『アジア共同体の創成プロセス』刊行決定

 

 

李鋼哲教授。

 

李鋼哲教授とワンアジア財団奨学金授与式参加者たち

 

 

日本僑報社2月16日の発表によると、北陸大学(本部・石川県金沢市)の李鋼哲教授の編著による『アジア共同体の創成プロセス』(仮題)が、同社から刊行されることが決まった。4月初めに発売される予定。

 

本書は、アジア各国市民の相互理解、交流促進に向けた活動を続ける「一般財団法人ワンアジア財団」(佐藤洋治理事長)の助成により、同大学で開かれたシリーズ講座「アジア共同体の創成プロセス」の内容をまとめたもの。

 

「アジア共同体の創成」とは、東北アジア、東南アジア、中央アジアをふくめた40数カ国、世界の人口の約半数を占める30数億人の共同体を、できるだけ近い将来に創成することを目指す理念。

「豊かで平和で安全なアジア共同体」の創成により、「人々が夢と希望をもって快適に生きること、さらにはアジアのみならず世界の平和と安定、発展に貢献していくこと」を目標にしているという。

 

これを踏まえたシリーズ講座では、日本をはじめ中国、朝鮮半島、モンゴル、ロシアなどアジア各国の専門家、外交官らが、それぞれの立場や視点から「アジア共同体の創成プロセス」について学生向けにわかりやすく講義。

本書の中には、「東アジアの理解と共同体の問題意識」(李鋼哲氏)、「東アジア共同体と日中関係」(谷口誠氏)、「モンゴル-日本関係と北東アジア地域協力に果たす役割」(フレルバータル氏)、「金正恩時代の経済政策の特徴と朝鮮社会主義の方向性」(三村光弘氏)など、アジア共同体の創成をめぐる多様な論文が収録される。

 

李鋼哲教授は「アジアで共同体を作るというと、それは夢のまた夢だという人もいるだろう。だが、夢があるからこそアジアの未来を語ることができる。しかもその夢を実現する様々な取り組みが、日本やアジア各国で行われている」として、本書を通じてその取り組みの現状を知り、アジア各国への理解をいっそう深めてほしいと語っている。

 

■『アジア共同体の創成プロセス』(仮題)

【目次】(抜粋)

第1部 「アジア共同体」への理解:その必要性と意義

第2部 「アジア共同体」構築に向けた外交関係のありかた

第3部 デファクト統合に進む東アジアの経済・金融・環境

第4部 「アジア共同体に向けた地域社会と国際協力

 

【編著者略歴】李鋼哲:中国吉林省生まれの朝鮮族。中国・北京で大学卒業・大学院修了後、大学教員として4年間勤務。1991年に来日し、立教大学大学院修士・博士課程修了。

東京財団の研究員として「北東アジア開発銀行」設立に関する研究を行い、小泉首相(当時)に政策提言をした経験を持つ。また総合研究開発機構(NIRA)で北東アジアグランドデザインに関する政策研究にあたり、政府に政策提言などを行う。現・北陸大学教授。

朝鮮語(韓国語)を母語に、中国語、日本語、英語、ロシア語、モンゴル語などを学び、マルチリンガルの自称「東北アジア人」として地域の平和と繁栄のため、精力的に研究・社会活動を続けている。