機縁。 私はかるたのおかげで、いやいや付き合っていたはずの百人一首と、もう一度知り合い、恋に落ちた。かるたは私の人生をカラフルにしてくれた。一人ぼっちの練習から、仲間と一緒に対戦の楽しさを味わい、失敗をともに反省し、勝利の喜びを分かち合えるようになった。そして今回の訪日で、昇級に係る真剣勝負も経験した。結局は敗れたものの、その代わり、いろいろ考えさせられ、真のかるた選手に、もう一歩近づけたような気がする。 各自のスタイルを持つ選手たちと対戦することによって、普段隠れていた自分の弱みを発見した。ずっと憧れているかるた界の大先輩や上級者から、暖かい応援の言葉、そして一言漏らしても惜しいほどの経験談をいただき、頭も心もいっぱいとなった。 熱い期待を背負っていたのに、試合の模様は観客席で見ることしかできない自分がもどかしい。皆、本当に申し訳ない!でも私、かるたをずっと好きでいるから、もっと強くなるよ!きっと!
希望。 このたびは、初めての日本滞在ではないけれど、本格的な日本のお家で、いままで経験したことのないホームステイを体験した。泊まったところは、前重慶総領事の瀬野清水さんのお宅だった。瀬野さんは中国駐在期間が25年もあり、大変経験豊富な外交官だ。こんな方に一日お世話になることは。楽しみながらも少しどきどきしていた。緊張気味にあいさつしたら、「こんばんは」と微笑み、日本語の発音を褒めてくれた。
「瀬野さんこそ中国語がお上手だと聞きましたが」 「日本に戻ってから、中国語を使う機会がなくて、だんだん話せなくなったよ」と照れ笑いで答えた。どきどき感が一気に溶けた。 「じゃあ、中国語でお話しましょうか」 「好啊!」
その後は、違和感がまったく感じられない中国語で、ずっと話しかけてくださった。 翌日の朝、リビングから赤ちゃんの笑い声がして、階段を降りたら、床の上に、瀬野さんのお孫さんが大きな笑顔を見せてくれた。「かっ、かわいい!~」と思わず声を上げた。 「ねぇ!パンダみたいでしょう!」後に来た瀬野さんは、つい日本語が零れた。 赤ちゃんはいろんなものに譬えられたけれど、「パンダ」は初耳だ。でも、話を聞いた瞬間、パンダの可愛い姿が「パッ!」と頭に浮かんで来た。
「本当!似てますね!」
自分のお孫さんを、「パンダ」に譬えてくださり、中国人の私は本当に嬉しく、そして感謝している。 「後に聞いた話で、瀬野さんは現在、東日本大震災被災地の子供達に明るい笑い声と感動を与えたいとの思いで、「パンダ」を被災地区の仙台市に招くためのお仕事をされていると伺った。被災地の子供たちが心から楽しみにしているパンダが一日も早く来てくれるようにとの熱い思いがずっと胸に潜んでいるとつくづく感じている。そして私も、可愛いパンダが子供たちのもとにこられるよう心から祈っている。」
パンダ君、「パンダ」みたいにたくましく成長して、立派な男になってくださいね!
中・日・韓三ヶ国演劇人が、芸術の目線から未来に向けて発信した作品「祝/言」の終わりに、共同の願いを語った。「鳥は、空にぶつかってもケガはしません」なぜなら、「空には境目などない、ずっとどこまでも繋がっている。」心に沁みるセリフだった。 中日両国は、「一衣帯水」の隣国だ。けれど、それだけではない。そう。海で、空で繋がり、芸術も文化も、そして人間の深い絆でずっとずっと繋がっている隣同士だ。時の流れのなか、この絆は、強くなりこそすれ、色褪せることは決してないだろう。
学校を卒業し、中日文化交流の仕事に携わると心に決めた。新たな絆を結び、両国国民に笑顔を届けるような職場で、「かささぎになる」約束を果たし、そして今度こそ、お世話になった方々に感謝のメッセージを伝えたい、「ありがとう」のかわりに。
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