陳錦華氏は なぜ天皇陛下から直々に勲章を授与されたのか? =新著で明らかに 本書の表紙 中国の国政諮問機関、全国政治協商会議(全国政協)の第9期副主席で、中国企業連合会名誉会長の陳錦華氏が2008年、皇居で天皇陛下から直々に「旭日大綬章」を授与された。 一般的にはあまり知られないその経緯がこのほど、陳氏の新著で明らかにされた。 旭日大綬章は、日本政府が外国人に与える最高レベルの叙勲。陳氏は受勲の栄誉に輝いた3人目の中国人で、天皇陛下より直々に叙勲を受けた中国人としては第1号となった。 陳氏の受勲以前では、廖承志氏(受勲時は全国人民代表大会常務委員会副委員長、中日友好協会会長)、谷牧氏(元国務院副総理=副首相)の2人がいたが、いずれも北京で代理を含め受勲している。 陳氏は、国家経済体制改革委員会と国家計画委員会の主任(閣僚)を歴任。その後、1998年から5年間、全国政協副主席を務めた。また1999年からは中国企業連合会会長として日本経団連との協力関係を構築し、日中企業間対話を促進したほか、2001年以降はボアオ・アジア・フォーラムの中国首席代表を務め、アジアの経済交流の促進に貢献した。 その新著によれば、受勲の経緯は「(陳氏が)日中の官民ベースでの経済協力の先駆者として、両国の協力を象徴する宝山製鉄所プロジェクトを推進した功績、また、日中経済協力及び日中関係の発展に貢献したこと」(日本政府)が高く評価されたもの。 2008年11月5日、民族服の中山服で正装した陳氏は、皇居の正殿で行われた叙勲式典の模様をこう書き記す。 「天皇陛下の約1メートル前まで進み出てお辞儀をし、更に一歩進み出て、天皇がお盆から手渡される『旭日大綬章』を受け取った。そして、一歩退き、右側に立つ麻生太郎内閣総理大臣(当時)から『旭日大綬章証明書』を受け取った。その後、元の位置に戻って天皇陛下に一礼をして正殿を出た……」 さらに、別室で儀典係官が3人がかりで勲章を身につけてくれ、受勲者全員が再び正殿に戻ったのち、受勲者代表が感謝の言葉を述べた。続いて天皇陛下より、日本と外国の受勲者への感謝の意が述べられたという。「全体の式典については、簡素であるが厳かな雰囲気」であったと陳氏は振り返る。 翌日、都内のホテルで開かれた陳氏の叙勲祝賀レセプションには、日本の政界、財界、学界の名士ら170人を超える人が出席し、熱気であふれた。 陳氏はスピーチで「『旭日大綬章』の栄誉は、中日友好事業に携わってきた各界の関係者に属するものであることを強調した」と、その著書に記している。 ※ 陳錦華編著『中日関係大事総覧』(遠藤茂訳、日本僑報社刊)より。 http://duan.jp/item/159.html |