日本僑報社・日中交流研究所主催の第19回「中国人の日本語作文コンクール」で、最優秀賞(日本大使賞)を受賞した趙志琳さん(吉林大学4年)が、副賞の「日本1週間招待」を受けて2024年2月26日(月)から3月3日(日)まで来日、東京都内に滞在し、関係各所を訪問しました。趙さんは表敬訪問や交流会の席でも流暢な日本語で、受賞の喜びや感謝の気持ちを述べてくれました。
  コロナ禍のために2020年から2022年にかけて大使館での表彰式開催や大使賞受賞者の日本招待ができず、今回の第19回コンクールで4年ぶりの実現となりました。 日本滞在中は分刻みのハードスケジュールでしたが、趙さんにとっては日本人との交流や日本への理解をいっそう深めるまたとない機会になったと思います。 この場をお借りして、ご協力いただいた皆さまに厚く御礼申し上げます。

日本僑報社・日中交流研究所
編集長・所長 段躍中
 



  ◆2024年2月27日(火)
     






 

 26日夕方、無事池袋に到着。

 趙さんは中国から飛び立つ日本行きの全日空機に乗った時、早くも機内サービスで「日本文化(おもてなし文化)」を体験したと語りました。そして池袋に到着し、一週間の東京都内滞在の日々が始まりました。

 2月27日、趙さんはまず福田康夫元首相を表敬訪問し、段躍中編集長らが同行しました。趙さんの最優秀賞受賞の喜びの報告を聞いた福田元首相が、受賞作品集の表紙に掲載された写真を見ながら「写真に写っている人はあなたですか?」とユーモアたっぷりに話しかけたり、谷野作太郎元駐中国大使、宮本雄二元駐中国大使にもお越しいただきました。

 宮本元大使からは、20年に渡って毎年開催しているコンクール活動の中で、6万人近くの中国人学生たちからご応募いただいたことを評価いただくなど、終始和やかな空気での訪問となりました。

 続いて、本コンクールを長年ご協賛いただいている、浜松町の東芝本社ビルにある公益財団法人 東芝国際交流財団を表敬訪問し、大森圭介専務理事らにお迎えいただきました。趙さんと段編集長は、北京での表彰式にも度々出席されている大森専務理事に改めて受賞について報告し、コンクールへの厚い支援に感謝の意を表しました。

 同日午後には、穂坂泰外務大臣政務官と懇談。穂坂政務官からは中国人学生たちの日本語学習の努力とコンクールでの入賞を高く評価していただき、今後もより多くの中国の若者が努力を続け、日中友好と相互理解の促進に貢献することを期待するコメントをいただきました。

 夜は審査委員会の方々を中心に、池袋での歓迎会に参加しました。


 


  ◆2月28日(水)
     



 

 

 

28日午後1時、矢倉克夫参議院議員、鳩山由紀夫元首相を訪問のほか、国会議員と懇談。

鳩山元総理からは日本僑報社の最新刊『東亜「運命」共同体』にサインをいただき、メッセージとともに趙さんに贈呈していただきました。


「忘れられない中国滞在エピソード」で特別賞の受賞経験がある矢倉議員からは、ご自身の中国滞在エピソードを趙さんにご紹介いただきました。

 

続いて日中友好議員連盟では、幹事長の近藤昭一参議院議員、事務局次長の西田実仁参議院議員らと懇談し、コンクール受賞者たちの素晴らしいスピーチを高く評価していただきました。

 

  ◆2月29日(木)
     


 

 

 

メディアパートナーである朝日新聞社を訪問し、中村史郎社長から温かい応援のメッセージをいただき、その後社内見学を行いました。当日の様子は朝日新聞デジタルに記事として掲載されました。


午後、第6回日中教育文化交流シンポジウムに出席し、特別講演を行いました。講演前には興石元参議院副議長と面会し、励ましの言葉をいただきました。

 

 

  ◆3月1日(金)
     







 

午後、3ヶ月ぶりに垂秀夫前大使を訪問し、緊密な交流を行いました。


また、NHK国際放送「NHK WORLD-JAPAN」の番組収録を体験した他、立教大学への訪問も行いました。

 

作文コンクール協賛企業である株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスを訪問し、同社の執行役員であり、公益財団法人安田奨学財団で選考委員を務める馬場哲郎氏から励ましのメッセージをいただきました。


夕方は、協力団体である致遠教育塾を訪問し、李CEOと交流しました。

 

 

 

 





 


  ◆3月2日(土)
     




 

自由時間では、趙さんは他のコンクール受賞者たちとともに、東京スカイツリーなど東京周辺のスポットを回りました。

朝日新聞デジタルで、元朝日新聞中国総局長(現社長補佐)の坂尻信義氏による趙志林さんへのインタビュー記事「「滅びの美学」に魅了され日本語作文最優秀の22歳が語る日中の絆」が掲載されました。
https://www.asahi.com/articles/ASS315FX9S31UHBI018.html


  ◆3月3日(日)
     
 

NHK WORLD-JAPAN「波短情長」にて、3月1日に趙さんが取材を受けたインタビューが放送されました。


趙さんは取材の中で、日本の人気漫画に夢中になったことがきっかけで囲碁に興味を持ち、囲碁を通して日本人の友人に出会ったことや、彼女の作文や日本語学習の経験、来日してからの思いなどを語りました。


3月3日、空路にて中国に帰国。

趙さん、一週間お疲れ様でした!

関係者の皆様には、この度の温かなご支援、ご協力に心より感謝申し上げます!


  ◆帰国後の趙さんから訪日感想文
     

日本僑報社にてby段躍中

 

また会える日まで

吉林大学 趙志琳

2024年3月3日午前六時十五分、池袋西口発成田空港行きのバスが定刻に出ました。車が動きだすと同時に、私の1週間にわたる訪日の旅も終わりを迎えました。

小さい頃から普通の子だった私は、いつか中国青年の代表として国際社会で自分の声を出せるとは思ってもみませんでした。それが、中国人の日本語作文コンクールに入賞し、自分の考えを話せる場までいただいたので、長きにわたってコンクールの開催に尽力されてきました日中交流研究所の段躍中所長とスタッフの皆様、そして協賛企業の皆様に心より御礼申し上げます。

この一週間にお会いした政財界、メディア界のトップに立つ方々の中には、子どもの頃から本やテレビで見たことのある方々が多く、彼らと顔を合わせて話をするのは緊張と興奮の連続でした。以前、私はいつも自分の発音が悪くて、日本語で話すことに怯えていました。しかし、今回の交流で皆さんは私を温かくうけいれてくれました。だから発音や文法にこだわるよりも、自分の考えを伝えることが大事だと悟りました。政治家の方々は若者が未来の希望であり、中日友好の希望であることを強調していました。未来の中日友好の主力として、私もできるだけの力を両国の友好関係の更なる発展に貢献したいと思います。国内で日本語を専攻している学生は、日本語で話す相手はほとんどクラスメートか日本人教師です。だからこそ、多くの生身の日本人や日本で生活する中国人に自分の考えを伝えたり、意見交換したりすることは本当に貴重な経験でした。

そして今回の訪日を通じて、中日交流について新たに気付いたことがあります。パンダに限らず、日本人が中国好きになるものはたくさんあります。周恩来総理や孫文先生を尊敬している人や魯迅先生の小説を愛読している人や私の好きな女性作家の蕭紅と樋口一葉の比較研究をしている人などもいっぱいいました。さらに、多くの日本の若者が中国のゲーム「原神」や「魔道祖師」というアニメなどを楽しんでいることも知りました。現在、中国の一部の大学生は国内で就職難に直面しており、多くの日本語専攻生は自分の4年間の努力に疑問を持っています。今回の訪日で中日の交流はまだまだ先があり、この過程では多くの架け橋が必要ですから、中日交流や友好関連の事業に力を入れることも卒業後の選択肢の一つだと思うようになりました。

今回の訪日で一番印象的なのは、立教大学を訪問したことです。そこには、20世紀から現在に至るまで在日華僑が発行した新聞などの資料がすべて収蔵されています。私は作文コンクールの受賞作に「故人はすでに亡くなっていますが、中日友好交流の貴重な経験を時間の経過とともに風化させるのではなく、古人の知恵の証である囲碁のように扱い、その醍醐味を味わい、新しい時代の交流にいかすことができると確信しております。」と書きましたが、思えば、新聞も囲碁のように媒介物の役割を果たしていると思います。前世紀からの新聞の一部が、私と当時の先輩たちをつなぐ通路になってくれました。これらの新聞は先人たちが中日友好のために努力してきた証なのではないでしょうか。学術研究の初心者として、このような一次資料を目にした私は、とても感動し、言葉にできない気持ちでした。今後も歴史研究の道において、初心を忘れず、中日交流研究に揺るぎなく取り組んでまいります。

研究をするには客観的で多様なものを見なければなりません。中日交流も同じだと思います。歴史を鑑とすると同時に、手を携えて未来を展望しなければなりません。「小異を残し、大同に就く」という原則を堅持し、東アジアひいては世界の平和と発展を推進していくことが大切です。今回の訪日は、私の人生にとって貴重な経験となって20代の私に人生の理想とこれから進むべき道をより明確にさせてくれました。お会いした方々に感謝しております。これからも頑張って、今度は学者として日本に来ます。今後も中国人の日本語作文コンクールが順調に開催されますことを心よりお祈りします。

それでは、また会える日まで。



 
 

 
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