【著者動向】

『新疆世界文化遺産図鑑』刊行記念

小島康誉先生講演会を開催

 

講演会会場。段躍中撮影

 

 

日本僑報社の話題書『新疆世界文化遺産図鑑』の刊行を記念して、本書主編(編集主幹)の小島康誉先生の講演会「シルクロードの光彩を巡る」が7月10日午後、東京駅八重洲口の「八重洲ブックセンター本店」で、大勢の参加者でにぎわう中、開かれました。

 

主催:八重洲ブックセンター、協賛:日本僑報社。

 

2014年、中国新疆ウイグル自治区のキジル千仏洞・スバシ故城・クズルガハ烽火台・交河故城・高昌故城・北庭故城などを構成遺産とする「シルクロード:長安−天山回廊の交易路網」が世界文化遺産に登録されました。

 

講演会では、日本人として遺跡群の世界遺産登録に尽力された小島先生に、シルクロードの魅力や世界遺産登録までの軌跡についてうかがいました。

 

聞き手は、本書日本語版を翻訳された本田朋子さん(日中翻訳学院・武吉塾修了生)。

 

以下は本田さんからお送りいただいた講演会のレポートです。

 

◇       ◇       ◇

 

『新疆世界文化遺産図鑑』の刊行を記念し、本書主編である小島康誉先生の講演会「シルクロードの光彩を巡る」が7月10日(日)午後2時より、東京駅八重洲口の「八重洲ブックセンター本店」で開催されました。

 

長年新疆ウイグル自治区の文化財保護研究に取り組んでこられた小島康誉先生は、2014年6月、「シルクロード:長安−天山回廊の交易路網」の世界文化遺産登録の発表時、日本でインターネット生中継を見守り、登録決定が発表されたその瞬間には飛び上がるほど喜んだという、小島先生の新疆文化財保護に対する並々ならぬ熱い思いが伝わるエピソードが冒頭から飛び出しました。

 

今から30年前の「キジル千仏洞」との出逢い。貧しいながらも懸命に遺跡を守ろうとしていた現地の人々。人類共通の普遍的価値を持つ文化財であることを直感し、東奔西走の末に保護活動への協力をやっと始めることができたというエピソード。また、新疆で文化財を守っていく現地の人材育成のために奨学金を設立されるなど、書籍に収載されている美しい写真だけでは知ることのできない新疆の人々と小島先生による努力や苦労、喜びが伝わる貴重なお話しを伺うことができました。

 

「文化財は消えてしまったら二度と戻らない。研究は後にも続けられる。だからこそ人類にとって普遍的な文化財は失われてはならない。これを守ることに国境は関係ない。日中友好という時代は変わり、『日中相互理解』の時代が来ている。お互いの悪いところを言っていても何も生まれない。お互いの素晴らしいところに注目して未来志向で行かなければならない」。長年シルクロードの文化財保護を実践してこられた小島先生からのメッセージは説得力にあふれ、講演会出席者の心に響きました。『新疆世界文化遺産図鑑』に収録された写集を改めてみると、より一層悠久の歴史や、それを守ってきた古代から現代までの人々の営みが感じられたのではないでしょうか。

 

講演終了後は出席者による質疑応答が熱心におこなわれ、またサイン会も盛会のうちに終了となりました。 (本田朋子さん・記)

 

講演後、小島康誉先生と本田朋子さんの記念写真。段躍中撮影