東方書店「東方」誌

『悩まない心をつくる人生講義』書評を掲載

 

 

 

【日本僑報社発】東方書店の月刊誌「東方」2016年10月号に、チーグアン・ジャオ著『悩まない心をつくる人生講義 タオイズムの教えを現代に活かす』(日本僑報社刊、町田晶訳)の書評が掲載された。

 

評者は、老子研究者として知られる日本女子大学の谷中信一教授。谷中教授は、日本僑報社の話題の新刊『日中文化DNA解読 心理文化の深層構造の視点から』(尚会鵬著)の日本語訳も担当された。

 

書評「『悩まない心をつくる人生講義 タオイズムの教えを現代に活かす』を読む」によると、本書は、米国ミネソタ州にある私立名門大学で主に中国語、中国文化、比較文学などを教えていたチーグアン・ジャオ氏(チー氏)が著したものであり、「そこに見られるのは型どおりの『老子』解釈ではなく、中国人として生まれ育った中で育まれたメンタリティーと感性をもとに彼なりに獲得した、いわば体験的『老子』である」という。

 

 

また中文版のタイトル『無為而無不為』が老子の中心思想にちなんで付けられており、それをチー氏は「何もしない、そしてすべてをやり遂げる」と解釈した。

 

谷中教授はそう解説した上で、チー氏がここで言いたかったことについて「人はだれでも自分の能力を過信して性急に人生の成功を求める。このためにあれこれと思い悩む(中略)。しかもこの負のスパイラルに一旦落ち込んでしまうと、なかなか抜け出せない。思い切って心の持ち方を変えなければならない。そこで登場したのがタオイズムなのだ」と分析する。

 

さらにチー氏の解釈とともに、日本の英文学者で老子に関する著作が評判を呼び、タオイストを自称した加島祥造氏の自由な老子解釈についても紹介。

 

「老子を通じて二人が到達した地点があまりにも共通していることに驚く。改めて『老子』という古典の持つ偉大な魅力とその思想としての生命力の大きさに感服する」と結んでいる。