ケ小平訪日で通訳を務めたベテラン外交官の新著

『日本の「仕事の鬼」と中国の〈酒鬼〉』日本僑報社より刊行決定

 

冨田元重慶総領事の新著チラシ。

 

日本僑報社が125日に発表した情報によると、長年にわたり日中交流の最前線で活躍したベテラン外交官の著書『日本の「仕事の鬼」と中国の〈酒鬼〉――漢字を介してみる日本と中国の文化』が、2014年早春に刊行される。日中の共通財産である「漢字」を切り口に、中国の政治、経済、社会を知る助けとなり、ビジネスや中国の人々との交流でも役立つ読みものとなっている。

著者の冨田昌宏氏は、北京・広州・大連・重慶など中国各地での勤務経験も豊かなベテラン外交官。197810月のケ小平訪日では通訳を務め、面識を得た中国各界の要人も少なくない。これまでに『お金が語る現代中国の歴史』(三省堂、1997年)などの著書がある。本書は著者が中国との関わりの中で得た体験や情報をもとに、日本と中国の文化・社会・世相を軽妙に語りながら、日本と中国をつなぐ漢字文化の奥深い世界に案内する。

本書ではまず、二十四節気や十干十二支、春節(旧正月)や端午の節句、七夕、中秋など、日本と中国が漢字文化を介して日常生活の中で共有している風習や行事について解説する。一方で、親族の呼称や姓・氏の歴史的な起源など、中国には日本とは背景の異なるものも多い。日中の漢字の文化的な共通点と相違点を知ることができる。

また、1970年代以降、中国では社会主義の政治経済体制、日本では高度経済成長のもとで多くの新語が生まれ、互いに影響しあってきた。〈裸官〉(私腹を肥やしながら、海外移住に備えて家族や資産を国外に送り、身一つで国内に留まっている汚職官僚)、〈山寨文化〉(有名ブランドのコピー製品などの物まね文化)など中国の世相を反映する流行語や、〈超〜〉〈量販カラオケ〉など、日本語からの影響で生まれた言葉など、ユニークな例を多数紹介する。

「本書を通じて、読者の皆さんが、漢字を媒体とした日本と中国の文化の変遷に関心を深め、現代の日中関係を理解する一助になればと願っている」(まえがき)と著者は記している。なお、本書は日本僑報社が2013年に刊行した『日本語と中国語の妖しい関係』(松浦喬二著)、『中国漢字を読み解く』(前田晃著)に続いて、漢字を通じて日中の文化への理解を深めるシリーズの第三作。