現代中国成立のエピック

日本語版『紅の軍―長征史詩』日本僑報社より刊行

 

写真は『紅の軍―長征史詩』チラシ

 

 

中国共産党の存続をかけ中国工農紅軍(通称:紅軍)が展開した歴史的大規模軍事活動、「長征」を中国の若き文学者・何輝が紡いだ叙事詩『紅の軍―長征史詩 THE LONG MARCH−』が、日本僑報社から3月中旬に刊行された。4月1日から日本各地の書店及びアマゾンなどネット書店で購入可能となった。

 

「長征」とは、紅軍が1934年10月から2年もの長期に渡り中国国民党軍と交戦しながら徒歩で1万2500kmもの距離を移動した史実のことで、中国国民には「人類史上の偉大な奇跡」、「その後の現代中国成立につながる革命への種まき期」と認識されている。

 

今回刊行される『紅の軍―長征史詩 THE LONG MARCH−』の原書『長征史詩』は2006年に中国で出版され、当時弱冠32歳だった文学者・何輝が6年もの年月を費やして紡ぎ上げた全37編、二万行にも及ぶ叙事詩は、現地で大変な話題となった。今回はその『長征史詩』から、特に重要な十篇を選んで日本語化し、収録している。

 

今や超大国となった中華人民共和国はどのような道のりをたどって誕生したのか? そして、現代も中国の根源にあると言われる「長征精神」とはどのようなものなのか?――世界中から関心を寄せられてきたこの歴史的エピソードは、過去、日本でも藤子不二雄A氏や横山光輝氏という有名漫画家が題材として取り上げている。また、この叙事詩は、何輝氏が紅軍戦士への敬意を込めて、膨大な資料を基に登場人物、出来事、時間、場所などの細部まで、すべて事実と符合させて書き上げており、文学的価値だけでなく、歴史的価値も併せ持った作品であると言える。

 

また本書には『梁山伯祝英台伝説の真実性を追う』、『小説 梁山伯と祝英台』、『梁祝口承伝説集』『孟姜女口承伝説集』(いずれも日本僑報社刊)の梁祝文化研究所所長、前中国湘潭大学日本語教師渡辺明次氏と、北京外国語大学教授で、現在東洋大学教授の続三義氏による共訳和文が中国語原詩と見開きで収録されているため、作品をより深く味わえるようになっている。