『日本に対する偏見が解けてゆく』刊行決定

 

 

※写真は2013年に刊行した書籍

 

 

 日本僑報社7月24日の発表によると、国際交流研究所の大森和夫・弘子編著『日本に対する偏見が解けてゆく……中国の大学生(日本語科)が想う「日本」とは?』がまもなく刊行されることが決定した。10月初めに発売予定。大森和夫・弘子両氏による編著書、著書は、日本僑報社から8冊目の刊行となる。

 

 大森和夫氏は元朝日新聞編集委員。26年前、政治部記者として留学生問題を取材していた時に聞いた、ある中国人留学生の一言にショックを受けた。奨学金をもらえないため、40以上ものアルバイトを経験したというその留学生は、「日本が嫌いになって帰国する留学生が少なくない」との衝撃の事実を打ち明けたのだ。

 「日本で学ぶ留学生や、海外で日本語を学ぶ1人でも多くの学生に、日本を好きになってほしい」。そんな思いで著者は半年後の1989年、40代で新聞社を辞め、夫人の弘子氏とともに国際交流研究所(東京・江東区)を設立。夫婦で日本語の学習情報誌「季刊誌『日本』」を発行し、以来、国内のほか中国など海外の大学へ寄贈を続けた。

 その数、中国の大学だけで150以上、30万9000冊に上るという(2013年発行の「日本語教材『日本』」まで)。

 

 さらに大森夫妻は、「日本語教材『日本』」に対する「感想文コンテスト」を今回初めて実施。中国の108大学から3023編の応募があり、その「入賞作」67編をまとめたのが本書となった。

 「日本に対する偏見が解けてゆく」「日本への理解が深まり、日本が好きになりました」「日本に対する印象が変わりました」「日本人はもう敵ではありません」……。

 

 それぞれの感想文からは、「日本と日本人を広く深く理解しようとする中国の大学生の強い意欲と日中友好を願う率直で熱い心情が伝わってきた」と大森夫妻。

 「『歴史問題』を抱える『日本と中国』が真の『友好』を築くことは決して容易ではない。しかし、中国の大学で日本語を勉強している学生たちの明るい表情―「感想文」に綴られた彼らの日本への熱い思い―そして、日本語教育に対する教師の真剣な取り組みがある限り、日中間の安定した友好関係の構築も夢ではない」(まえがき)と明快に述べている。

 

 本書にはこのほか、夫妻が長年取り組む活動「日本語作文コンクール」の歩みなどについても収録。中国の大学生たちが想う「日本」を知るだけでなく、彼らからの熱いメッセージを知ることのできる力作だ。

 

 

【編著者略歴】

大森和夫

  1940年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。

  朝日新聞記者(大分支局・山口支局、福岡総局、政治部、編集委員)を経て、

  1989年1月、国際交流研究所を設立。

大森弘子

  1940年京都府生まれ。京都女子大学短期大学部家政学科卒。

 

 ○ 国際交流功労者・文部科学大臣表彰(2003年)

 ○ 第12回・東亜同文書院記念賞(2005年)

 ○ 中国日語教育貢献奨(中国日語教学研究会。2006年)

 ○ 平成18年度社会貢献者・表彰(社会貢献支援財団。2006年)

 ○ 第3回・かめのり賞(かめのり財団。2006年)