日本僑報社 18冊目の反戦図書『私記 日中戦争史』を刊行

『私記 日中戦争史』表紙。日本僑報社提供

 

 

「年老いた将校生徒が現代と戦前戦中の相似を憂えて書き残す警世の書」という位置づけで、元陸軍幼年学校生徒である志々目彰氏が書いた『私記 日中戦争史』は、日本僑報社から刊行され、88日に発売される運びとなった。

84歳の志々目彰氏は、1928年鹿児島市に生れる。1942年、太平洋戦争の開戦直後に大阪陸軍幼年学校に入校。1945年、陸軍予科士官学校(朝霞)で敗戦を迎える。現在は日中友好元軍人の会会員として、日中不戦、平和友好をテーマに執筆活動などを行っている。

 『私記 日中戦争史』は、太平洋戦争緒戦の勝利からその壊滅にいたる興亡の三年半を、幼年学校と予科士官学校という帝国陸軍の揺籃で過ごした著者が、自らの経験から吐露する日中不戦の訴え。忘れられようとする日中戦争の史実を掘り起こして軍隊と国民のあり方を問う。前の戦争を総括せずに超大国のアジア回帰に従属していれば日本は安心なのか。年老いた将校生徒が現代と戦前戦中の相似を憂えて書き残す警世の書。戦争世代の遺書でもある。

著名ジャーナリストの本多勝一氏から、『私記 日中戦争史』への推薦の言葉を寄せられた。

新聞で有名な百人斬りとは白兵戦での武勇伝ではなく、降参した捕虜を斬っただけという勇士本人の講演に、国家を信じ軍人に憧れていた純朴な軍国少年は「ひどいなあ、ずるいなあ」という疑問を抱く。将校の卵である陸軍幼年学校生徒になり、素直に軍隊教育をうけいれてからもその疑問は持続していた。のちに自己の良心に従って百人斬りについて証言する。その経過がよく分かる本である。いまや八〇代半ばに達した著者の結論は、三度日中戦争を繰り返すなという切々たる日中不戦の訴えとなった。老壮青のどの読者にも読んでほしいと思います。

 日本僑報社は、毎年815日の前に反戦図書を発行し、読者から注目を浴びている。これらの図書を「8.15」シリーズに構成し、『私記 日中戦争史』はこのシリーズの18作目になる。