『春草―道なき道を歩み続ける中国女性の半生記』

日本僑報社から刊行へ

 

中国語版原著の表紙

 

原著者の裘山山氏。

 

 

日本僑報社3月18日の発表によると、中国の女性作家・裘山山氏のベストセラー小説で、中国でテレビドラマ化され大反響を呼んだ『春草』の日本語版となる『春草―道なき道を歩み続ける中国女性の半生記』が5月中旬、同社から刊行されることが確定した。

 

原書(写真)は上海文芸出版社刊。2009年、第3回「中国女性文学賞」を受賞した現代中国女性文学の傑作で、中国版「おしん」の半生記ともいわれて人気を集めた。

日本語版は、徳田好美、隅田和行の両氏が翻訳し、于暁飛氏(日本大学法学部教授)が監修した。

 

1961年、中国東南部の貧しい農村に生まれた春草は、幼いころから苦労を重ね、偶然出会った男性と結婚したのちも平穏な日々は束の間、火災や夫の不祥事などいくつもの困難に見舞われる。

だが、授かった双子の子どもをよすがに、逆境を乗り越えていく春草。幼友達や恩人など様々な人間模様が交錯し、激動期の中国社会が鮮やかに浮かび上がる……。

 

日本語版に寄せて、著者の裘山山氏はこう述べる。

「春草を執筆する時、私はいつもある一人の日本女性のイメージを浮かべていました。その女性は『おしん』です。(中略)彼女が幼いころ受けた苦しみ、少女時代の苦悩、辛い環境での不撓不屈の姿勢は、私が描く春草と多くの共通点があります」

「日本に渡った『春草』が日本の読者の皆さんにも広く受け入れられ、好感をもっていただけることを私は切に願います」

 

中国の多くの人々に感動と励ましを与え続ける、春草の不撓不屈の物語――。

日本語版には、著名中国語講師の陳淑梅教授が「貧しい一農村女性の半生を描き、中国社会の深層にも触れることができる」と推薦の言葉を寄せている。

 

【推薦のことば】陳淑梅教授(東京工科大学メディア学部)

 この小説は1961年から2001年まで激動の中国を舞台に、貧しい一農村女性の半生を描いたものです。主人公春草は、四人兄弟の中のただ一人の女子ということで、母親から厳しく育てられます。成人して伴侶を得、結婚して家を離れますが、火災を皮切りに夫の不祥事が招く災難など幾多の困難に遭遇します。小説は授かった双子を擁して苦難を乗り越え、けな気に生きる姿を感動的に描いています。この小説を読むことにより中国社会の深層にも触れることができるでしょう。多くの日本の皆様に是非お読みいただきたいと念じています。