日中翻訳学院公開セミナー、翻訳者めざす熱気あふれる

 

懇親会で挨拶する武吉先生。段躍中撮影

 

講演する武吉先生。段躍中撮影

 

講演する小林氏。段躍中撮影

 

一部参加者による記念写真。石小寧撮影

 

 

 日本僑報社・日中翻訳学院は、中国語の翻訳家で元摂南大学教授の武吉次朗(たけよし・じろう)氏を迎えた「武吉塾第13期公開セミナー・修了式」を2月14日午後、東京・西池袋の豊島区勤労福祉会館で開催した。

 この日のセミナーには、愛知、滋賀、京都、沖縄などの遠方から駆けつけた受講生や、一般参加者ら40人が出席。翻訳のさらなるステップアップをめざす人たちの熱気であふれた。ゲストとして、元重慶総領事の瀬野清水氏、法政大学客員学術研究員の及川淳子氏、また北京から一時帰国中の山田典史氏(北京・漫画喫茶B3オーナー)らが出席した。

 

 セミナーは日本僑報社の段躍中編集長の司会で進められた。

 まず、武吉氏が「中国語の新語と外来語に見る世相の変遷」をテーマに講演し、清代から現代中国までの時代・時期別に、同国で取り入れられた中国語の新語と外来語の例を紹介。

 その中で、改革・開放以降の中国で日本から取り入れられた語には「公害、物流、配送、宅急送、職場……」などがあるとした上で、「中国の代表的辞書である『現代漢語詞典』の最新・第6版(2012年)には、日本語をそのまま取り入れたものが768語ある。これは欧米からの外来語721語より多い(史有為教授の説)」などと、その外来語の傾向を指摘。

 中国語の新語・外来語の今後については、「交流増加にともなって英語から、また香港・台湾から大量の言葉が入るほか、日本語も日本文化ファンの若者を経由するなどして、広まるだろう」と予測した。

 

 続いて、フリーランスライターで翻訳者の小林さゆり氏が日本僑報社刊の『中国の未来』『中国のグリーン・ニューディール』『大国の責任とは』『人民元読本』などの編集を担当した経験から、「表記や翻訳に関する注意点について」と題して講演。

 書籍翻訳では、数字や句点など書籍全体の「表記の統一をしよう」「漢字をひらがな・カタカナに開くことを意識しよう」などとした上で、「正しい表記による、より読みやすい本作りをめざそう」と呼びかけた。

 

 この後、日中翻訳学院修了生による中国書籍翻訳の進捗状況がそれぞれ報告されたほか、日本僑報社の段景子社長が中国書籍の新しい翻訳企画を紹介。書籍翻訳に挑みたい翻訳者を募集した。

 続く懇親会では、翻訳のノウハウなどについて、講師や参加者が活発に意見を述べ合った。