疾患の起源―新中心法則へのご招待
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疾患の起源―新中心法則へのご招待
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疾患の起源―新中心法則へのご招待
王立石著/河本馨・元東京大学教授推薦
(2008年6月13日から発売)
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推薦の言葉
元東京大学教授 河本馨
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西洋医学と東洋医学の融合が必要であるといわれて久しい。西洋医学にとって、何故東洋医学が必要かというと、西洋医学は分科が進んで各診療が専門化され、総合的に患者を診る機会が少なくなっているので、総合的に患者を診る東洋医学の視点が必要なのである。また、原因の究明に優れた西洋医学にも治療できない病気が多数あり、これを補完するものとして、東洋医学への関心が高まっているのである。更に、1972年に訪中したニクソンの随員が中国の針麻酔下に手術の成功例を報道して以来、アメリカで経絡への関心が一気に高まったのである。一方、漢方医学の論理は近代生物学の考え方からは理解しがたい。経験を積んだ漢方医には、陰陽、虚実の判別は容易で、再現性も高いが、これを普通の人に客観的に伝達することは難しい。したがって、これを継承することにも困難がある。この状態では、東西医学の融合は進歩しない。また、漢方医学の後継者も少なくなるばかりである。
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考えてみれば、19世紀の半ばまで、西洋医学も東洋医学も同じような状態であった。ヒポクラテス以来、西洋医学は病気の原因を四体液のバランスに求め、外部の原因により体液のバランスの崩れた状態を病気ととらえていた。一方、漢方医学はこれを気、血、水に求めた。西洋医学を変革したのは生物学の展開である。まず、ルネッサンス期に発達した解剖学が身体の構造を明らかにした。さらに、顕微鏡の発明により、生物の構造が研究され、すべての生物は細胞から構成されていることが明らかになった。やがて、西洋医学は病気の原因を細胞に求めることになり、細胞病理学が確立した。そして、19世紀の後半、細菌学の発達は感染症における病魔の正体を明らかにした。20世紀にはウイルスも発見された。また、抗生物質の発見は病魔(細菌)を退治する方法を手に入れたかに見えた。しかし、抗生物質はウイルスには効かないし、細菌も耐性菌へと変化して生き残るため、この闘いには終りがない。結局、最後には動物体に本来備わっている免疫という自然治癒力に頼るのが最善の道ということになる。ここに西洋医学が東洋医学を見直すもう一つの理由がある。それでは、漢方医学では免疫能力を高めるためどうしているのだろうか?漢方医学には免疫という概念がないので、明らかではないが、多くの漢方薬は免疫を含む自然治癒力を高めるように設計されているはずである。
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近年、西洋医学では"根拠に基づいた医療"を提供することを重視しており、漢方医学の一部も効力を認められ、治療に取り入れられている。しかし、この方向で進んでいけば、自然治癒力による治療を本来の医療とする漢方診断の理論はおきざりとなり、漢方薬のみが一人歩きすることになる。漢方医学の理論は近代生物学の視点からすれば自己完結的で客観性に欠けるが、理論自体は決していい加減なものではない。すなわち、身体の状態は証と言う外部徴候で表れており、これを弁別することにより、それに適合した薬を投与することができる。証と薬の対応は数千年の経験によって支えられている。従って、証を見誤らなければ、誤った治療を行うことはない。証の意味するところ、また薬物の作用機序は漢方医学の論理とは別の生物学の問題である。本書の中で著者が、ある箇所では"非科学的な部分もある"といいながらも、全体としては"科学的"というのはこのこと、すなわち生物学的意味は不明であるが、正しい診断に基づく正しい治療を行っているという理論の正当性を指していると解釈できる。
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西洋医学も今後、自然治癒力を高める医療を無視できないとなれば、東洋医学の理論を取り入れる必然性がある。東西医学の真の融合のためには漢方医学の基本概念である気、血、水とは何か? また、陰陽、虚実の証の意味は何かを近代生物学により解明することが不可欠である。本書の作者は解剖学、生物学を修め、気とは主に椎骨動脈の機能と考えたのはまさにその第一歩を踏み出したといえる。今後さらにこれを検証して、東西医学の融合に至ることを期待している。
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監修者略歴
河本 馨 略歴
1960年 年 東京大学農学部卒
1965年 年 東京大学大学院生物系研究科終了 農学博士
1987年 年 東京大学教授就任(1996年退官)
1998年 年 日本獣医畜産大学(現:日本獣医生命科学大学)教授
2001年 年 同客員教授 現在に至る。
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著者略歴
王 立石 男 1957年8月、中国吉林省敦化市生まれ。延邊大学農学院卒業、獣医学士。長春獣医科大学(現吉林大学)大学院、神経科学専攻卒業、獣医学修士。東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士課程修了、獣医学博士。長春中医薬大学臨床医療学部卒業、医学学士。長春獣医科大学動物神経科学講座助手、講師、助教授、中国農業科学院ハルビン獣医研究所客員教授、東京大学研究員、中国長春安済爾薬業有限会社社長、中国長春安済爾医院院長を歴任。有限会社フェニックスインターナショナル社副社長を経て、現在、代表取締役社長。健美堂整体院院長も兼任し、健康事業の第一線において活躍している。
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