●特別転載●

中国人の日本語作文コンクールで最優秀賞に選ばれた

李欣晨(り・きんしん)さん

 

日本と中国の間で起きた戦争の教訓を忘れ、お互いに「悪いレッテル」を張り合う両国民に警鐘を鳴らした「幸せな現在」と題する作文で最優秀賞に輝いた。沖縄県・尖閣諸島問題をめぐり日中間の緊張が高まっている中、「こういうときこそ、交流を絶やさないことが大切」と訴える。

貴州省出身の22歳。幼少のころは抗日戦争を扱ったテレビドラマの影響で日本の印象は悪かった。しかし、中学時代に人気スポーツ漫画「テニスの王子様」と出会い、日本に関心を持つようになった。日本の漫画やアニメで垣間見える文化や大学のキャンパスに憧れ、現在は湖北省の湖北大学で日本語を学ぶ。

作文では朝鮮戦争に従軍した祖父の悲惨な体験を紹介しつつ、日中が過去の戦争を乗り越えて手にした平和の大切さを描く。「それなのに、過去の影に縛られて互いにののしり合い、頭上の明るい光に気付かない」と相互不信が解消できない現状を嘆いている。

コンクールの副賞で1月下旬に日本に招かれた。「とても清潔だった。知らない人でもすれ違うとあいさつしてくれた」。コンクールを主催した「日本僑報社」の段躍中(だん・やくちゅう)編集長の仲介で福田康夫、鳩山由紀夫両元首相と面会、民間交流への期待を肌で感じた。

「直接交流しなければ、相手が何を考えているか理解できない。互いの偏見を解消したい」。日本訪問後、留学への思いがますます強まった。両親は反対しているが、一人娘の熱意に根負けしつつあるという。

 

【編注】▽1991年2月17日生まれ▽中国貴州省出身▽湖北省武漢市在住▽連絡先は日本僑報社、電話03(5956)2808

(共同社2013221日配信記事)

 

2013.1.27李欣晨さん北京長富宮飯店にて

共同社北京特派員の取材を受ける