必読!今、中国が面白い 2009


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必読!今、中国が面白い 2009
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『必読!今、中国が面白い 2009』
翻訳:而立会
監訳:三潴正道(麗澤大学教授)
発行日:2009年6月12日
サイズ:A5判、並製
ページ数:260頁
ISBN:978-4-86185-087-5 C0036
定価(税抜):2000円
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まえがき
本書もお蔭様でシリーズ三冊目を発刊できました。ひとえに読者諸氏のご支援の賜物と感謝します。
二〇〇八年は中国にとって稀に見る激動の一年だった、と言えましょう。年初の豪雪被害、四川大地震、豪雨による洪水被害といった自然災害、悲願とも言えた北京オリンピックの光と影、火を吹いた民族問題とそれに関する国際世論、そして九月のリーマンショック以後の世界同時不況による経済の悪化と大量の農民労働者失業問題、加えて日中間では食に関する信頼性を著しく損なう毒入りギョーザ問題が大きな影を投げかけました。
二〇〇九年春の全人代開催期間中、人民日報では、内需拡大や中小企業擁護といった景気対策とそれに関る民工や大学生の就職問題を取り上げた記事が目に付きました。また、連日多くの紙面を割いてチベット問題が取り上げられ、統治の正当性が喧伝されました。極めつけは、チベット統治の素晴らしさを讃えさせるコラム欄を設け、第三者に語らせる、と言った伝統的手法を使って外国人ジャーナリストを動員したことで、日本人ジャーナリストも登場しています。
未曾有の危機、と言う緊張感のせいか、前二年と比較して、自由な言論、批判的精神はかなり後退した印象を受け、厳しい規制がかかったことが窺えます。逆を言えば、その窮屈な中で気を吐いている「正気溢れた」記事は貴重と言えましょう。四川大地震におけるレポートには、宣伝に堕することのない心を打つ文章が幾つもありましたし、オリンピックによって、中国の人々が如何に心を世界に開き、成長していったかを率直に描き、考え違いはこれを戒める、といった真摯且つ見識に富んだ文章には、我々も学ぶべきところが多かったと思います。
残念だったのは毒入りギョーザに関する記事でしょう。三月までは、中国側原因説に頑強に抵抗したにもかかわらず、中国国内で未処理分による中毒が発生すると、人民日報に関係記事は一本も見受けられなくなりました。したがって、この事件に対する一般市民の日本に対する誤解はほとんど解消されていません。
その一方で、二〇〇八年は前年以上に、「日本の良さを知り、日本に学ぼう」と言う記事が増えました。良いことは良いんだ、と言うその率直で飾り気の無い姿勢は、中国人らしい度量でもあり、日本のメディアはそういった文章をもっと積極的に紹介すべきでしょう。「中国のことは批判的に書かないとデスクに突っ返される」という情けない話は、残念ながら過去も現在もたびたび各メディアの記者の方から聞かされる話です。これもれっきとした情報操作になります。
百年に一度といわれる今回の世界的不況に遭遇し、二〇〇八年暮れから二〇〇九年春にかけ、日本のメディアは多くの失業者で溢れる中国を次々と紹介しました。それ自体は事実でもあります。しかし、その一方で、中国の持つ潜在的可能性についてはほとんど言及せず、漸く三月以降、内需拡大政策が数字に表れ始めてから、中国経済の可能性に言及し始めました。
今回の危機は東アジア、特に日中韓が過去に囚われすぎず、過去を克服し、協調して東アジアの平和的安定的未来を築く天与のチャンスでもあります。両国のメディアとも、権力や商業主義におもねることなく、また、ネガティブキャンペーンに堕することなく、堂々たる論陣を張ってほしいものです。
平成二一年春 翻訳者グループ「而立会」会長/ 監訳者 三潴 正道
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●翻訳者:井田綾、岩本美佐子、大場悦子、小沢千代子、石文媛、金子伸一、川口亮子、川端谷津子、北山泰子、清本美智子、古賀啓一郎、小玉修司、高崎由理、張進旺、土谷明子、徳永憲昭、中尾公美、西暢子、野澤靖之、廣瀬篤子、宮ア定久、三好浩子、牟礼朋子、安場淳、柳川俊之(敬称略)


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