第八回 中国人の日本語作文コンクール 開催報告と謝辞 日本僑報社・日中交流研究所 所長 段 躍中 第八回中国人の日本語作文コンクールは、日中国交正常化四十周年を記念する年、二〇一二「日中国民交流友好年」実行委員会行事認定許可及び外務省後援名義等使用許可を受け開催されました。今回も一五七校(大学、専門学校、高校、中学校)から二六四八編の作品が寄せられたことは、ひとえに生徒の皆さん、指導される先生方の熱意とご協力の賜物と感謝申し上げます。 今回のテーマ1「中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?」は、中国の人たちには日常生活の中で自然と行われている為か、戸惑いを見せている作品が多く見られました。 なぜ大声になるのか、簡単そうで意外と難しいテーマの理由をいかに説明するか、皆さんの苦労が感じられました。審査委員の一人で、岩楯嘉之・NPO日中交流支援機構事務局長は、「日本でも私の小学生時代は、先生から『答えは大きな声ではっきり答えなさい』と指導されたものです。」と言っていました。 岩楯事務局長はまた次のように言いました。私の周囲の在日中国人の方々、留学生達は静かに話す人が多く、かえって日本人の若者や、いわゆる「大阪のおばちゃん」と言われる人の方が騒々しいのではと留学生と笑いながら話しています。 テーマ2「日中両国民が親近感を高めるための、私ならではの提言」はテーマとして取り上げやすいのか多くの作品が寄せられました。一次、二次審査が終了したころ尖閣の問題が起こり、日中間が未だかってない最悪の状況となりました。両国が四十周年を記念し企画した友好、交流計画も中止となり、国交正常化の為に苦労された両国の先人、その後携った人々の努力が水泡に帰そうとしています。 今回の作品の中には「自分から変わろうとする心がけ、お互いに知ると知ってもらう努力が両国の関係を輝く未来へ導く鍵」やこのような時だからこそ「政府に期待するより、ます、個人個人がお互いに隣の国を知ろうとする気持ちを持つことが大切」と相互理解、民間による草の根交流の必要性など参考となる多くの提案がされました。 【一次審査】 一次審査は次の方々にお願いした。岩楯敞広、岩楯嘉之、浦敏之、浦野紘一、許穂、京極千穂、斉藤陽子、作田幸子、佐分利安秀、鈴木百合子、辻田亜希子、星澤芳江、横井幸雄、和田宏(敬称略、五十音順)。暑い中での審査に心から感謝します。 【二次審査】 二次審査を担当していただいた方々は以下の通りです(敬称略・五十音順)。 五十嵐貞一(中国留学生交流支援立志会 理事長) 岩楯敞広(首都大学東京 名誉教授) 岩楯嘉之(NPO法人日中交流支援機構 事務局長) 浦敏之(神奈川県日中友好協会会員、元駒澤大学高等学校校長) 川村恒明(財団法人神奈川芸術文化財団 顧問) 小林治平(日中交流研究所 研究員) 瀬野清水(前在重慶日本総領事館総領事) 杉山直隆(ジャーナリスト 朝日新聞記者OB) 関 史江(東京大学大学院工学系研究科 技術アドバイザー) 谷川栄子(元日本大学国際関係学部 非常勤講師) 塚越 誠(書家、日中文化交流の会 日本代表) 塚本慶一(杏林大学 教授) 山中正和(公益財団法人日本中国国際教育交流協会 常務理事) 和田宏(神奈川県日中友好協会会員、鰍mHKグローバルメディアサービス勤務) 公平を期するため、二次審査では応募者氏名と大学名は伏せ、受付番号のみがついた対象作文を先生方に配布しました。本年も審査は難航いたしましたが、二次審査にて上位入賞作文が決定しました。審査下さった先生方に心から感謝いたします。 【三次審査】 二次審査後、得点の最も高い学生に、国際電話による口述審査を行いました。口述審査で得た点数と第二次審査の合計点数を合算して、最優秀賞候補者と一等賞候補者五名を選出しました。 【最終審査】 第三次審査で選出した最優秀賞候補者と一等賞候補者六名の作品を北京にある日本大使館に送り、最終審査を行い、日本大使賞受賞者を決定していただきました。あらためてお礼申し上げます。 ■賞について 審査に基づき、応募者の中から百十三名に賞を授与いたしました。最優秀・日本大使賞のほか、一等五名、二等十五名、三等四十名、佳作五十二名が選ばれました。二等賞以上の中から、協賛団体賞も授与しました。また、各後援・協賛団体の賞に選ばれた方にも賞状が贈られました。 李欣晨 湖北大学(日本大使賞) 兪妍驕 湖州師範学院(中国日本商会賞) 周夢雪 大連東軟情報学院(日中国際教育交流協会賞) 張鶴達 吉林華橋外国語学院(神奈川県日中友好協会賞) 黄志翔 四川外語学院成都学院(中国留学生交流支援立志会賞) 王 威 浙江大学寧波理工学院(中国留学生交流支援立志会賞) 銭 添 華東師範大学(日中国際教育交流協会賞) 馮金津 大連東軟情報学院(神奈川県日中友好協会賞) 張君君 大連大学(神奈川県日中友好協会賞) 韓 路 大連工業大学(神奈川県日中友好協会賞) 李 傑 東北大学(神奈川県日中友好協会賞) ■園丁賞 学生たちの日本語は、指導教官なくしてはありえません。そのため、日中国交正常化三十五周年にあたる第三回コンクールから、学生の作文指導に業績ある日本語教師を表彰する「園丁賞(第三回の園丁奨より改称)」を創設しました。 応募があった一七一校の中から、一大学で百本以上の応募があった七大学に賞状の他、記念品として五万円相当の日本僑報社発行書籍を、一大学で五十本以上の応募があった十五大学に賞状の他、記念品として二万円相当の日本僑報社発行書籍を贈呈しました。学生のために、活用していただければ幸いです。 二〇一二年の受賞学校は、次の通りです。( )内は応募者数。 浙江万里学院(一七八)、大連大学(一六三)、大連交通大学(一四一)、湖州師範学院(一三七)、長春工業大学(一〇七)、大連東軟情報学院(一〇四)、湘潭大学(一〇三)、山東交通学院(八四)、上海海洋大学(七八)、長春理工大学(七八)、西安交通大学(七五)、吉林華橋外国語学院(六七)、黒竜江大学(六七)、延辺大学(六四)、蕪湖職業技術学院(六三)、華僑大学(六一)、江西財経大学(六〇)、山西大学(五六)、中国海洋大学(五六)、浙江大学寧波理工学院(五四)、華東師範大学(五一)、五邑大学(五一)。おめでとうございます。 ■謝辞■ 在中国日本国大使館は第一回から後援してくださっていますが、第四回より、さらに日本大使賞を設け、宮本雄二大使と丹羽宇一郎大使にはご多忙のなか、自ら大使賞の作文を審査していただきました。ここであらためて、宮本大使と丹羽大使をはじめ、大使館関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。宮本雄二元大使は、二〇一二年からコンクールの顧問に就任いただき、本当にありがとうございます。 宮本雄二大使と石川好先生のお陰で、第七回より協賛いただくことになった(株)ドン・キホーテ代表取締役会長、財団法人安田奨学財団理事長安田隆夫様には、奨学金制度の設立など、多大なご支援を賜り、中国の学生たちの日本語学習の励みなることと、心より感謝申し上げます。 今回の日本大使賞選考において、新しい中国大使である木寺昌人先生は、一等賞以上の作文から大使賞を選んで下さいまして、心より感謝申し上げます。 第二回からご支援いただいている日本財団笹川陽平会長と尾形武寿理事長の本活動へのご理解とご支持に御礼を申し上げます。 本コンクール開催及び本書を出版するにあたり、いつも多くのお力添えをしてくださいます、各団体、個人の皆様へ心より感謝の意を表します。 【協賛】 株式会社ドン・キホーテ 安田奨学財団 朝日新聞社 【後援】 日本国外務省、在中国日本国大使館、中国日本商会、(財)日中友好会館、日中文化交流協会、日中友好議員連盟、(公社)日中友好協会、(社)日中協会、日本国際貿易促進協会、一般財団法人日中経済協会、中国中日関係史学会、中国日本友好協会 【媒体支持】 人民日報社人民網、中国国際放送局日本語放送、新華網日本頻道、新華網日本語版、東方網日本語版、青年参考、日中バイリンガル交流誌《クロスロード》、日本語月刊「華南月報」、滬江日語网
【協力】 一般財団法人日本中国国際教育交流協会、中国留学生交流支援立志会、神奈川県日中友好協会、カシオ計算機株式会社、中国日語教学研究会、NPO法人日中交流支援機構、深せん中日経済文化交流促進会、広州留東同学会、長沙中日文藝愛好者協会 また、ご協力いただいたにもかかわらず、失礼ながら今回お名前を挙げることができませんでした多くの先生方へも、この場を持ちましてお礼の言葉とさせていただきます。 なお、本書に掲載いたしました作文は、最低限の校正しか行わず、日本語として不自然な部分が多少あっても、学生の努力のあとが見えるものと考え、残してあります。ご了承ください。 二〇一二年一一月二五日・東京池袋にて (日本僑報社『中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?』より転載) |