16回華人学術賞発表 首都大学東京何彬教授が受賞

 

写真は受賞作のチラシ。

 

 

 109日に配信された「日本僑報電子週刊」第1102号によると、日本僑報社は第16回「華人学術賞」の受賞作品を9日に発表し、首都大学東京人文社会系・何彬教授の博士論文「中国東南地域の民俗誌的研究――漢族の葬儀・死後祭祀と墓地」に決定した。受賞論文は今年11月、日本僑報社より出版される。

 

「中国東南地域の民俗誌的研究――漢族の葬儀・死後祭祀と墓地」は、経済発展のなかで激変する中国社会の「墓地」に着目した論文。中国東南部の地域社会を中心に、漢族の「葬儀」と「死後祭祀」を歴史・階層・観念から探り、墓をとりまく霊魂・他界・祖先観を解明する。葬儀のプロセスと葬法の歴史的変遷、死後祭祀から分かる多様な霊魂観、墓と墓地の形態から分かる漢族の他界観など、多様な方向からアプローチしている。1980年代後半から30年近くにわたる緻密なフィールドワークをもとに、写真やスケッチも多用し、漢民族研究全体にも一石を投じるユニークな民俗誌となっている。

 

何彬教授は「中国の東南地域における漢族の研究に、新たな視点と展望を提示することに務めた。本論文の研究結果により、今後の漢文化を再認識する新たなきっかけになることを目指している」(序論)と記している。

 

何彬教授は北京市生まれ、北京師範大学大学院中国文学部博士課程修了、文学博士。東京大学東洋文化研究所外国人研究員、東京都立大学文学部副教授を経て、2007年首都大学東京人文社会系教授。20113月、二本目の博士論文となる本論文で日本の神奈川大学大学院より歴史民俗資料学博士学位取得。主な研究対象は日本と中国及び東アジア地域の地域文化、民俗及び華人・華僑研究。中国民俗学会常務理事、国際アジア比較民俗学会副会長、日中口述歴史文化研究会副会長、日中人文社会科学学会理事などを務め、研究成果の交流及び社会還元、異文化の相互理解に積極的に活躍している。

 

華人学術賞は、2002年の中日国交正常化30周年を記念し、日本僑報社が創設した。中国人博士の学術成果を日本社会に広く紹介することが目的とし、この11年間ですでに16人の中国人博士が受賞している。