした「中国人の日本語作文コンクール」は、今年で第12回を数えます。日中関係がようやく改善の軌道に乗り始めたものの「勢いはまだ弱い」といわれるなか、今年は昨年を上回り過去最多となる5190編もの作品が中国各地から寄せられました。先に述べた爆買いにちなんだ「訪日中国人、『爆買い』以外にできること」などの3つがテーマとして選ばれました。

 

 この作文集には、そのなかから厳正な審査を経て選ばれた優秀作81編を収録しています。中国の若者たちは日ごろの学習の成果を発揮し、外国語である日本語を使いこなして、自分の見方や考えを率直に述べています。ですから本書は、中国の若者たちの本音や新しい対日観を知るための1冊であり、さらに日本人にとっては己を知る友人「知己」といった、貴重な鏡のような1冊となるに違いありません。中国は、経済成長著しい新興国の中でも群を抜いた成長を続け、今や世界第2の経済大国となりました。

 

 そうした中国市場における変化や発展は、やがて日本はもとより世界に影響を及ぼします。日本はお隣の国・中国を知り、引き続きご近所づきあいをしていくためにも、中国人の本音に耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。

 

 本書を手にされた方は、まずご自身でお読みください。それから、この本の内容に共感したり、「なるほど」と納得したりすることがあれば、最も親しい方お1人で結構ですので、どうかご推薦ください。自らのため、大事な人や家族のため、ひいては日本の将来のため「私から・小さなことから」行動を始めてみてはいかがでしょう。

 

 本コンクールを主催する日本僑報社・日中交流研究所の代表である段躍中さんは、中国湖南省の出身です。「日中の相互理解を深めたい」という思いを胸に、日本で20年もの間、出版事業を続けてこられ、これまでに日中・中国関係の優れた書籍を320点余り刊行されてきました。それと同時に、民間の草の根′流活動である本コンクールを、12年間休むことなく継続開催されてきました。

 

 コンクールの優秀作をまとめたこの作文集のシリーズも、今年で12作目となります。そこには12年という歳月が刻まれており、中国の現状や日中関係の変化などが若者たちの素直な筆致によって生き生きと記録されています。

 

 この場をお借りして、12年間努力を続け、中国における日本語教育に大きく貢献するとともに、両国関係の明るい未来のために意義深い活動を続けてこられた段躍中さんをはじめ、関係各社、団体、ご支援ご協力をいただいた全ての皆様に、心より敬意と感謝の意を表したいと思います。そして、これからも草の根交流活動の本コンクールに変わらぬご指導ご鞭撻をたまわりますよう、作文集を引き続きご愛読ご推薦くださるよう、よろしくお願い申し上げます。

 

 2016年11月吉日、東京にて