横井裕 在中国日本国特命全権大使のご挨拶(全文)
 皆さん,こんにちは。日本大使の横井裕です。
 本日「第13回中国人の日本語作文コンクール」の表彰式が開催されることに心からお慶びを申し上げます。そして,今年の日本大使賞を受賞された河北工業大学の宋妍(そう・けん)さん,そして入賞された皆さん,本当におめでとうございます。

 今年で13周年を迎えた本コンクールは,今や日本語を学ぶ中国人学生にとって,参加することが大きな目標となるほどの大会に発展し,今年は,中国各地の大学・専門学校など189校から,4,031本もの応募があったと伺っています。日中関係がいかなる状況であっても本コンクールを開催し続けてこられた段躍中さん,そして,その活動を一貫して支援されてきた関係者の皆様に,心からの敬意と感謝の意を表したいと思います。

 今回,日本大使賞を受賞された宋妍さんの作文のタイトルは,「『日本語の日』に花を咲かせよう」です。
 宋さんの作文は,日本人の先生と大学の食堂に行った場面から始まり,日本に関心を持つ調理師との交流や,東日本大震災からの復興を願い,周囲の人々とともに『花は咲く』を歌った経験が丁寧に描写されています。

 大使賞の決定に当たっては,私も候補作品を全て読み,選ばせてもらいました。宋さんの経験は,私が,外交官として中国の方々と交流し,協力し合いながら,日本と中国の交流促進のために力を尽くしてきた経験と重なるものでした。こうした共感も,宋さんの作品を大使賞とした理由の一つです。

 今後の日中関係の発展に向けては,中国の多くの若い方々にも,皆さんのように日本語を学ぶとともに,日本人と一緒に学び,仕事をすることで,日本のことを深く理解していただくことが何よりも大切であると考えております。
 是非,皆さんのように日本語を勉強されている方々が,日本の同世代の若者と様々な交流を積み重ねられ,将来にわたって,日中友好の担い手として活躍されることを期待しています。

本日は,本コンクールに向けて受賞者を熱心に指導されてきた日本語教師の皆様への表彰も予定されています。
 この場を借りて,受賞される日本語教師の皆様及び本日御出席いただいている皆様の,日本語教育の普及に対する御尽力に対しまして,心からの感謝を申し上げます。

 今年は日中国交正常化45周年の節目の年であり,このコンクールもその認定事業として実施されています。来年には日中平和友好条約締結40周年を迎え,各地でも様々な催しが開かれますので,この会場にいる皆さんにもぜひ参加をしていただき,日中友好の機運を共に盛り上げていただきたいと思います。

 最後に,本日の表彰式及び受賞者代表によるスピーチの成功を心から祈念し,私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。 (了)