日中翻訳学院五周年記念

『日中中日翻訳必携・実戦編』刊行決定

写真は『日中中日翻訳必携・実戦編』チラシ。

 

1120日付けの「日本僑報電子週刊」第1108号によると、2007年に日本僑報社から刊行され、中日・日中翻訳者を志す人の基本図書の一冊として親しまれている『日中中日翻訳必携』(武吉次朗著)の続編となる『日中中日翻訳必携 実戦編』が、1月中旬に発売される。

 著者の武吉次朗氏は1932年生まれ。58年に中国から帰国後、日本国際貿易促進協会で中国から来日する要人の通訳・翻訳に当たった。摂南大学国際言語文化学部教授として教壇に立った後、現在も講座主宰等で後進の指導にあたる。中国文化への知識と豊富な実戦経験に裏付けられ、「信・達・雅」を体現する品格ある訳文には定評があり、多くの教え子から慕われている。『新中国に貢献した日本人たち』『中国の歴史教科書問題』(日本僑報社刊)のほか多数の訳書、中国文化や通訳・翻訳に関する著書があり、2013年には『中日友好随想録』(孫平化、日本経済新聞出版社)が上梓されている。

 『日中中日翻訳必携 実戦編』は、日本僑報社の「日中翻訳学院」創立5周年記念として刊行されるもので、著者が主宰する人気講座「武吉塾」の授業内容を一冊にまとめたもの。前作の『日中中日翻訳必携』は、日中の言葉の相違を軽妙に語りながら、翻訳のエッセンスを解説したハンドブックとして歓迎されたが、今回はそれを「武吉塾」での実際の課題と訳例・講評をもとに学べる実戦的なテキストとなっている。

 本書はまず「はじめに」で、翻訳の手順、20QA(受講者からよく受ける質問と解答)、著者からの助言が述べられ、翻訳に取り組む心構えと訳者がよくぶつかる問題点と解決策が簡潔に紹介されている。次に本文では、これまでに「武吉塾」で出題された113の課題文(中国語)から36編を精選し、それぞれの参考訳文(日本語)と講評が添えられている。課題文は近年の新聞・ネット等から採集した時事的な話題から、ビジネス文書、手紙、文芸的な文章まで多岐にわたる。中国社会、中国経済、中国政治家、中国法規、日中交流、日本、世界、女性、風景、会話体の10のテーマが網羅されており、それぞれ内容も文体も異なるので、読者のさまざまな関心に応えるように構成されている。

 また、それぞれの課題文の「講評」には、「中国特有の名詞の扱い方」「数字の書き方」「中国人の肩書きの訳し方」「カタカナ、ひらがな、漢字の使い分け」「語感の違いに即した訳し分け」など、訳者が留意すべきポイントが具体的に明示されており、読者は講評・訳例を参照しながら、問題意識を持って課題文を学ぶことができる。プロとして中国語翻訳者を目指す人はもちろんだが、ビジネス等で中国にかかわる人にも有益な一冊となっている。

 

 日中翻訳学院「武吉塾」http://fanyi.duan.jp/takeyosijuku.htm

『日中中日翻訳必携』http://duan.jp/item/055.html