日本と中国湖南の友好使者

中国語サロン「漢語角」の日中友好物語(その2)

 

思 菡

 

越智さん。段躍中撮影

 

 

爽やかな秋の季節に、西池袋公園にある中国語コーナーが普段よりもずっと賑わっていた。ここで「日本湖南友好使者」の授賞式を行っていたのだ。今回の受賞者は越智優氏である。このメガネをかけて、優しそうに見える中年男性が湖南省といかに繋がっているのかという質問を持って、私は当公園内の越智さんのところに向かっていった。

 

「湖南省に訪問したのは、ここ5年で既に十数回になったよ!」

 

越智さんは私と話を始めたとたんに湖南省との関わり始めた当時のことを振り返っていた。5年前、越智さんは友達(湖南大学日本語教官)の勧めで、中国の湖南省を訪問することにした。そのとき、千年の歴史を有す誇り高き岳麓書院と古き良き湖湘文化に感動され、すっかり湖南省の虜(とりこ)になった。「湖南省にいると、本当の中国が感じられる」と。

 

「湖南省は人間味あふれるところだ」。越智さんは遠くをぼんやりと眺めながら、3年前、湖南大学の先生と生徒たちが越智夫妻に用意した銀婚式のサプライズのことを思い出した。

 

自分の母校である千葉大学と湖南大学が提携校であることから、越智さんは湖南大学生に常に気を配っている。2011年から毎年、越智さんは忙しい仕事にも時間を割いて、湖南大学を訪問し、大学生と交流している。

 

もちろん一年の大半ほとんどは日本滞在なわけであるが、越智さんは相変わらず中国にいる湖南大学の日本語学科学生たちに中国SNSであるQQを使って日本語指導したり、千葉大学に交換留学に来ている学生たちを自分の家にホームステイをさせたり、首都圏内の日中交流会に率先して学生たちを案内したりしている。

 

現在、日本語学校で日本語教師を担当している越智さんは度々、留学生と一緒に関東周辺を旅行している。2014年、留学生たちと一緒に京都の紅葉を見に行き、その萌える紅葉の美しさに感動した越智さんは、それ以降、毎年、京都、奈良の紅葉ツアーを企画、実施して湖南留学生に日本古都の紅葉を見せている。

 

今年の秋も、越智さんは湖南からの交換留学生8名を連れて京都奈良に紅葉狩りに行く予定だ。紅葉真っ盛りの古刹を散歩していた越智さんと学生たちは、きっとその千年の歴史が凝縮された古き美しき風情に感動されるだろう。

 

「今後も、湖南大学を中心とした湖南省との交流は、一生涯続けてゆきます」。それが越智さんの願いだ。越智さんとの会話はわずか30分間程だったが、その短い時間の間でも、越智さんが湖南省に対する愛情がしみじみと伝わってきた。

知人が距離を問わず、万里もそばにいる。手を振って別れた越智さんの姿を見て思わず感動した。民間交流とは一体なんだろう、越智さんの物語から既に答えてもらったではないだろうか。