中国著名作家の作品を数々刊行 発売早々ベストセラーに

 

『春草』表紙。

 

 

中国の女性作家・裘山山氏のベストセラー小説で、中国でテレビドラマ化され大反響を呼んだ『春草』の日本語版となる『春草―道なき道を歩み続ける中国女性の半生記』が、4月22日に日本僑報社から発売されたばかりだが、24日付のアマゾン経済社会小説ベスト13位に入賞した。

 

本書をはじめ、日本僑報社では中国の著名作家の作品を多数刊行している。

いずれも現代中国や中国の歴史を深く知るために、かかせない名作の数々だ。ゴールデンウィークの連休などを生かして、中国を代表する作家たちの名作にぜひ触れていただきたい。

 

日本僑報社が刊行した著名作家の作品(一例)は、下記の通り(著者略歴は、各書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

 

 

■裘山山・著、于暁飛・監修、徳田好美/隅田和行・共訳

『春草―道なき道を歩み続ける中国女性の半生記』http://duan.jp/item/181.html 

 

中国の女性作家・裘山山氏のベストセラー小説で、中国でテレビドラマ化され大反響を呼んだ『春草』の日本語版。

原書は上海文芸出版社刊。2009年、第3回「中国女性文学賞」を受賞した現代中国女性文学の傑作で、中国版「おしん」の半生記ともいわれて人気を集めた。 

1961年、中国東南部の貧しい農村に生まれた春草は、幼いころから苦労を重ね、偶然出会った男性と結婚したのちも平穏な日々は束の間、火災や夫の不祥事などいくつもの困難に見舞われる。だが授かった双子の子どもをよすがに、逆境を乗り越えていく春草。幼友達や恩人など様々な人間模様が交錯し、激動期の中国社会が鮮やかに浮かび上がる……。

中国の多くの人々に感動と励ましを与え続ける、春草の不撓不屈の物語――。

日本語版には、著名中国語講師の陳淑梅教授が「貧しい一農村女性の半生を描き、中国社会の深層にも触れることができる」と推薦の言葉を寄せている。

 

【著者略歴】裘山山(チウシャンシャン)

1958年、浙江省杭州市出身。1983年、四川師範大学中国語学部卒業。中国作家協会全国委員会委員、四川省作家協会副主席。

 

■王海鴒・著、陳建遠/加納安實・共訳

『新結婚時代』http://duan.jp/item/150.html 

 

中国の現代小説を代表する超ベストセラー。2006年9月、北京で初版が出版されると、たちまち空前の大ヒットとなり、30万部を超える売れ行きを記録。間もなくTVドラマ化され、半年の間に中国全土の各キー局で放映されて反響を巻き起こした。

2007年第13回上海テレビ祭で「最優秀監督賞」「最優秀女優賞」ダブル受賞!

2007年第1回東京国際テレビ祭で「最優秀テレビドラマ賞」受賞!

 

描かれるのは、恋愛結婚した1組のインテリ夫婦と、その親族や周囲の人々の複雑な人間模様だ。

都会で生まれ育った妻と、農村で生まれ育ち、都会の大学を出て職を得た夫。都市と農村、それぞれの実家の親兄弟、妻の親友と実業家の不倫の恋愛……。それらが夫婦生活に次々と波紋をもたらす。さらに、さまざまな結婚タイプ・恋愛タイプが描写され、それが夫婦の生活にも複雑に絡み合っていく……。

現代中国のかかえる都市・農村の格差や貧富の格差といった問題が、軽快なタッチでさりげなく描かれ、リアルな庶民生活を身近に感じることのできる秀作。

 

【著者略歴】王海鴒(おう かいれい/ワン・ハイリン)

1952年山東省生まれ、作家・脚本家。16歳で兵士として済南軍区に赴き、通信兵・衛生兵・宣伝隊員を務める。1983年、総政話劇団に転じ、脚本執筆に携わる。現在、中国で最も結婚を描くのが巧みな女性作家として、高い評価を得ている。主要小説作品に『牽手』『中国式離婚』など。『牽手』は「不倫」を、『中国式離婚』は「離婚」をテーマに描き、いずれもテレビドラマ化され、社会に大きな反響を引き起こした。

 

『何たって高三!』表紙。

 

 

■許旭文・著、千葉明・訳

『何たって高三!〜僕らの中国受験戦争〜』http://duan.jp/item/026.html 

 

「愛国教育」第1世代の青年たちは、どんな高校時代を過ごしたのか。何を喜び、何に苦しんだのか。現代中国人の中国観が見えてくる1冊。

張先生は中国南東部、スワトウ市の高校教師。受験を控える高三6組の担任として、少しでも多くの大学合格者を出そうと奮闘するが……。素直でもあり、くせ者でもある80人の生徒の心を掴もうと、普通は教師が指名する学級委員を選挙で選ぶことにしたまではよかったが、それが新たな火種になるとは。

やがて始まったアジア大会の渦の中、淡い恋心も芽生える。だが、受験間近に創刊した文芸誌は、受験第一の学校当局に弾圧されてしまう。ラジオニュースを授業中に盗み聞きしたのがバレたカンニングの天才、范勤才は、啖呵を切って学校を去り、一旗揚げようと役場町に流れるが、そこで待っていたものは?

一方、益々受験体制にのめり込む学校当局は、めぼしい生徒を優先組に組替えすると発表して、また波紋を呼ぶ。何とか子供を優先組に入れようと手練手管を繰り出す親たち。やがて甘酸っぱい卒業式を迎えた高校生たちは、異常な戦いに身を投じる。

 

【著者略歴】許旭文

1973年9月10日、広東省潮陽市生まれ。1993年、曁南大学新聞学部卒。2005年まで汕頭ラジオニュース記者。2000年より3年間、広東文学院院外作家。

 

■高纓・著、王敏・監修、田中須磨子・訳

『バンナの恋』http://duan.jp/item/053.html 

 

バンナとは、中国雲南省南部の辺境の地、タイ族自治区のシーサンバンナ(西双版納)のこと。シーサン(西双)とは12を、バンナ(版納)は地方をそれぞれ意味します。

ここは熱帯の風景が美しく、豊かで潤いのある土地。そんな秘境に住むタイ族の娘は美しく温和で情がこまやかで、歌や踊りがとても上手。古くから内地の漢族の男性は、ここに来るとたちまちタイ族の娘と恋に落ち、故郷のことを忘れてしまうといわれます。

この小説は、文化大革命が起こった時に、北京から来た知識青年・劉暁海とタイ族の娘・玉罕の感激にむせぶ恋物語ですが、つらい悲劇でもあります……。当然この作品は政治事件の記録ではありませんが、困難な中での人間性や人情に、真・善・美を収め、劉暁海、玉罕、祁冬艶の生き生きとした姿を描いています。信頼すべき中国青年である彼らの姿は、読者の心に深く刻まれることでしょう。

 

【著者略歴】高纓

1929生まれ。詩人・作家。中国作家協会理事、作家協会四川省支部副会長。主な著作は、詩集『大凉山の歌』『丁佑君』、小説『雲の流れるはて』『達吉と父親』『蘭』、散文集『西昌の月』『竹楼の恩』、自伝エッセイ『母の心』など多数。邦訳書に『孔雀の舞』『薛瑪姑娘』『無言の愛』などがある。

 

■高纓・著、王敏・監修、田中須磨子・訳

『無言の愛』http://duan.jp/item/88.html 

 

「私と妻は世界で最大の苦痛を味わった親といえるでしょう。それは上の娘と次の息子が、続いて薬害による聾唖者になったからです。同時に私たち夫婦は、この世で最高にしあわせな親ともいえましょう……」(本文より)。数々の波乱を乗り越えた、聴覚障害児と家族の軌跡。中国の著名作家・高纓による渾身のルポルタージュ作品!

 

【著者略歴】高纓(同上)

 

■旻子・著、山邉悠喜子・訳、「私の戦後処理を問う」会・編集

『尊厳−半世紀を歩いた「花岡事件」』http://duan.jp/item/016.html 

 

「花岡事件」は歴史の公道をただす平和への使命を負って、半世紀に亘って苦しい歩みを続けてきた。豊富な史料をもとに、この歴史的事件を客観的に、最も詳細に記述したドキュメンタリー。

 

「『花岡事件』は歴史の公道をただす平和への使命を負って、半世紀に亘って苦しい歩みを続けてきました。本文には少なからず平和と正義の為に奮闘している人々のことが書かれています。彼らは正義の為に困難を克服し障害を乗り越えて叫び続けています。私は彼らの行動から、日本人民が歴史を正視し日本社会を変えて行く進歩的な力を担っており、平和勢力が最終的には社会の主流、基礎になるものと見ています」――文遅・中日友好協会副会長の序文より。

 

■方軍・著 関直美・訳 

『私が出会った日本兵―ある中国人留学生の交遊録』http://duan.jp/item/17.html 

 

1997年度の中国10大ベストセラーに選出された『我認識的鬼子兵』の邦訳。

翌年には中国最高レベルの「中国図書賞」を受賞。99年度に中国中央実験話劇院により上演され、北京映画製作所にて映画化も進められた。

 東洋大学の丹藤佳紀教授(当時)推薦。東方書店ベストセラーを記録。

 

本書は、中国人の、しかも軍隊に所属していたことがある1人の留学生が、かつて中国を侵略した老人(元日本軍兵士)たちから話を聞く。その聞き書きを基にした歴史の記録。「中国図書賞」受賞作の邦訳。彼の目を通して語られるエピソードの数々は、私たち日本人にとっても新鮮で、興味深い。

 

【著者略歴】方軍

1954年、北京に生まれる。70年に首都鋼鉄公司の工員となる。73年に入隊し、軍隊時代に中国共産党に入党した。80年より北京朝陽夜間大学で日本語を学びはじめる。84年に卒業し、読売新聞北京支局で日本人記者の助手を務め、のちに日本大使館領事部で働くようになる。90年に北京の新聞社の記者となり、91年日本に留学。二つの大学で社会学と経済統計学を学んだ。97年3月帰国、同年12月、処女作「我認識的鬼子兵」が刊行された。

北京盧溝橋にある中国人民抗日戦争紀念館で研究の傍ら、北京社会科学院中日関係研究センター副研究員も務める。中国作家協会会員。

 

■航鷹・著、干保田・監修、仁子真裕美・訳

『商旅―(株)天津飯店の王克昌社長』http://duan.jp/item/48.html 

 

成功するには、今も昔も変わらないことがある。困難を克服し、挫折に打ち勝たなければならないこと。そして、不撓不屈の精神と勇気を持たなければならないことである。(株)天津飯店社長・王克昌の事績を記す。

 

■伍継延/徐志頻・著、多田敏宏・訳、段躍中・監修、村山富市・題字

『湖南商人』http://duan.jp/item/131.html 

 

湖南の実業家、経済人という余り知られていない分野の先人たちに光を当て、清朝末以来の輝かしい「湖南商人」の実績を紹介。

 

「本書は、湖南の実業家、経済人という余り知られていない分野の先人たちに光を当て、清朝末以来の輝かしい『湖南商人』の実績を紹介しており、日本の人々にも読んで貰えることは、とても喜ばしいと思う。湖南省は曾国藩,毛沢東ら多くの政治家が輩出したが、商売の才能を持つ人材が少ないとも言われてきた。しかし、政治家、軍人に優るとも劣らない湖南人の経済面の実績を、改めて明らかにすることが出来た。

日本湖南人会・日本湖南省友の会設立三周年を記念して、『湖南商人』を日本語で刊行したことは、まさに故郷からの新しい風であり、企画者として望外の喜びある。これからの新しい湖南人イメージは、政治家、軍事家、文化人だけではなく、経済人としても、中国の他地域の商人に負けない力を証明できたといえるだろう。湖南省と日本の交流には、この新しい風に乗って、新しい一頁が開かれると信じている」――段躍中の序文より抜粋。

 

【著者略歴】徐志頻

湖南人、著名作家、評論家、現代湖南文化の開拓者、中国市民社会の推進者。