『中国潮流 日中関係が困難なときだからこそ』日本僑報社より刊行

 

 

『中国潮流』表紙

 

 

 日本僑報社が822日に東京で発表した新刊情報によると、三十数年にわたり日中貿易の最前線で活躍し、現在は大学で教鞭を執る元大手商社マンによる中国事情入門書が、8月末に日本僑報社から刊行される。「元商社マンの中国観から読み解く日中関係の現状と将来像」に、早くもメディア関係者などから期待の声が寄せられている。

 

 杉田欣二氏の『中国潮流 日中関係が困難なときだからこそ』は、中国貿易専門紙『国際貿易』に20092012年の4年間にわたり連載したコラムをまとめたもの。同紙は、日中関係団体のなかで最も古い歴史のある、日本国際貿易促進協会(1957年設立)が発行する定評ある専門紙。取り上げる話題は、中国の政治改革の行方や経済動向、日中関係のみならず、環境・人口問題やメディアのあり方などの社会事情、観光や若者文化など身近な話題、さらにヒット映画や流行語など多岐にわたる。時系列で読んで重要トピックの復習をしても、好きな話題から読んでも楽しめる。

 

 杉田氏は丸紅等の商社で中国ビジネスの第一線で活躍し、現在は立命館アジア太平洋大学で教鞭をとる。豊富な中国経験に基づいて、中国の政治体制からビジネス習慣、古典や京劇など文化的な教養まで、知っておきたい背景知識を〈解説〉として加筆している。これから中国語を学ぶ若い読者や、仕事で中国にかかわる人にも役立つよう配慮されている。

 

 本書のサブタイトル「日中関係が困難なときだからこそ」から、著者の思い入れが窺える。領土問題や歴史認識等の軋轢により、日中関係がかつてない難局を迎えている現在(2013年夏)だからこそ、直近の4年間、さらには過去の歴史の歩みを振り返ることで、未来へ繋がるヒントを得てほしいとの思いである。

 

「今、多くの日本人は中国に対して“驚異”ではなく“脅威”を感じ始めている。しかしそれは、今から130年ほど前に清国時代の中国人が明治時代の日本に対して抱いた感情と同じではないかという気がする。そして、今反日行動に走る中国の若者の姿と、日清日露の戦争勝利に酔いしれて提灯行列で帝都を練り歩いた日本人の姿とが重なり合うところはないだろうか。互いに歴史の鑑を通して自分の姿を見つめ、相手の心を理解していくことが求められよう。本書の内容が、これからの日中関係の発展と両国国民の友誼にいささかなりとも示唆となれば幸いである」(あとがき)と杉田氏は述べている。

 

本書の詳細は次の頁に掲載している。http://duan.jp/item/154.html